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憲太は妖怪料理人になりました  作者: ジャン・幸田
その壱:クビにされてしまった!
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妖怪業界紙

 隣の席に座っていた親父は一体何を読んでいるのかいかぶっていたが、それはこの国にいる妖怪の業界紙だった。妖怪、といっても多くは人の目に触れることはないが、実際には多くの妖怪たちが人間として社会生活をしており、そういった妖怪の活動を紹介する本だった。


 ページをめくっていると、あのフォッシーさんが写っていた。彼は妖怪だった! その本によればフォッシーさんは妖狐ようこで、齢二百歳を超える西日本を代表する業界人だと紹介されていた。彼は西日本を営業エリアとしており、人間.妖怪双方にモノやサービスを商っている行商人だという。その主な商いに人材を紹介するものがあるということだった。


 なんでも、妖怪の人材派遣業は人間の政府との取り決めで、会社組織ではなく特別な特許状を交付された妖怪(人間は不可)もしくは人間とのハーフの半妖の個人しか出来ないということで、ニーズにあった人材を互いに紹介しているのだという。


 「て、ことはフォッシーさんは俺をなんかの妖怪相手の職に紹介してくれるということだったのかな? にしても、あの人が着ているスーツは結構高級そうだったけど儲かるのかな、それって?」


 そんな事を考えていたが、不思議な事に気付いた。この妖怪業界紙は妖怪の血が入っているものしか読めないという注意書きが書かれていた。そうすると俺の身体に妖怪の血がいくらか入ってしまうことになるのだ。それにバイトだった愛里も該当する事になる!


 「俺の死んだ親父、まあ似なくてよかったけど毛むくじゃらのクマのような大男だったな。まさか、あれって妖怪の血がはいっていたのかというんかい?」


 そう思うと、自分に流れている妖怪の血の正体が気になっていた。お袋からもそんな話を聞いていないのに、どんな妖怪だったというのだろうかと。すると後ろの方に問い合わせ先が書かれていた。そこにこの本を読めた人間は往復はがきで連絡して欲しいと書いてあった。


 「えーと、東京都二十四区十番町二丁目八十四、妖怪新報社? 本当にこれで届くのか? 」と疑問に思ったが図書館近くの郵便局で往復はがきを書いてすぐポストに投函した。まあ返信が帰ってきたら面白いだろう、ぐらいに気軽に考えていた。


 日が暮れ、仕事に出かけた母親のために夕飯を作るために食材を買い込んで自宅に戻ると、見覚えあるけど思い出したくない奴が二人も立っていた。しかたないので玄関まで行くと、いくなり方を掴みあげてきた。


 「山村! お前ネットに都合の悪い情報を腹いせで流したんだろ!  説明しやがれ!」


 そいつは俺を半月前にクビにした岡島と社長の六本木だった。いまさら何のようなんだ? 一体? いまの俺からすればこの二人の方が妖怪に見えてしまった。

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