意外な能力
「ぬおうりゃあ!」
「ぐほぉ!」
「はい。15-6」
点数が示されているカウンターが1枚めくられる。
「しっかりしてくれよ」
「お兄ちゃんファイト♪」
「あんたらも働け!」
異常なほどのロロちゃんの動きが良すぎる。どこにそんな運動能力を隠してたんだ。
一番背が低いはずなのに、軽々とネットより高く飛んで、アタックしてくる。
スターがこちらの攻撃を凌ぎ、ウィナが的確に、ロロちゃんの元へボールを持っていく。役割分担がよくできている。ぜひとも戦闘でそれを活かしてもらいたい。
「ほらほら~マッチポイントだよ~」
「ちくしょー。勝機はねえのか?」
「まあ、兄さんの移動範囲外にボールを落とす……コート外ですから無理ですね」
なんてこったい。
アリスのスターに対する評価が高いようにも聞こえるが、ここまでやられたらそうならざるを得ない。
「まあ、打たせる順番を変えさせるぐらいですかね」
「具体的には?」
「ウィナちゃんにあげさせなきゃいいんだよ。正確無比にあげてくるから、ロロちゃんも打ってくるわけだよ」
「じゃあ、スターに上げさせればいいんだな?」
「兄さんは上げること、拾うことが出来ても、ウィナちゃんほどではないですから」
「だが、俺もウィナを狙ってはな……」
「まあ、そうだとは思ってたよ。だから、兄さんに一方的にやられる。どうせ、ロロちゃんにも打てないだろうし」
「だが、君の攻撃では、スター君を圧倒することもままならない」
「あいつ上手すぎですよ」
「だから、役割を崩すって言ってるの」
「だが、もうこっちは一回もミスできないんだが」
「ミス、しなきゃいいんだよ」
うちの姫様は頼もしくそう言ってくれる。
「よし、いくよ」
アリスが先陣切ってネットの前まで向かっていった。サーブ権は向こうにあるので、こちらの用意が整うを待ってくれているわけだが。
「せっかくだし、罰ゲームでもする?」
「お前らそういうのはゲーム前に決めて初めて成立するものだぞ!自分たちが勝ちそうだからってそれは許さん!」
「しょうがない。次、取った方が勝ちで。それならフェアでしょ?」
「よし、それ乗った」
「ちょっとお兄ちゃん!」
「残り一点なら負けねえよ」
「声に邪気がこもりすぎだよ」
「さて、何のことでしょ?」
ちなみに相手のサーブはロロちゃんだ。
アタックこそすごかれ、サーブに関しては、落下の力を使うことはできないので、返すことはたやすい。
「ぬおりゃーー!」
「へ?」
どうやって打ったのか、ボールが不規則な動きをしている。
「ちょ、これどうやって取るんだよ!」
「何でもいいからとりあえずあげて!」
「ぐはっ!」
顔面で受け止めてしまった。
ただ、ラッキーなことにボールはなんとか上に上がってくれている。
「カルマさん!」
「おっけい」
俺が上げた?ボールをカバーするようにアリスに向けて上げてくれる。
いや、待て。アリスって、ロロちゃんは確かに凄いが、アリスってアタックできるほど飛べたか?
「お兄ちゃん。飛んで打つばっかが花じゃないよ」
絶妙なボールコントロールで、ロロちゃんの脇を抜けて、ネット際に落ちようとする。
「たあっ!」
だが、向こうも簡単には終わらせてくれないみたく、ウィナが滑り込んで、ボールをあげていた。
みなさん、なんでそんな本気なんですか?
すかさず、ロロちゃんがカバーにいき、トスを上げる。
誰に?って、もうあと一人しかいないけど。
「ハッ!」
「甘い!」
王子が打ってきたところに合わせてブロックするために俺は、飛ばされたいたが態勢を立て直して飛び上がった。
ボールに手が当たって、相手コートに落ちた。
「よっしゃー‼︎」
「…………」
「…………」
「どうしたんだよ二人とも」
「ピー。反則」
「ええ!なんでだよ!ブロックはルールにもあるだろ!」
「ビーチバレーに関しては、そのルールは適用されないよ」
「ロロちゃん飛んでたじゃん!」
「当たってないし、ブロックとして成立してないから」
「不公平だ!」
「負けを認めろ」
「嫌だ!」
「めんどくせえ勇者だな」
負けを認めたくないだけです。
ルールの反則なんかで負けたくない。
「ここからは俺がルールだ」
「いい加減にしろ!」
「オーシャンブルー‼︎」
ウィナにブン殴られた。
「殴ったな!親父にも殴られたこと……ありまくりだなぁ。半殺しにもされかけてるし」
「何を今更なことを言ってんの。というわけで、罰ゲーム」
「…………全員?」
「いや?ソードを今日明日中なんでも言うこと聞くにするから。いいよね?」
アリスとカルマさんは自分に被害が及ばないならと、首をこれでもかと縦に振っていた。
「裏切り者!」
「いや……」
「負けたの君のせいだし」
「連帯責任だろ!」
「負けた時だけ連帯責任というのは感心しないな〜。誰の目から見ても、ルールを知ってなかったあんたが悪い」
「ロロちゃんだってわかってなかっただろ!」
「ロロちゃんは勝ったもん。勝てば官軍、負ければ戦犯」
「ひどいやひどいや……」
「その代わり、命令するのは私だけにしてあげるから」
「なんかいつもとあまり変わらないような……」
「気にするな!行くぞー!」
結局、完膚なきまでに負けた。最終的にスコアは16-6。
まあ、なぜ16点マッチにしたかはぶっちゃけて言えば理由はない。
所詮遊びだしな。
これを盾にして、もう少し反論すりゃ良かった。
後悔も今更なので、ウィナに付き合うことにする。
いつまでも遊べるわけではないからな。遊べる時に遊んでおこう。
時が過ぎ去ってからは、本当に後悔するだけだから。




