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憲太は妖怪料理人になりました  作者: ジャン・幸田
その壱:クビにされてしまった!
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明日から何をしようかな?

そのパンフレットは見たことも無い文字で書かれていた。ハングル? タイ文字? ビルマ文字? もじかして神代文字? そんな言葉が行きかっていた。そんな騒ぎの中、一人だけ文字の意味が理解できた者がいた。元フリーターの女の日下部愛里だ。


 愛里は最近まで同じ回転すし屋でフロワースタッフとして働いていたが、岡島にシフトの変更を頼んだところ、「お前のように自分の都合でシフトを変更しようと要求するフリーターなど必要ない」といわれ、シフト表から永遠に抹消されたばかりだった。


 それにしても岡島に出来ないと決め付けられたパート、アルバイト、フリーターに対する違法な解雇の一つであるが、いままで訴えられた事がないから出来る所業であった。たしかに、こんな奴にクビといわれたなら、そのまま辞めるのが多数だからだ。他にも家庭の事情で辞めたいといったら懲戒免職扱いにしようとするなど、違法行為は当たり前、全ては労働者よりも会社の体面を守る事ばかりである。


 おっと、愚痴をいってしまった。愛里は理解できた事を言おうとしたが、フォッシーさんに止められてしまった。俺のほうはなんとなく意味が判ったが、同じく止められてしまった。


 「山ちゃんもわかったのかい? それとそちらのお嬢さんも。詳しい話はまたの機会にするかた、いま判った事は忘れないでね」


 そういうと、そのパンフレットをカバンに戻して、いま人気絶頂のアイドルグループのグッズを沢山だしたので、みんなそっちの方に夢中になった。それにしても、俺の送別会などドウでも良くなったような気がしないでもないが、まあいいや。みんなのオゴリで沢山食事が出来たからだ。


 それにしてもこれからどうしようかな俺は? 今は有給消化のため在籍したままであるが、それも月末で終わりだ。後は会社から離職票をもらってハローワークに失業保健の給付を申請するまでしか考えていなかった。


 しかし、この数日は奇妙だった。いままで休みは週一日、年間僅か五十日の休日で盆や正月のような長期休暇どころか連休すらもらえず、月の残業時間は過労死の目安といわれる百時間をゆうに越えていたのに、時給換算ではアルバイト以下、またサービス残業ところか、店で購入する材料費や備品購入費を一部負担したり、レジが足らなくなったら自分の財布から補填したりした。


 そんな、店のために身も財布も犠牲にしてきたのに、気に入らないからクビというのは納得できない事だった。もっとも、今更あんなところに戻る気もなかったが。


 あんなことやそんなことを考えながら夜は過ぎていた。そして送別会の宴会はさらに夜中へと続くのであった。

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