閉ざされた島
飛行機はないくせに船はあるもんだから、それで出ようかという話になったが、やはりモンスターが危険だとか、原動力が今現在使える状態じゃないとかで却下された。
「楽すんなってことか?」
「そう、都合のいいこともないですよ」
「ソード君に関しては生きてることの方が都合のいいことな気もするけどね」
「どういう意味っすか……」
「まあ、君の人生振り返ってみたらいいよ」
「あなたに諭されるほど生きちゃいないですし、自分に嘘ついて生きてきた気もねえんですが……」
結局は旅に出るまで修行、修行。他の奴らが勉強やら遊びに従事してる間に修行、修行……俺は青春時代を修行で終わらせてしまったのか?なんて、悲しい現実。だが……これも、現実……!
どこぞかの、ギャンブル漫画にあったような表現をしてしまったが、別段そこまで追い詰められた人生は送ってない。ぶっちゃけて言えば、こうして勇者なんてしなくても、食ってけるぐらいの人生ではあったわけだ。
「とりあえず、過去は振り返らず、今を駆け抜けてやりましょう」
「たま~には、振り返ってもいいんじゃないかな?」
「まあ、思い出とかも大切だよな。その辺に生き埋めにされて、俺が最後の思い出にならんように気をつけてくれ」
「誰がするのよ、誰が」
いつか誰かに後ろから刺されても文句は言えないとか言われた気がするんだよな。
「そろそろだぞ」
俺たちは今から、干潮の時しか行けないという島に行く予定だ。
一週間のうち、一時間しか渡れる時間がないらしく、しかも、一週間サイクルというわけでなく、一週間のうちのどこかで起きるというらしい。
おっさんは、そのサイクルを発見しただとかなんとか。だが、今までに使う機会も特になかったらしいから、持ち腐れもいいところだったらしい。
自分だけ行けばいいのではないかという話にもなってくるが、とても一人で行って帰ってこれるような場所ではないらしい。
理由はといえば
「一度行ったら、丸々一週間帰ってこれない可能性もある」
とのことで。
「さあ、そろそろ頃合いだ」
おっさん、名前不詳の方が告げると、海が引いていき、ある一筋の道が浮かび上がる。
これが、一週間のうちの一時間だけ浮き出るという道か。
これが、視界の先に見える島へと繋がっているのだ。
「うっし。行きますか」
「ああ。一つ言い忘れてた」
「何?」
「近くに見えるが、ここからあそこまで走って一時間ぐらいだからな。俺は、一番最初にそれで失敗した」
「先に言え!え、えっと、この中でスタミナがない且つ足が遅いと思われるのは……」
スタミナがない→俺、ロロちゃん
みんなよりは遅れる→アリス
無尽蔵→ウィナ、スター
「うん……俺、頑張ってロロちゃん担いで走ってくよ」
「ちょっと私が足手まといみたいな言い方しないでよ!」
「じゃあ、走るか?」
「負けないよ!」
珍しくロロちゃんがやる気を出している。
俺たちの制止も聞かず、真っ先に駆け出していった。
ただ、あんなペースで一時間近くも持つのだろうか。
それとも、あのおっさんの足が遅いだけで、俺たちのスピードならもう少し早く行けるのでは?
でも、急ぐに越したことはない。
結局、ちょっと遅れる可能性があるので、アリスの手を引いていくことにした。
スピードがいの一番に戻ってきてよかった。
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島まで残り三分の一といったところで、生ける屍を発見した。
どうやら、体力はもたなかったらしい。
ただ、俺たちを置き去りにし、追いつかせなかったことを考えれば、かなり速いのだろう。あんまり、そういうことは考えたことなかったが。
今度はアリスはウィナに預け、息も絶え絶えなロロちゃんを背負っていく。
しかし、本当にこの子体力ないな……。
まあ、最初にウィナと戦闘した時よりはマシになってるけど。それだけでも進歩か。これも自分の足で行こうとしてたんだし。
「ちょっ、ちょっとソード」
「どうした?ウィナ」
「海、戻ってきてない?」
「へ?」
そう言われてみれば、さっきより道が狭くなっている気がする。
「あの人、もしかして少し多めに時間言ってたんじゃ……」
「もしくは、干潮の時間が一定じゃないんじゃ……」
「悠長なこと言ってる場合ですか!速く走ってください!」
「お、おう!」
スターの声に気圧され、ゴールまでのスパートをかけた。
海水が、足に浸るぐらいのところで島へとたどり着き、足を止めたところで、対岸の道は完全になくなってしまった。
「外界から閉ざされた島……か」
「何があるんでしょうか」
「ま、それを今から調べるわけだ」
「と、言っても何か目印にでもなるものがあればそこに向かいたいところだが……」
かなり、木や草が生い茂っていて、これといって目立つようなものも見当たらない。
「お宝の匂いがするよ!」
「ロロちゃん分かんのか?」
「こういうところは廃墟的な遺跡があって、そこの地下深くに秘宝財宝ざっくざくがセオリーだよ」
「どこのセオリーなのかな……?」
「ここ以外の架空世界か魔界の話じゃねえのか?」
「さっそくお宝発見!」
「なんだ?」
ロロちゃんは俺の背中から飛び降りて、宝を見つけたという方向へ向かう。そして、それを拾ってとことこと戻ってきた。
「なんだった?」
「メダル……かな?何に使えるかわからないけど」
「相手にぶつけて使うんじゃねえか?」
「てぇい!」
「痛いな!俺は敵じゃない!」
「意外に使えそう……」
痛みに堪えてる俺をよそに、ぶつけて跳ね返ったメダルを再度拾っていた。自分で発案してなんだが、どう考えても攻撃に使うものではない。だが、人に対しては物理攻撃なので痛いものは痛い。
「まだ落ちてるかも⁉︎」
「そうだな……まあ、探してみようか」
「百枚集めて一機アップ!」
「一機ってなんだ……?」
「体力的なものじゃないかな……?」
テンション上がりまくりのロロちゃんを追いかけながら、俺たちは草木の中へと踏み入れていった。




