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魔王拾いました  作者: otsk
魔法使いの国編
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エルフと魔法と空飛ぶ城と

 見つかった本を三冊抱え、ミーナちゃんが待つ机へ戻ってきた。

 どうやら、俺たちが最後だったらしく、机には全員揃っていて、自分が借りてきた本を読んでいた……と思いきや、王子だけはミーナちゃんの勉強を見てあげていた。


「お兄ちゃんこっちこっち」


「はいはい」


 アリスの隣が二つほど空いていたのでロロちゃんを間に挟んで座るとする。


「なんでそうなるの!」


「アリス……私のこと嫌いなの……?」


「うっ……そ、そんなことないよ!私、ロロちゃん大好き!」


 うんうん、仲良きことは美しきかな。

 うまく、ことは済んだようなので、持ってきた本を開くことにする。


「…………ぐぅ」


「起きろ、アホ」


「いてぇ」


 俺の対面に座っていたのがウィナだったので普通に引っ叩かれてた。

 静かな空間で、読書をするという行為自体が俺には向いているものではない気がする。

 じゃあ、騒がしくしてればいいのかというと、決してそういう意味でもないのだが、まあ、騒がしい空間で読書に集中できるかという話になれば、答えはNOだし。

 たぶん、根本的に勉強に直結するような行為が出来ないんだろうな。

 なるほど、俺がバカなわけだ。

 習慣づければまた変わるのかもしれないけど。


「ソード、何読んでるの?」


「ん?ああ、エルフについての本だよ」


「ソード、あんた一番自分にとっての最優先事項を探せとか言ってなかった?」


「俺にとってはロロちゃんが最優先事項だ」


「そういえば、ロロちゃんってエルフとのハーフなんだよね」


 一応、ミーナちゃんにはそう説明しているが、ミーナちゃんはきっと、人間とのハーフだと思っているだろう。実際は魔王とのハーフですけど。


「ねえねえ、ロロちゃんは何読んでるの?」


「わ、私はモンスターと戦うためにモンスターの特徴が書かれた本を読んでる」


「へえ〜」


「ほら、ミーナちゃんは宿題終わらすんだろ?僕が見ててあげるから早くやろうか」


「は〜い」


 昨日の疲れもあるだろうに、王子は面倒見がいい性格なんだろう。これを少しでもアリスの方に向けてやればいいのに。

 ミーナちゃんも嫌々やってるわけではないところを見ると、王子に教えてもらうことに抵抗があるわけではないのだろう。

 そりゃ、顔だけ見ればイケメンだしな。腹立つ。背は俺の方が上だ。だからなんだという話だけど。

 魔法学が進んでいて、王子は魔法が苦手だということだけど、それはあくまでも実戦で使うものの話であって、知識なら基本的なことは出来てるだろう。

 知識、力、両方を兼ね備えたバケモノみたいなのが一人うちのパーティにはいるけど。

 その、魔法使いは俺を引っ叩いた後は自分が持ってきた本に目を落としていた。聞いたところでわかるわけでもないが、読んでる本について聞いてみる。


「ウィナは何読んでるんだ?」


「バカにでも分かるような教え方について」


「なんか申し訳ございません……」


「誰もソードのこととは言ってないけど、それに嘘だし。この国に伝承されてる最強の杖について調べてるの。私が持ってるのも、かなり上位の杖だと思うけど、これを読む限りだと、私のがそれではないみたいだし」


 そのかなり上位の杖を、普通に俺を殴る武器と化していたんですけど、扱いがぞんざいなのはいいんでしょうか?

 そういや、俺の武器もランクアップしたとはいえ、まだ物足りない感はある。

 現状使いやすいという点では、一番いいのかもしれない。

 だが、これを使いやすいと言っているようでは、魔王に太刀打ちは出来ないだろう。

 そのために力のカケラを集めているわけだが、いったい、七個もどうやって力を分けたのだろうか。

 分かっているのは、スピード=素早さだけである。


「えーっと、これか」


 力は7大悪魔にそれぞれ分配される。ただ、その力の欠片は取られたやつの能力に依存される。

 例えば、パワーが強く、スピードが遅ければ、パワーのカケラは大きく、スピードのカケラは小さくなる。

 能力は均等に分配できるように、7個に分けられるようだ。個人の能力に依存してる時点で、均等もクソもあったもんではないが。


 1.パワー

 2.体力

 3.耐久

 4.スピード

 5.かしこさ

 6.固有スキル

 7.サポート


 1〜5はなんとなく察しがつくだろうから6,7について説明しておく。

 固有スキルというのは、簡単にいえば、武器の扱いだ。魔法使いなら杖、戦士なら斧なりハンマーなり、剣士なら剣といったものだ。

 奪われるとどうなるかというと、戦闘による扱いが下手になる。

 また積み重ねていけば、マシになるものと思われるが、元に戻るかは不明。

 次にサポートについてだが、いかに仲間と連携がとれるかという能力だ。

 下手なやつは味方の攻撃を邪魔したり、独断行動で味方を窮地に追い込んだりするから気をつけろ。


 見事に自分の見解が入りまくりな文章だなこれ。もっと客観的立ち位置で書けよ。読みにくいわ。てか、思わず、目を通してる時にツッコミを入れそうで危ないわ。さすが、俺の父親だな。まるで俺が読むことを前提として書いてあるように見えなくもない。それ以前に魔王にそんなにホイホイ力を取られるものなのか。


「なんか分かった?」


「これを親父が書いてるらしいから、胡散臭さしか存在しないのがな……。この辺が、力を戻す方法らしいんだが、ウィナ出来そうか?」


「うーん。私だと、魔法の系統が異なりそう……この辺りだけメモして、リーチェルさんとかに見せた方がいいんじゃないかな?」


「リーチェルさんか……」


「どうしたの?」


「いや、なんとなく、あの人に違和感があるっつうか」


「パパに何かあった?」


「……気のせいだな。ちょっと話してみるよ。あとは、これか」


 浮遊城へと行く方法。その手立て。

 別に、行くだけと言うなら空を飛べなくてもいい。

 その浮遊城という空間に行きたいのだから。

 ただ、現状はその方法がないために、こぞって足踏みをしている。

 ただ、空を飛ぶ方法については、あまり記載されているものは少なく、どちらかといえば、空間転移によるもののほうが記述は多そうだ。

 だが、この空間転移もあまり上下の移動に対して特化しているわけではないようだ。

 ウィナが言っていたとおり、魔法量に比例して移動距離が伸びるものらしい。

 平面の移動にはそれで事足りるが、上下の移動は数倍の魔法量が必要になるということだ。

 そうすると、ウィナ一人だと移動には限界があるか。ウィナ自身も得意ではないって言ってるし。


「あの人に頼むしかないのか……?」


「あの人って?」


「ああ……俺の目が虚ろになるほど話したくない人だよ」


「エドさんでしたっけ?」


「そう。男には厳しく、女の子には非常に甘い。俺を見た瞬間に殺す気勝手ぐらいの勢いで襲いかかる」


「で、なんの話?」


「魔王城への行き方だよ。空間転移って、移動距離とか、方向で必要な魔法量が変わって来るみたいなんだ。現在、このパーティで使えるのはウィナだけだし、ウィナだけに比重が偏るのもいかんだろ」


「それで、エドさんを?」


「仕方なしだな。話を聞いてくれるか知らんけど」


「どうせ会いに行かなくちゃいけないしね」


「え?そんな話あったっけ?」


「最初のダンジョンでドラゴンがそんなこと言ってたじゃない」


「ああ、なんとか話し合いで落ち着けた、どっかの誰かがトラップに引っかかって起こしたドラゴン」


 エドとセドを連れて行かなきゃいけなかった。

 エドはまだ所在地が分かるから何とかなるものの、セドのほうに至っては雲隠れしやがってるからどこにいるか分かったもんじゃねえな。

 いや、待てよ?


「交換条件として、あいつに乗っけてもらうのはどうだろう?」


「……届くのかな?」


「物は試しだ」


「ふぅ〜終わりました〜」


「お疲れ。よくがんばったね」


 息を吐いて、机の上でミーナちゃんは伸びをしていた。

 王子はそれを労うように、頭を撫でている。


「ちょうどいい時間だな。まだこの国にはいるから、借りたいのがあったら借りてきていいぞ」


「そうですね。僕はあまり読めてないですから、借りてきます。みんなの分もやってきますよ?」


「なら、私ついて行きます。私の方が勝手が分かると思うので」


「そう?なら、頼むよ」


「はい」


 数冊の本を抱えて、王子はミーナちゃんとともに貸し出しへと向かって行った。


「まだ早くないですか?」


「クエストの報告もしておかなくちゃいけないからな」


 報告書を見せて、それを促す。今日は全員で行くことが条件なのだ。

 ロロちゃんが認められるかどうかは別として、すでにリーチェルさんから別金で報酬をもらっている。

 クエストの完了報告をすることで、クエスト報酬を貰えるのだ。

 ちゃんと報告することを条件にもらっているので、誤魔化すわけにはいかない。報告書にはロロちゃんのことを書いてもらっているので、認められることには認められるだろう。

 もう少し日銭は稼いでおくか……


「終わりました〜」


 図書館入り口で待っていた俺たちの元へ二人が戻ってきた。

 本を借りた人に王子は手渡して行く。


「ソードさん。あなたはこれを借りてどうするんですか?」


「ま、いいだろ」


 受け取って、それを小脇に抱える。

 まだ、俺には分からないことだらけだ。

 ちょっとした好奇心が何か功を奏すかもしれない。

 この本がそうであると願いたいものだ。

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