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十二話 『神域の森へ行け』 -0 

【『待ち人来たり』 -738+α 】



(“人間なんかに関わるとろくな事が無い”)


 噂話、下世話な興味、気持ち悪い人の声。どこでもそんな物で溢れている。種族や環境が違っても、存在が存在する以上、存在が内包する悪意という物はなんら変わらない物だ。それでも消去法で人と接する必要があるのなら……パーティ組むなら同族かな。同じ境遇の混血エルフならまだ話も合うだろう。


《あの女、あの女だろ? 》

《本当か? 嘘だろ、あの子が“お姫様”だなんて》

《……もう、嫌》

《修道院に預けられてた貴族の娘……そっちが本当ならそれでもいいさ》

《ああ、どっちでも良い。どっちにでもしろ……》

《私なんか……きゃ、……良かった》


 声が聞こえた。か細く、か弱い……人の声。小さな小さな声だった。なのに、それが耳から離れない。周りは雑音だらけだけど、その声が気になって……俺は声の方へと近付いた。


「二人パーティなんて、大変だろ? 俺達と組もうぜ? 」

「こ、困ります」

「君とあの子、どっちも魔法職だろ? 俺等みたいな近接戦闘出来る奴、必要だと思うんだけどなぁ? 君のことを思ってのことなんだよ、解るだろ? 」

「男苦手なんだって? じゃあ尚更それを克服するために男と組まなきゃ駄目だ 」


 女の人が、絡まれていた。綺麗な人だ。初めて彼女を見た瞬間から……しばらく、見惚れるくらいには。


(唯の、噂……証拠はない)


 だけどお近づきになれるなら、噂に乗っかっても良い、ボロが出たらそれを弱みとして握れば良い。そう思って近付く奴ばかりなのだろう。彼女は酷く、脅えていた。


「他にもマリーちゃん狙ってる奴、大勢居るんだよ? 俺等みたいな紳士ばかりじゃない。それこそ力尽くでって考えてる奴だって居る。何かあってからじゃ遅いだろ? それとももう、何か……あった? 」

「……っ! 」


 好奇の視線に晒された、彼女は怯えを失い一変! 怒りに染められた目で男達を睨んでいた。

これは、彼女が持った誇り高さ。そして、唯狩られる者ではない証。外見に騙され近付く者を、彼女は仕留めるだけの牙を持っている。殴りかかるんじゃないか。そんな風に思った。だけど彼女は獣を抑えた。自らの内に潜む力を。


「私……間に合ってます、から」

「人が下手に出りゃいい気になりやがって! お前みたいな女、その気になれば……っ! 」

「格好悪い、そういうの」


 俺の言葉を聞いた、男達は振り返る。惨めな奴ら。何にも気付いて居ないんだ。自分達がもう敗北していることにも気付いて居ない。数に物を言わせて従える。弱い生き物のやることだ。そういう奴らがどうなるか。狩られるんだよ、狩人に。


「ああ? 何だガキ」

「おお……ちっこいけど、こいつも可愛いぜ! お嬢ちゃんもお兄さん達とパーティ組まないか? まだ入ったばかりだろ? 今の内からパーティ決めてあると後々アドバンテージに」

「俺、組むなら強い奴が良い。にーさん達強いの? 」


 俺には目的があるんだ。弱い奴とは組めない。きっぱりとそう告げてやれば、男は違和感を覚えたようだ。


「え……? “俺”……? まさかこいつ」

「弱い奴って、強い奴に靡くんだ」

「は? 」

「でもそっちのねーさんは靡かない。だからねーさんは、強い人だよ」

「何言ってんだ、ガキ? 一丁前にヒーロー気取りか? 」

「にーさん達、やってみる? 俺を靡かせられるか」


 距離はある。勝算もある。ここは俺の射程距離。風の感じも悪くない。相手が剣士でも魔法使いでも弓使いでも、今の俺には敵わない。


「だ、駄目よそういうことしちゃ! 」


 俺が矢から手を離す寸前、彼女は男の前へと両手を広げて盾になる。今の今まで自分を無理矢理パーティに入れようとしていた奴なんか……放っておけば良いのに。あのまま俺が割り込まなかったら、彼女が獣を解放した乱闘騒ぎになっていたか、それを隠して嬲られるかしたはずだ。ああ、もう一人仲間が居るって言っていたっけ? 此方に凄い勢いで近付いてくる怒り声が聞こえるから、それが間に合った可能性もあるな。納得しながらも一応俺は忠告をする。


「そういうことすると、勘違いされるよ? ある(ひと)には“俺に気がある”、ある(ひと)には“あいつ男に色目使って調子に乗って”って。噂が全部本当だとは思わないけど、振り回された人間が許す義務は無い。そう思うけど、俺は」

「あの……」

「聖女……ホントに、【黒の聖女】だっ! パーティだけじゃない、俺と付き合ってくれ! 」

「本当に、間に合ってるんです。私達……今は三人パーティで。え……? 」

「ずりーぞお前! 先に目を付けたのは俺だ! 」


 男達が仲間割れをし、殴り合いの喧嘩を始める。どうするべきか狼狽えている彼女を俺は手招きし、こっそりその場を共に立ち去る。


「ねーさん、いつもああやって回避してたの? 」

「ええと……そう言う訳ではないのですが」

「まぁいいや。あんまり一人にならない方がいいよ? ああいう奴に絡まれないようにさ」

「き、きゃあああ! あ、あなた男の子ですか!? 」

「……だったら? 」


 俺の手を掴んでいたその人は、勢いよく俺から後ずさって行く。しばらく観察していると、今度は躙り寄るよう此方へ戻り、そっと俺の手に触れる。


「ロットちゃんロットちゃぁああああああん!! ナイトさんナイトさぁああんっ!! いましたっ! 見つけましたっ!! 四人目!! 」

「あの……ねーさん? 」

「すごい凄いすごいっ! こんなに触っても大丈夫! 夢みたいです!! 」


 興奮気味の女性は、俺の顔から身体から、ベタベタ触って大騒ぎ。


「こんな可愛い男の子がいるなんて! 耳も可愛い……エルフなの? お姉さんと買い物に行きましょう!? さっきのお礼にお姉さんオススメの装備をですね……」


 華奢で小柄な外見に反し、どこからその力を隠していたのか。俺が抵抗しても振りほどけない程強く、彼女は俺を引きずり移動し始める。やはり助けなくてもあの場は何とかなったかも。


(罠だ……)


 あいつ等が草食動物なら、彼女は大型食虫植物。狩人の俺をも一飲みするような、とんでもない生き物だ。野生のヒエラルキーを何だと思っているのか苦情を言いたくなる位、彼女は得体が知れない。最初の好意的印象は消えていないが、同時にそれを上回る恐ろしさを感じるよ。


「マリー……あんた、幾ら飢えているからって、それは……」

「……ハーツ、悪いことは言わん。俺と共に、自首しに行こう。見習い勇者が一般人の少年を襲うなどそんな醜聞を広められる前に、自主的に……」

「あっ……ロットちゃん、ナイト、さん……」


 現れたのは、シスターが呼んだ仲間だろうか? 黒尽くめの魔女と、細めの騎士が青ざめた顔で立っていた。先に立ち直ったのは女の方だ。魔女はブルブル身体を震わせて……強く拳を握って叫ぶ。


「それはちょっと、美味し過ぎない!? 私なんかこのストーカー騎士に追いかけ回されてたっていうのに、何であんたはそんな可愛い子とよろしくやってんのよ、ちくしょうっ! 」

「き、キャロットっ! ストーカーとは何だっ! 俺は貴様とパーティリーダーの座を巡った正々堂々たる勝負の申し込みをだなっ! 」

「あんたストーカーだから不戦勝で私の勝ちでいいじゃない」

「ロットちゃんも、解りますか!? ですよね、だよね!? 可愛いよねこの子! 私こんな近付いても平気なんです! しかも彼、弓職なんです! もう彼しかいないと思って」

「なんですって!? 丁度欲しかった人材じゃないの! ほぅら、こっちおいで坊や。今ならお姉さんが3分間君の頭を胸置き台に使ってあげる! 」

「やめろキャロット! 少年が心に傷を負って道ならぬ道に走ったら貴様は責任を取れるのか!? また重さで首の骨に異常が生じた場合……」

「何言ってんの、やるのはマリーよ。この子相手なら平気そうだしリハビリリハビリ」

「ば、馬鹿者っ! ハーツにはそのような胸があるとでも……あっ」

「な、ナイトさん酷い……」

「ご、誤解だハーツ! 今のは言葉の綾と言うもので」


 この人達、いつまでこんな口論続けるんだろう。段々話題が俺から遠くなって来た。今の内に逃げようか? いや駄目だ。怪力シスターねーちゃんが、俺の腕をまだ掴んでる。仕方ないな、最近あんまり眠れていないんだ。どうしようもなく、眠い。ここは昼寝でもしよう。流石に話し終わったら、俺を起こしてくれるだろう。そう思っていたら日が暮れた。日が落ちた肌寒さから目を開けても、三人はまだ口論を続けている。


(何なんだ、この人達)


 実家みたいな、いやそれ以上の安心感。こんなに快適な昼寝をしたのはいつ以来……? 


「あのさ、条件聞いてくれるなら……俺パーティ入るよ」


 これまで俺の話など聞こえていなかっただろう三人が、同時に此方を振り返る。動きが揃い過ぎていて、少し怖いくらい。


「俺さ、寮あんまり合わなかったんだ。安めでご飯美味しい宿とか知らない? 出来ればここからなるべく近くで」


 三人の迫力をかわすよう、俺が笑ってそう言うと……騎士とシスターはにこやかに、魔女はあくどい笑顔で応えてくれた。


「それなら俺の家を」

「住み込みでも大丈夫でしたらとっておきのお店が! 」

「馬鹿言ってんじゃないわよ二人とも! こんな坊やをそんな危ないところに置いておけるもんですか! 私が良いところ紹介してやるわ! 」


 *


【『神域の森へ行け』 -0 】



 当時の私はまだ腐っていなかった。そうなっていたらコントの言葉に同意していたし、今からでも間に合うならばそうして欲しいと本気で思う。あの時は、レインはエルフのようだし、街には馴染まないのかと思った。当時の私が彼に紹介した場所に、レインは今も暮らしているとコントが言うからそこを訪ねてみたけれど……


「レインが、帰って来ていない!? それって本当なの!? 」

「ああ、手紙は来たんだが……あいつは腕が良いからな。ちょっと困ってた所だ」


 髭を蓄えた中年管理人に届いた手紙の内容。それは、“パーティで出かけるからしばらく帰らない”というもので、パーティの私達がそれを把握していないことに、彼はとても驚いていた。別のパーティに入ったという話はしなかった。それが本人からの手紙なのか、他の人間が送った物かもわからないから。


(どう、オチ? )


 私は胸に抱えた子オークの鼻で、手紙からレインの匂いはするかと調べさせるも、彼は左右に何度か首を振る。オチが言うには、あれを書いたのは女のようだ。

 学園近くに広がる【神域の森(ホーリーリエス)】。レインの二つ名も実はここから付けられた。今でこそ廃れているが、昔はここに神々を奉る神殿があったとか。ここには獣も多く生息していて水場も多い。元素の力も強い場で修行の場として使われる。綺麗な場所だからか、学園と併設する形でキャンプ場やコテージまで設けられた。もっとも、利用者の八割は学生。魔力の強い場所故に、時折姿を変える迷いの森で、一般人が何の知識も装備も無いまま入り込んだら遭難だろう。

 レインは弓の腕も確かだし……害獣駆除の仕事を担うという約束で、コテージを一つ借りているのだ。話がすんなり通ったのは、私の口車とコネだけでなく……レインの他にも弓職で、この仕事をした者の前例はいくつかあったからだと聞いている。


「何度か俺の所へ来るようには言ったのだが、余程ここを気に入っていたみたいだな」

「昨年は……私もコントさんも、レー君の害獣鍋に助けられました」


 食うに困った二人は、この一年でクマ鍋猪鍋怪鳥鍋に魔獣鍋まで美味しく食せる身体になってしまったらしい。


「コテージの方を見てみるかい? 荷物を取りに来るかもしれない。ああ、でもなぁ……レインはテントで森を移動するのも好きでな。魔法道具で連絡取らねーと、さっぱり足取り掴めないんだ」

「その魔法道具は今どこに? 」

「家に置き忘れたんだかな、一週間前からコテージに反応は出ているよ」


 行ったところでいないだろう。そう言いながらも森林管理人は、コテージの合い鍵を持って来た。勿論、無料(ただ)でとは言ってはくれない。


「早速して貰いたいことがある。暴れ一角獣(ユニコーン)が出たんだ、退治はしてくれるよな勇者さん? 」

「一角獣? 再び現れたのか? 」

「コント、何か知ってるの? 」

「以前はこの森に生息しているという話があった。しかし随分昔に退治されたとも」

「おお、詳しいね! そうだよ。前にも暴れ一角獣が出た話はあってね……その時退治された物の角がこれなんだ」


 管理小屋の壁に飾られた装飾剣を指差して、管理人は自慢げに語り出した。


「一角獣の角は、水を浄化するからね。泉の水質維持に使っているんだ。だけど学園に勇者志望の子が増えてからは浄化が追い付かないんだよ」


 学生の生活を支えるべく発展した都市。街が賑やかになった弊害は森へと表れたと言う。


「角売り飛ばして金儲け、ってんなら何割か寄越せって話だけど」

「後輩達のレベル上げにも森は必要だろう。解りました」

「そういうことでしたら……勿論、やります! 」


 私達の返事に大喜びの管理人に、退治してから戻るのは二度手間だと言いくるめ、鍵は先に受け取れた。仕事を無視して帰ろうかとも思ったが、駄目だと二人に怒られた。こんな時まで真面目な奴ら。森の奥へと進む内、日も次第に陰り出す。これでは退治が終わる頃には、すっかり日が暮れてしまうかも。森自体は姿を変えるが、水場とコテージの位置は変わらない。これをしっかり覚えていればそんなに難しくはない、初心者向けの自然ダンジョンとも言える。


「しかし、暴れ一角獣ねぇ……」

「遅くなるようなら、ここに泊まっても良いって話でしたね」


 面倒臭がる私の傍で、マリーが少し持ち直していた。そんな状況ではないのは解っていても、キャンプみたいでワクワクするのだろう。


「ロットちゃんとここに来るの、何だか久しぶりだね」


 そう言えば……一年時の森林合宿だったかしら? 四人パーティを作れなかった私達は危険だからと、合宿参加許可が下りなかったのだ。


「そんなことが? それではハーツ、お前はここに来たくなかっただろう。すまない」

「そんなことないですってナイトさん。私何回も遊びに来てますよ、レー君のお家。去年だってナイトさんと来たことあるじゃないですか! それにあの時のロットちゃん……格好良かったんですよ! 合宿はみんなテントなのに同じ日にコテージ借りて、わざわざ高い肉買ってきて皆の前でドヤ顔で焼いて! 」


 あの時積んだ金の額が、森林管理人との間にコネを作った。私の金にうるさい性格に、同族の香りを感じて気に入ってくれたんだったな確か。


「これぞ、金の勝利ね。学生の強制貧乏行事と私のポケットマネーは格が違うのよ」

「貴様……そう言うことばかりしているから、金欠だったのではないか? 」

「でもあの時の、態度のでかさを評価されてロットちゃんはアリュエットから声が……」


 あの二人と組む以前から、私とマリーのパーティは地雷扱いされていた。長く続いたのはあの二人と……今のパーティくらいなものだ。


「マリー、その事はもう良いから! あいつ肉欲しかっただけでしょ、こんな庶民用の安肉など食えんっ! って皿引っ繰り返してしまって食べるものなくなって、こそこそ狩りに行こうとしてたじゃないの」


 昔を懐かしむように、笑ったマリーの目には涙が浮かんでいた。これ以上あいつの話は聞きたくないと、怒るつもりにもなれなくて、私は彼女の話に付き合った。


「あはは! そうだったかも。性悪って言われてたロットちゃんが、ご飯分けてくれたのが嬉しかったんだろうね」

「私も人のこと言えないけど……あいつ、あんな性格だから……友達いないのよ」

「うん……私も。あのね、ロットちゃん……ナイトさん。私、今のパーティに、なれて良かったと思います。だけど、あの時はあの時なりに……そう、思ってた。レー君がいなくなって、みんながいなくなって……結局今も、いつかは過去になってしまうんですね」


 しんみりとした、この感じ。私は何て言えば良い? 嗚呼、良い言葉が出てこないな。私が思っていること全部、マリーが代弁してくれたみたいで何も言えない。心の何処かで私も、同じ事を思っていた。


(アリュエットを、許せるか……)


 コントから投げられたその言葉。その答えがもう少しで、見つかりそう。許せる、許せないではなくて……信じていたんだ、あの頃は。信じるって何? 受け入れること。信じられないって何? 拒絶すること。それなら許せないって言うのは何? その人の不幸や死を願うこと? 本当にそうなの……? 私の中で何度も疑問を繰り返す。


「勝手に決めるな、マリー」

「ナイト、さん? 」


 私が思考に耽る内、答えは横から現れる。あいつと同じ騎士で、あいつのような綺麗事を言い……だけど仲間を一人も見捨てない、損得勘定の計算が出来ない馬鹿な男。


「パーティのリーダーは俺だ。俺が解散するというまで、俺は誰も逃がさない。どうしても抜けたかったら、俺を脅して解散を迫ることだ。レインを、お前達をあんな奴らに渡しはしない」


 だけどその馬鹿の言葉が、時々私の中で大きく響くのは何故なのか。二年前から、分かり易いこいつのことは、未だに解らないことばかり。


「ところでキャロット、そこで録音魔法を展開するのは止めて貰おうか? 」

「うっさいわね、あんたこそここぞとばかりにマリー口説くの止めなさい。男成分不足生活一週間分、本気にされるわよ? あ、着いた! レインの家ってここでしょ確か! 」


 姿の見えた小さなコテージを指差して、私は照れを誤魔化し走る。二人が追い付いたのを見て、私は鍵を挿し込んだ。


「レイーン……なんて、居るわけ無いか」


 苦笑しながら私は部屋の扉を開ける。当然誰も居るはずが無い。ないのだが……


「きゃっ! 」

「マリー!? 」


 背後から上がったマリーの悲鳴に私が思わず震え上がると、今度は前方。室内から大きめの音。物が崩れた? いや違う。誰かが何かにぶつかった。薄暗い部屋の中……私達以外の人影がある。


「だ、誰っ!? 」


 私の声に驚いたのか、影は窓を破って外へと逃げ出す。唯の泥棒? それとも……


「追うわよ! あいつが一角獣かもしれないっ! 」

「ちょっと、待って下さい。……わ、私に考えがあります」


 影を追うため外に出ようとする私とコント、それをマリーが慌てて止める。マリーがこうして何か自分の意見を口にする時……それは必ず意味がある。私が足を止めたのと見て、コントもそれに従った。

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