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魔王拾いました  作者: otsk
荒野のオアシス編
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事案発生?

 宿に戻った俺とウィナは、一応戻ったことを店員に告げて、客室へと行き体を休めることにした。

 俺たちが顔だした時には、ロロちゃんはすでにベッドから起き上がって、アリスと談笑しているところだった。


「ただいま。ロロちゃん、もう起きてて大丈夫か?」


「うん。ここ涼しいし、スターが色々とやってくれたし」


「犯人はお前かー!」


「な、なんの話ですか⁉︎」


 洗面所から出てきたスターと取っ組み合いの形になる。

 が、いなされて床に転がる羽目となった。


「いきなりなんですか」


「ちょっとね……。今から話すから」


 以下中略


「なるほど。幼い女の子が標的とされてるということですか。ロロちゃんを介護していただけというのにとんだ火の粉を被ったものです」


「気をつけるんだぞ」


「ソード君が一番気をつけるの!」


「あい。すいません」


 俺がロリコン候補だということにされているので、下手をすれば俺が犯人として捕まりかねないということだ。ロロちゃんやアリスを連れてるとマジで捕まりそう。


「んーでも、あまり気にしてないんじゃないかな?」


「なんで?」


「ロロちゃん運んできた時も特に見向きもされなかったじゃん」


「ああ」


 なんとなく異質な雰囲気。

 あかさらまに困ってそう人たちを遠巻きに、自分は関係ないと言わんがばかりに遠ざける雰囲気。

 この国にはそういうものがまとわりついているようにも感じられた。

 そもそもこの国の規模なら、エドがわざわざ自分の足で探り回らなくても、犯人など簡単に見つかり捕まっていることだろう。

 魔法使いの国のように警察みたいな組織だってあるんだろうし。


「そういえば、一週間前ぐらいって言いましたか?」


「ん?ああ、確かそう言っていた」


「ならば、教会が破壊されたことが影響してるのかもしれませんね。ここは分家があったようですし」


「本家が潰されたから、すがるところがないってことか?」


「全員が全員というわけではないと思いますが、多いとなれば頷けない話ではないです」


「……その宗教がどんな宗教か知ってるか?」


「いえ。さすがにそこまでは……。ですが、やはり独自の神を信仰して奉っていたのは確かでしょうね。信者の人は、上の人たちが汚職をしていたことを信じないかもしれませんが……まあ、人たちの動揺具合、今の他人に対しての興味を示さないといった観点から、今回の犯行に及んでるものと推測できます」


「同一人物なのか?」


「断定はできませんけど……そうそうそういう趣味の人がいるのも考え難いですし」


「可愛い女の子を愛でるのは男の宿命だぞ」


「一度捕まってきてください」


「そんな目で見ないで!」


「あなたが女の子を邪な目で見るのをやめればいいでしょう!」


「はいはい喧嘩しない」


「兄さんもあまりつっかかるもよかないよ。ソード君とは言わないまでも、兄さんも多少は女の子に興味を持ったら?」


「僕はいいんですよ……。まずは、アリスが自立してくれれば。僕はその時でいいですから」


「ひゅーひゅーいいお兄ちゃんだね〜」


「隻眼の勇者とでも呼ばれたいですか?泊も付きますよ?」


「パーティメンバーに喧嘩売ってやられたとか笑い話にもならねえな……」


 剣先を眼前に寸止めされて、俺は両手を挙げて降伏のポーズをとった。このシスコン兄貴め。

 スターも怒りを鎮めたのか、剣を下ろす。宿内で振り回すもんじゃないよ。


「はあ……明日に返事するんですよね?」


「あ、うん。ロロちゃんの体調と相談しながらだけど」


「私は大丈夫だよ」


「とは言ってもな……そういや、この国の奴らはなんでこんな天候なのに、普通に生活できてんだ?」


「それは、やはり対応できるような衣服を着てるだとか、なるべく日が高いうちは出歩かないとかしてるのでは?」


「今、服屋開いてっかな?」


「今から行く気ですか?」


「俺たちはいいとしても、ロロちゃんがまた倒れたらことだろう。幸い帰ってくるのは早かったし、まだ行けんだろ」


「ロロちゃん連れて行きます?」


「そうだな。ちょっと我慢できるか?ロロちゃんが好きなやつ選んでいいから、一緒に行くか」


「うん!」


「私たちは……」


「今回は我慢してくれ。一応必要なものとして買っていくわけだから、プレゼントとはまた違うわけだからな」


「じゃあ、今度を期待します」


 あまり期待されても困るのだが。未だにウィナのお下がりを着ていることを気にしているのだろうか。

 ウィナの趣味は悪くないというか、アリスの年のものなので、相応のものだと思うが、自分のものがやはり欲しいのか?

 一応ウィナを見ることにする。


「わ、私はいいよ。我慢できるし」


「お前だけ我慢させるのもな……だが、金を管理してるのもお前だから俺にはどうしようもない。だけど、別にお前が自分のために使っても俺はそれを咎めることはしない。なんだかんだ、俺なんかより、お前の方がいつも頑張ってくれてんだからな。よし、お前たち三人で……危ないな。スター、俺たちもついていくぞ」


「流石に三人で行かせるのも気が引けますしね。行きましょうか」


 日が沈むその前に行こうということで、再びフロントにて出て行くことを伝えておいた。鍵は閉めたし、よほどいいだろう。盗られて困るようなものは手に持ってるし。


「それではレッツゴー!」


「元気だなぁ」


 一番弱ってたはずのロロちゃんが一番復活して先陣を切りながら出発した。


 ーーーーーーーーーーーーー

「ソード、ソード」


「んー?」


「これどうかな?」


「可愛いんじゃないか?」


「ちゃんと見てよ!」


「いや、俺に頼むより、スターのほうがいいんじゃないのか?」


「いえ、一度兄さんにも頼んだんですけど……」


「感性の違い、というか……」


「ぶっちゃければ、センスがなかった」


 アリスとウィナが気遣って言葉を濁していたというのに、ロロちゃんはそれを全てクラッシャーしていった。

 当の本人はといえば、 離れた場所のベンチで何故か体操座りになって縮こまっている。ショックだったようだ。


「ただ、三人のやつ選ぶのもアレなんだが」


「大丈夫だよ。三人同じやつにするから」


「おそろいか。いいんじゃないか?他にも候補はあるのか?」


「えっとね〜これとか、これとか」


 ロロちゃんばっかり出しているが、ウィナとアリスはロロちゃんに任せることにしたのだろうか。


「自分たちで決めないのか?」


 ロロちゃんが俺に耳を貸せと、ジェスチャーしてくる。

 言う通りに、ロロちゃんに耳を近づける。


「二人ともソードから見て可愛いって思われたいんだよ」


「ロロちゃんは?」


「まあ、ソードならセンスに間違いはないってウィナが言ってたからいいかなって」


「一応ロロちゃんのためなんだから、ロロちゃんの好きなものを選んでいいんだぞ?」


「うん。だから、私とソードが選んだならそれでいいって」


「そっか」


 候補は3つほどある。

 どれも聞けば、暑い時は冷涼に、寒い時は温暖になるとかいう一つで二度美味しいものらしい。

 というのも、ここは日中こそ暑いが、夜から明け方、日が昇らない時間は冷え込むというなんとも面倒な地域らしい。だから、こういった服がバカ売れだそうだ。

 確かにこれなら、嵩張らないから、旅をするのにも最適そうだな。


「結構薄手みたいだけど効果あんのか?」


「あるんじゃない?薄いぶんには持ち運ぶにも楽そうだし」


「まあ、でもそんなに派手なもんじゃなくて、おとなしめで可愛いのが俺は好きだな」


「うーん。これとか?」


「いいんじゃないか?」


 薄い水色をベースにいくらか四つ葉のクローバーがあしらってるものだ。


「ウィナたちに聞いてくる」


「おう」


 ロロちゃんは俺が選んだのを見せて、ウィナとアリスは納得したのかサイズを探しに戻っていった。

 そして一人取り残される。

 うーむ。一人でいると不安だ。

 扱いが面倒くさそうだけど、スターのところに行くとしよう。

 そう思い立とうとしたら、肩を叩かれる。

 知り合いか?

 振り返ると、まあおよそ俺たちみたいな旅の途中のようには見えない奴がいた。

 まあ、歳で言えばスターぐらいだろうか。


「なんか用か?」


「いえ、この辺り最近よくない噂が多いものですので、少し話が聞けないかと」


「……ああ?」


 なんの了見があって、俺が話す必要性があるのか。


「悪いな。俺は旅のもんだ。訳あってここに来てるが、今日着いたばかりだし、詳しいことは知らん」


「さっきの女の子たちは?」


「旅の仲間だ」


「そうですか」


 口ではそういうものの、俺を見るの目は訝しんでいる。

 まあ、知らんやつからみたら男1人が、女の子3人の相手をしてるのも変な話か。しかもさっき話してたのは、一番小さいロロちゃんだったし。


「なんだ?お前は何を言えば納得して帰ってくれんだ?」


「あの子たちに危害がないと証明出来るまでですかね?」


「言っとくが、あいつらは俺の旅の仲間だ。あいつらが戻ってきたら、この場にいるのがおかしいのはお前だからな?」


「……他に男の人はいないんですか」


「いるが……あそこだ」


 ベンチのさらに端っこに座っているスターを指さす。

 さすがに関わるのが面倒だと感じたのか、俺の方に体を戻した。


「本当に仲間なんですか?」


「いや、あれは落ち込んでるだけで普段はもっときっちりしたやつだ。目を瞑ってくれ」


「…………」


「あのな?正義感ぶるのは別に構わないが、現行犯でもないやつにいきなり問い質すのはどうかと思うぞ」


「いや、かなり現行犯に近かったような……」


「もし違ったら?それに本当だった場合はいきなり襲いかかられるかもしれねえぞ。見たところ、何か武道やってても、とっさの対応が出来ない時がある。あんまり一人でやらないこったな」


「ソードー!」


「おかえり。買い終わったか?」


「うん。思ったより安く済んだ」


「そいつはよかった」


「……どうやら、本当に仲間のようですね。申し訳なかったです。では、これで」


 謎の少年?は軽く会釈して、その場を去ろうとしたが、突如現われた影に取り押さえられた。

 誰だ?

 まあ、俺の知りうる限りでは、あんな動きをするのは約1名だが。

 もう一人は武器を持ってるはずなので。


「エド?」


「ん?あ〜悪かったね。うちのアホが」


「いってーな!放せよ姉貴!」


「人に口を聞くときはどうだったかしら?」


「いだだだ‼︎すいませんでしたー!お姉さま!」


「よろしい。まあ、悪かったわね、ソード」


「いや、あんたの弟だったのな」


「知り合いですか?」


「ああ、アリスは見たことなかったな。……ついでだし、スターも呼んできてくれ」


「私が引っ張ってくる」


「そうか?じゃあ、頼むぞロロちゃん」


 未だにブツブツ呟いてそうな面倒くさいモードのスターのことはロロちゃんに任せて、再び会ったエドを見る。


「つけてたのか?」


「人聞き悪いわね。あんたの旅の仲間という子を覗きに行ったけど、出かけたっていうもんだから、こうして探しに来たというのに」


「結局デバガメじゃねえか」


「結果論は助かったでしょ?」


「あんたが来なければ、ここで終わってた話だと思うんだが……」


 まだ捉えられているエドの弟らしき少年はだんだんぐったりしてきているようにも見える。というか、ただ単に、抵抗することを諦めたいうか、エドに捕まったことが運の尽きだと言わんがばかりだな。気持ちはわかる。


「はい。ヴァンごめんなさいは?」


「謝ってたの見てなかったのかよ!そこまで子供じゃねえよ!」


「私から見たらまだまだ青いわよ」


「姉貴は年取りすぎだ」ボソッ


「なんか言った?」


「ギブギブ……そろそろ逝く……」


「ま、そういうわけだから迷惑かけたわね」


「……せっかく会ったし、紹介しとくよ」


 立ち去ろうとするエドの前にロロちゃんが戻ってきたので、せめてもの土産に紹介しておくことにする。


「こっちの死にかけてる男が我が国の王子、スターだ。死にかけてるのは精神的なものだから明日にでもなれば復帰すると思う」


「なんかヘビーな状態の時に会っちゃったわね……」


「次に、この子はスターの妹で同じく我が国の姫。アリス」


「兄さんがこんなんですいません」


「あらあら礼儀正しい子で。うちのもこれぐらいだったらいいのに」


「進まんから次行くぞ。最後にこの一番ちっこい子がロロちゃん。まあ、拾い子」


「私だけ説明が雑!」


「拾い子だろ?」


 もしくは拾い猫。


「拾い子?家がどこか分かってるの?」


「あ〜ちょっと、記憶が曖昧らしいから旅してるうちに思い出すんじゃねえかなって」


「うちが預かろうか?」


「いや、やめてくれ」


「なんであんたが拒否するのよ」


「うちの子です」


 ウィナも遮るように、ロロちゃんの前に立つ。


「二人の子?」


「「違うわ(います)!」」


「あっはは分かってるわよ。歳的に無理だし。ウィナちゃんが私と同じ歳だとしてもちょっと大きいし。まあ、二人が溺愛してるようね。まあせいぜい頑張って探してあげなさい」


 なんで俺の可能性は省いたんですかね?


「もう、ついでだから言っとくわ。調査協力する」


「そ。それはありがたいわ。詳しくは明日話すわね」


 エドはくたばっている弟を担いで、俺たちの前から去っていった。

 ロロちゃんは俺に見せたものの他に上着も買ったみたく、新しい洋服に身を包んで、軽い足取りで宿へと戻っていった。




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