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魔王拾いました  作者: otsk
魔法使いの国編
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負けの意味

 結局、ロロちゃんを寝かしつけたはいいが、帰る時になっても起きなかったので、俺が背負って行くことに。

 ただ、あの中で一番活躍したのもロロちゃんだと言うことをリーチェルさんから聞いた。

 小さいのに、一番気張ってたんだろうな。

 2番隊では、アリスとロロちゃんだけが隊としては残っていたそうだ。

 全員が復活するまでに時間がかかったが、なんとか遺跡を脱出することに成功した。


「皆、すまなかった。あのような手練れがいるとは思わなんだ。今日のところはここで解散とする。各自で帰ってもらって構わない」


 遺跡から出てきて、疲弊し切っている部下たちに向けてそう声を掛ける。

 モンスターが出てくることはないし、いくらかで固まって行けば、あいつのような余程強いやつじゃない限りは襲撃されて全滅するなんてこともないだろう。

 俺たち以外の兵は余程、リーチェルさんに全幅の信頼を寄せてるのか、それを聞き遂げて、各々帰路へと発っていった。


「さて、君たちもすまなかった。荷物は私の屋敷に置いているのだろう?今日も休んでいってくれたまえ」


 その言葉に俺たちは頷く。

 王子は目覚めたとはいえ、立って歩くことが、少々困難だったためにアリスに肩を借りてある歩いている状態だ。このまま次のところへいこうなどとは、到底言えない。

 まだ、強くなる必要がある。

 そのためには、なにが必要なのだろうか。

 実戦経験?経験豊富な同行者?自己の力を高めること?

 どれも当てはまるだろうが、まずは自分たちが弱いことを受け入れる必要がある。


「う、ん……」


「ロロちゃん、起きたか?」


「どこ?ここ」


「遺跡の外に出て、国へ戻ってるところだ」


「ゴメン。また運んできてもらっちゃった」


「そこは謝るんじゃないだろ?」


「……ありがと」


「よくできました」


 ロロちゃんは、俺の背中に身を預ける。

 少し、ずれてしまったので、俺はロロちゃんを背負い直す。


「ねえ、ソード」


「ん?」


「ソードは圧倒的な力の前で手も足も出なかったことある?」


「俺はいつだって、ウィナに平身低頭の姿勢を貫いてるぞ」


「そーいうんじゃなくて、戦闘の話。日常生活で、ウィナに対して腰が低いのは当に分かってるから」


 それはそれで、何か間違ってるような気がしなくもない。


「そうだな……やっぱり最初はみんな弱いわけじゃん。実践もなにもしてこない状態で、知識だって不足しててさ。俺はゼロの状態で、親父といつも修行させられてた。そもそも大人対子供なんだから、敵うはずもねえ。まだ5,6歳ってところだぜ?そのくせにして、まあ、手は抜いてたんだろうけど、その頃の俺は親父が怖くてな。いつも逃げ回ってた。いつの日か、何をやってくるか分かるようになってきて、その行動を読んで、攻撃をしかけるようになった。結局、自分より強い敵と対峙した時にどうすることができるかっていうのは、場数の問題なんだよな」


「でも、本当に強くてどうすることもできなかったら?それが一人や二人じゃなくて、たくさんだったら?」


「覚悟決めるしかないな。特に俺のような勇者はまずその覚悟を問われてから、こうやって旅に出るんだ。今回はロロちゃんとこのリーダーさんが手練れっぽかったから、任せたんだけどな」


「やっぱり、私足手まといかな……」


 一番良くやったと他人が言っても、自分が納得してなければ、それは単なる気休めに過ぎない。上手くやらなければ、自分を責めることになる。

 こんな質問をするってことは、ロロちゃん自身は何もできなかったと思ってるんだろう。

 悲しそうな声で、俺に訴えかけてる。


「そうだな。足手まといかもしれない」


「……そう……だよね……」


「だからなんだ?俺なんか、前の旅なんか、始まってから、終わるまでパーティで一番の足手まとい扱いだったぞ。しかも、直接言われ続けてた」


「でも、その時は違うし……」


「そうだ。その時とは違う。でも、誰もロロちゃんのこと足手まといなんて言ってないだろ?少なくとも、あそこの王子なんか、ロロちゃん以下だな」


「治ったら、覚えといてくださいよ……」


 あり?聞こえてた?


「役割ってもんがあるんだよ。それでも、自分が一番役に立ってないって思うんだったら、力を付けるしかないな」


「できるかな……私にも」


「うーん。ロロちゃんは武器か魔法かって言われたら魔法の方だよな」


「うん。武器だと重いから、軽いのしか持てないし、振り回してるだけで、すぐに体力なくなっちゃうし。かといって、軽いの使って、手数が多くできるわけでもないし」


「まあ、その肝心の魔法も未だイマイチなわけだが……」


「ウィナに習ってるもん!」


「まあ、すぐに出来るもんでもないしな。一ヶ月そこらで出来るもんなら、みんな今頃大魔法使いだ」


「じゃあ、どうするの?」


「まずは量だな。スタートが遅い分、普通と同じようにやったところで習得するのは遅いことは目に見えてる。だから数をこなすんだ」


「数?」


「質ばっか求めて、効率良く、なんてお行儀のいいことなんて出来てたらみんなやってるからな。まずは泥臭く、がむしゃらにやってみること」


「がむしゃらか……」


「それ、ものすごくブーメランな気がするけど?」


「なんのことかしら?」


 さーて、早く帰って、休息取ろう。散々走らされて今日は疲れた。


「こら!ソードは、ちゃんと報告しないといけないでしょ!」


「やべ、忘れてた。ウィナ行っといて」


「全員で行くの!」


「あははは」


「お、元気になったか?」


「うん。戦闘って勝たなきゃいけないものだって思って、負けたらなんも残らないものだと思ってたけど、そうでもないみたいだね」


「そりゃ、生きてるなら何度でも挑戦できるからな。命あっての話だけど」


「うん、私も頑張る」


  ロロちゃんは、そう言って、俺の背中を弾いて、地面へと降り立った。

 だが、まだ少し安定しないのか、少しフラつく。それをウィナが支えた。


「頑張るのも大切だけど、ちゃんと周りも頼りなよ?ロロちゃん、一人で頑張るわけじゃないんだから」


「うん!ソード、おんぶして」


「自分で歩きなさい」


「えー、ケチー」


「歩くぐらいは自分の努力でなんとかなるだろ。自分の努力でどうにもならないことを、みんなに協力してもらうこと」


「うー」


 ロロちゃんは途中で立ち止まる。

 それを見兼ねて、俺はロロちゃんに手を差し出す。


「ま、手ぐらいは引っ張ってやるから、頑張って歩こう。な?」


 その横から、ウィナも手を差し伸べていた。

 ロロちゃんはその二つの手を両方取る。


「ソードも言うようになったね」


「バカ、甘やかしてばかりが教育じゃねえっつの」


「はいはい」


 初のクエストは謎の襲撃者によって、失敗に終わった。

 ただ、この場合は成功報酬と言うよりは、成果報酬という形で、依頼者が任意の金額を出してくれるらしい。

 また、明日から修行だな。

 小さな手を繋ぎながら、帰路を歩いた。



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