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魔王拾いました  作者: otsk
魔法使いの国編
51/145

遺跡調査(2)

 どうにも、こういうダンジョン系の場所は落ち着かない。

 いつ何時に何が起きるか分からないのだ。

 不測の事態に備えておくのも、俺たちの役割なのだが……。


「ソード、もう少し離れてくれない?歩きにくいんだけど」


「どうせ最後尾だし、俺はお前を守ろうとだな」


「足震えてますけど」


「……武者震いだ」


「戦う相手もいないのに」


「あはは。ソード君はウィナちゃんの近くにいたいんだよ」


「どういう意味で?」


「ヒトリヤダ」


「こんなんですから」


 多分、俺一人なら即刻帰ってたかもしれない。

 やっぱ、ロロちゃんがいないと微妙にモチベーションが違う。


「誰だい?ロロちゃんって」


「1番小さい子です」


「なんかそれだけを聞くと君が犯罪者のような響きだ」


「定期的にロロちゃん成分を補給しておかないと最近はやる気が出なくなってきました」


「やはりとても犯罪臭がするよ。君と距離を置かせてもらって構わないか?」


「あー全然いいですよ。俺はウィナといます」


「そして、切るのも早いな……」


 一人ならまだしも、この人がいなくなったところで、俺には大して影響しない。

 というか、なんだか収まりが悪いのだ。


「ウィナでやってみるか」


「やめなさい」


「冷たい……」


 それに呼応するかのように、少しの寒気がしてきた。遺跡内は少し温度が低いのだろうか。

 もう少し進むと、隊長が指示を出した。


「連絡で待機とのことだ。次の指示が入るまで休憩とする」


 どうやってるのか、前との連絡を取って俺たちに指示を送っている。魔法使いばかりの国とでもなれば、そういった、通信魔法みたいなものがあるのだろうか。


「いや、普通に科学の力だね。無線機で連絡を取り合ってるよ」


「でも、こんな遺跡じゃ、電波が届かなくないですか?」


「ま、それを魔法で補ってるってところかな?雷属性の魔法を使えば、代替にはなるからね」


「そういうものですか」


 魔法にも色んな使い道があるもんだ。基本的にモンスターに攻撃することしか考えてないしな。


「この辺りはモンスターとかの目撃情報ってあります?」


「いや、最近は聞かないかな。聞かないだけで、この遺跡は何かしらいるかもしれないけど」


「そうっすか……。こんなにも護衛って必要ですかね?」


「僕も、何に警戒してるのかが分からないからね。数が多いに越したことはないんだろう」


 そうやって、話してる俺たちの頭上を何かが飛び越えて通過して行った。

 影の大きさからして、人だろう。


「だっ……」


 誰だ。

 隊長はそう言おうとしたのだろう。

 それすらも許さずに、通り過ぎた影は、一撃で倒していた。

 前の方で休んでいて、構えをとった、他の護衛も次々と倒されていく。

 動きが疾い。

 先日のカインを彷彿とさせるようだ。

 そして、その足を止め、カルマさんの前に立った。


「何をしている」


「何って?それより、君は誰だい?」


「まあいい。ここにはある封印されし武器があるとのことだ。大方、まだ未開であることから、調査に踏み切ったのだろうが、やめておけ。途中で引き返すことになるだろう」


「相当な自信のようだね……手合わせ願えるのかな?」


「カルマさん!」


 ウィナがその間を割って入る。

 対面していた男は、武器を抜こうとしていたが、その手を止めた。


「賢明だな。その少女に感謝するといい。お前が、私に勝とうなんて、思うわないことだ」


 背を向け、走り去る。さらに、奥へと。

 誰なんだ、あいつは。

 あと、ここは未開の遺跡であるはずなのに、なぜ武器が封印されていることを知っていたんだ?

 考えるほどに、疑問が浮かんでくる。ただ、それはあの男を問い詰める以外には、解決策とならないだろう。


「どうしますか?」


「前方へ連絡を取ろう。隊長、ちょっと借りますよ」


 無線機を取り出して、前方の2組への連絡を始める。


「聞こえますか?こちら、2番隊。何者かの襲撃を受け、突破されました。現在動けるのは三名。厳重注意をお願いします」


「あの、俺たちは」


「ここで待機しててもしょうがない。増援に行こう。いないよりは戦力になる」


「倒れてる人たちは?」


「無線機を持たせておこう。これで定期的に連絡を入れておけば、気づくはずだ。よし、行こう」


 カルマさんが先導して、俺とウィナはその後ろについていく。

 いきなり現れて、俺たちを襲ったのは誰だったのだろうか、

 いや、ならば、なぜ、わざわざ俺たちよりさらに前方にいたあの人たちを先に襲ったんだ?

 効率的には、後ろから来ていたのだから、俺たちからやっていったほうが早かったはずだ。

 取るに足らない敵と見て、放置したのか。

 それは、ともかく先を歩いているあいつらが心配だ。


「カルマさん、急ぎましょう」


「ああ、分かってるよ。それにしても、一体誰なんだろうか」


「もしかして、最近、ランキング上位にいるっていう人かな?」


 そういえば、院長がそんなような話をしていたような気がする。

 拠点が近いって話だったけど、一切合切無視して、こっちに来ていたのだ。

 ただ、向こうもいつまでも、そこに滞在しているわけではないだろうし、こっちに移動して来たのかもしれない。


「彼のことは抜きにしても、前方が心配だね。スピード上げるよ」


 カルマさんが、ギアを上げると、それに合わせてウィナもスピードを増す。

 あの、すいません。俺、そんな早く走れないです。

 結局、俺の限界スピードに合わせて、2人が並走することとなった。

 女子より遅い俺って一体……



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