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憲太は妖怪料理人になりました  作者: ジャン・幸田
その壱:クビにされてしまった!
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俺、クビってことかよ!

 俺、山村憲太。高校を卒業していろんな職業を転々としていたけど、お袋にこれ以上心配をかけたくないと思い、たまたま広告で見た回転すし屋のアルバイトに応募して採用された。


 以来、三年間頑張った結果、正社員にしてもらいついに店の主任に抜擢してもらった。朝早くから夜遅くまで働かされるし、サービス残業や休日出勤も当たり前、他のチェーンの回転すし屋よりも給料が安かったがお客さんとの交流も楽しくて、なによりバイトの女の子と仕事を終わってから遊ぶのが楽しかった。


 しかし、そんな忙しく身体も疲れても幸福感に溢れた時間は長く続かなかった。勤め先の社長が変わり直属の地域マネージャーも変わってからおかしな方向に行った。


 材料のコストダウンのために賞味期限ギリギリの冷凍ネタからはじまり、手で寿司を握る職人やネタをさばく板前などいらないとして、寿司ロボや出来合いのネタを使いはじめた。そんな事をし始めたので常連さんがいなくなると、更なる改革としてリストラを始めたのだ。


 俺は元々ケンカ早く上司とよく衝突していたが、これもお客さんの事を思ってのことだった。しかし、上司からすればコントロールできない部下にすぎなかった。特に地域マネージャーだった岡島の奴は本当に嫌だった。


 奴は、仕事とは効率よく人を使うことだといって、自分は昼寝や『事務処理』や『社長との懇談』などといって現場にいつもいないのに、適当な指示しか与えなかった。その指示を忠実に守るのが『よい店員』だった。


 まあ、その指示が適切ならいいけど、お気に入りの店員が何故かみんなバイトから嫌われるのはまだしも、お客さんからの評判も悪かった。みんな怠けていると。


 だから俺は岡島の仕事ぶりに反感を持っていたが、彼の理論と技術を一流だと思っている会社の上層部は正しい道だと思っていた。そして、正社員を削減しアルバイトやフリーター、機械に置き換えて利益を確保しようという事になり、正社員などクビにするリストラが始まった。


 ある日、俺が店に行くと岡島の奴に呼ばれた。なんとなく俺を消したいという噂を聞いていたので、やっぱ来たのかと思った。店の事務室に呼ばれた俺に対し、岡島は一枚の紙を差し出した。それは予想していた解雇通知書や退職勧告書といったものではなかった。そこには次のようにパソコンの文字で書かれていた。


 『株式会社風雅寿司代表取締役 六本木健斗殿 一身上の都合で退職いたします。 平成33年4月30日 山村憲太』


 しかも紙には『山村』判子まで押されて押されているじゃないかよ! クビにするのしてももっとマシなやり方ってあるだろうがよ! 俺は本当に頭に来ていたが、これで岡島の奴の下で働かなくてもいいと思うと本当にすがすがしい気持ちになった! でもこれからどうしよう?


 

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