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魔王拾いました  作者: otsk
海辺の灯台編
70/145

意外な能力

「ぬおうりゃあ!」


「ぐほぉ!」


「はい。15-6」


 点数が示されているカウンターが1枚めくられる。


「しっかりしてくれよ」


「お兄ちゃんファイト♪」


「あんたらも働け!」


 異常なほどのロロちゃんの動きが良すぎる。どこにそんな運動能力を隠してたんだ。

 一番背が低いはずなのに、軽々とネットより高く飛んで、アタックしてくる。

 スターがこちらの攻撃を凌ぎ、ウィナが的確に、ロロちゃんの元へボールを持っていく。役割分担がよくできている。ぜひとも戦闘でそれを活かしてもらいたい。


「ほらほら~マッチポイントだよ~」


「ちくしょー。勝機はねえのか?」


「まあ、兄さんの移動範囲外にボールを落とす……コート外ですから無理ですね」


 なんてこったい。

 アリスのスターに対する評価が高いようにも聞こえるが、ここまでやられたらそうならざるを得ない。


「まあ、打たせる順番を変えさせるぐらいですかね」


「具体的には?」


「ウィナちゃんにあげさせなきゃいいんだよ。正確無比にあげてくるから、ロロちゃんも打ってくるわけだよ」


「じゃあ、スターに上げさせればいいんだな?」


「兄さんは上げること、拾うことが出来ても、ウィナちゃんほどではないですから」


「だが、俺もウィナを狙ってはな……」


「まあ、そうだとは思ってたよ。だから、兄さんに一方的にやられる。どうせ、ロロちゃんにも打てないだろうし」


「だが、君の攻撃では、スター君を圧倒することもままならない」


「あいつ上手すぎですよ」


「だから、役割を崩すって言ってるの」


「だが、もうこっちは一回もミスできないんだが」


「ミス、しなきゃいいんだよ」


 うちの姫様は頼もしくそう言ってくれる。


「よし、いくよ」


 アリスが先陣切ってネットの前まで向かっていった。サーブ権は向こうにあるので、こちらの用意が整うを待ってくれているわけだが。


「せっかくだし、罰ゲームでもする?」


「お前らそういうのはゲーム前に決めて初めて成立するものだぞ!自分たちが勝ちそうだからってそれは許さん!」


「しょうがない。次、取った方が勝ちで。それならフェアでしょ?」


「よし、それ乗った」


「ちょっとお兄ちゃん!」


「残り一点なら負けねえよ」


「声に邪気がこもりすぎだよ」


「さて、何のことでしょ?」


 ちなみに相手のサーブはロロちゃんだ。

 アタックこそすごかれ、サーブに関しては、落下の力を使うことはできないので、返すことはたやすい。


「ぬおりゃーー!」


「へ?」


 どうやって打ったのか、ボールが不規則な動きをしている。


「ちょ、これどうやって取るんだよ!」


「何でもいいからとりあえずあげて!」


「ぐはっ!」


 顔面で受け止めてしまった。

 ただ、ラッキーなことにボールはなんとか上に上がってくれている。


「カルマさん!」


「おっけい」


 俺が上げた?ボールをカバーするようにアリスに向けて上げてくれる。

 いや、待て。アリスって、ロロちゃんは確かに凄いが、アリスってアタックできるほど飛べたか?


「お兄ちゃん。飛んで打つばっかが花じゃないよ」


 絶妙なボールコントロールで、ロロちゃんの脇を抜けて、ネット際に落ちようとする。


「たあっ!」


 だが、向こうも簡単には終わらせてくれないみたく、ウィナが滑り込んで、ボールをあげていた。

 みなさん、なんでそんな本気なんですか?

 すかさず、ロロちゃんがカバーにいき、トスを上げる。

 誰に?って、もうあと一人しかいないけど。


「ハッ!」


「甘い!」


 王子が打ってきたところに合わせてブロックするために俺は、飛ばされたいたが態勢を立て直して飛び上がった。

 ボールに手が当たって、相手コートに落ちた。


「よっしゃー‼︎」


「…………」


「…………」


「どうしたんだよ二人とも」


「ピー。反則」


「ええ!なんでだよ!ブロックはルールにもあるだろ!」


「ビーチバレーに関しては、そのルールは適用されないよ」


「ロロちゃん飛んでたじゃん!」


「当たってないし、ブロックとして成立してないから」


「不公平だ!」


「負けを認めろ」


「嫌だ!」


「めんどくせえ勇者だな」


 負けを認めたくないだけです。

 ルールの反則なんかで負けたくない。


「ここからは俺がルールだ」


「いい加減にしろ!」


「オーシャンブルー‼︎」


 ウィナにブン殴られた。


「殴ったな!親父にも殴られたこと……ありまくりだなぁ。半殺しにもされかけてるし」


「何を今更なことを言ってんの。というわけで、罰ゲーム」


「…………全員?」


「いや?ソードを今日明日中なんでも言うこと聞くにするから。いいよね?」


 アリスとカルマさんは自分に被害が及ばないならと、首をこれでもかと縦に振っていた。


「裏切り者!」


「いや……」


「負けたの君のせいだし」


「連帯責任だろ!」


「負けた時だけ連帯責任というのは感心しないな〜。誰の目から見ても、ルールを知ってなかったあんたが悪い」


「ロロちゃんだってわかってなかっただろ!」


「ロロちゃんは勝ったもん。勝てば官軍、負ければ戦犯」


「ひどいやひどいや……」


「その代わり、命令するのは私だけにしてあげるから」


「なんかいつもとあまり変わらないような……」


「気にするな!行くぞー!」


 結局、完膚なきまでに負けた。最終的にスコアは16-6。

 まあ、なぜ16点マッチにしたかはぶっちゃけて言えば理由はない。

 所詮遊びだしな。

 これを盾にして、もう少し反論すりゃ良かった。

 後悔も今更なので、ウィナに付き合うことにする。

 いつまでも遊べるわけではないからな。遊べる時に遊んでおこう。

 時が過ぎ去ってからは、本当に後悔するだけだから。

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