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魔王拾いました  作者: otsk
海辺の灯台編
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謎の塔

「何枚集まった?」


「うーん。19枚。もうあと一枚で20の大台だよ」


 そもそもいくつが大台と呼べるレベルなのかは知らないが。

 それにしても、いったい誰がこれほどまでのメダルを放置していったのか。価値があるようには見えないけど、こうして拾う人もいるぐらいだから、興味を惹かれる人がいるのも事実だ。

 道標として置いていったのなら、あまり規則性も見られない。等間隔ではなく、ランダムに適当に置いていったように見える。


「ソード君」


「あ、カルマさんいたんすか」


「いや、一緒に走ってきただろう」


「すいません。選択肢としてすでに頭にありませんでした」


「まあ、それはいいとして」


 いいのか。

 ぞんざいな扱いに慣れているのだろう。そんなものには慣れたくはないものだが。


「あそこ、見えるかい?」


 カルマさんが指を指す先には、何やら塔らしきものが立っている。こんな人気も何もないところに立っている時点で不自然極まりないのだが、あるってことはいつの日かは誰かがここで暮らしていたということだろう。


「お宝たくさん⁉︎」


「ロロちゃんはいつからそんなにお宝に反応するような子になったんだ」


「ロマン?」


「まあ、ロマンはあるよな」


「それこそ、幻の武器とか眠ってるかもしれませんよ?」


「よし、早速行ってみよう」


「あんたも50歩100歩でしょうに……」


「どっちが100だ?」


「ソードじゃない?」


「どっちがいいんだっけ?」


「あれは逃げたことに関することわざだから、50歩のほうがマシなんだよ」


「やったー!」


「ロロちゃん、大差ないって意味だよ」


「え、そうなの?」


 ロロちゃんはため息を一度つく。


「はぁー。ソードと大差ないのかー。私も落ちたなー」


 聞き捨てならんぞ。俺を最底辺として扱うんじゃない。

 いや、パーティ的にはやっぱり俺が一番下なのか?


「えー、こほん。ぶっちゃっけた話俺が、パーティで一番下だと思う人」


 アリス除く四名が手を挙げた。


「なんでカルマさんまで参加してんですか!」


「僕にも聞いてたんじゃないのかい?」


「まあ、いいとして。俺、本当に勇者?ここまでの扱いように疑問を抱かざるを得ないんだけど」


「仕方ないよね」


 一様に頷かれる。俺は、もうすでに過去の栄光にすがるしか道は残されていないのか?


「お、お兄ちゃん!私はお兄ちゃんが一番だから!」


「ありがとう。アリスは優しいな」


「え、えへへ」


「で、アリスは誰が一番下なんだ?」


「愚問でしょう」


 スターがアリスが答える前に、言葉を遮る。

 まあ、聞かずともそう答えるのは明白だろう。

 スターが言葉を遮ったのを皮切りに、アリスはスターの顔を見まいとそっぽを向いた。


「まあ、誰も傷つけまいとあなたを槍玉に挙げてるだけであって、別にソードさんを貶めようとかは考えてはいないですから」


「槍玉に挙げてる時点でなんかおかしくないか?」


「年上なんだから我慢してください」


「あ、20枚目見っけ」


 話の流れをぶった切って、メダルを取りに行くロロちゃん。

 その空気の読めなさに逆に感謝するべきなのか。それとも、ただ単に欲望のままに走ってるだけなのか。


「あのさ、ソード」


「ん?」


「なんか、ロロちゃんのあの習性どこかで見たことない?」


「いや、俺は特には……」


「あの習性は猫ですかね」


「だよね……」


 俺の代わりにスターがウィナの疑問に答えた。

 猫ね……。

 確かに光るものを追いかける習性があるとは聞いたことがあるけど。


「俺たちはロロちゃんに化かされてるのか?」


「そういうわけじゃないけど」


「ウィナちゃんは、ロロちゃんがどうしてただのメダルに興味を持つのかが疑問に思っただけなんだよ」


「まあ、そんな感じかな」


「じゃあ、ロロちゃんを先頭にすればお宝にありつけるかもということか?」


「可能性はあきにしもあらずだね‼︎」


 元気よくロロちゃんが出てきた。

 しかも、思いっきり間違えてる。


「ロロちゃん。あきにしもじゃなくて、なきにしもだからね」


「結局どういう意味だっけ?」


「その可能性を否定できないっていう意味かな」


「意味知らないで使ってたのかよ……」


「で、あの塔に行くの?」


「まあ、他に探索が出来そうにもないしな……」


「しかし、あれは本当に塔なのかな?」


「どういうことです?」


「いや、自分で言っておいてなんだけど、塔以外の可能性もあると思ってね」


「まあ、それも行きがてら調べていきましょう」


 またも近いのか遠いのかよく分からないが、目に見えている謎の高層建築物に向かって、歩き出した。

 そういや、未だにあそこの兄妹は仲が良くならんな……。

 やっぱり余計な世話なのだろうか。人との仲を無理に取り持とうというのは。

 まあ、今回は長く見積もって、一週間ここにいるわけだ。……待て。


「誰か、次向こう側に行ける時聞いてるか?」


「………………」


 全員黙りこんでしまった。

 マズイ。誰も聞いてないなら、俺たちはここからどうやって脱出するんだ。


「し、調べ終わったら、海辺の近くに滞在すれば……」


「それすらも、いつまで出来るか分からんぞ。全員が起きててかつ、誰もその場から離れずにいるってのは……夜中にそれが起きたら、視界も悪いから下手できないしな……」


「……ま、悲観的になることはないよ。あの人だって、帰ってこれてるんだから、たぶん、ここに脱出するためのヒントがあるんだよ」


「あるといんですけどね……」


 不安が双肩にのしかかりつつ、一応ポジティブな方向に切り替えていくとした。

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