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魔王拾いました  作者: otsk
魔法使いの国編
50/145

遺跡調査(1)

「ここから、隊を三つぐらいに分けたいと思う。私の独断で分けていくが、文句は言わないでくれ」


 遺跡の前にたどり着き、女の指揮長がそう声を出す。だいたい二十弱だから、一個隊あたり6、7人程度か。

 数で言えば、俺たちは固まっていても問題はないだろうが、あの人の独断と言っていたし、いくらかは分散するだろう。2:2:1で分けられるのはちょっとアレだが。女子は、一人で入れられることはないだろう。独断と言われてもそれだけは阻止せねば。

 前の方の護衛を分けて、縦隊で並ばせている。1に割り振られたところが一人少ないのは、そこにあの人が入るのだろう。


「ふむ。クエストの受注で増えた人員か。君たち五人だね?なら、2:3で分けるか……ちょっと悪いが、1の番号のやつ、後ろから二人、3の番号のところにずれてくれ」


 後ろから2人の護衛は、なんとなく肩を落としているように見えた。この人と一緒の方が良かったのかね?まあ、むさい男連中よりかは、女性が一人でもいた方が、清涼感というか、華やかさはあると思うが。


「そうだな……君と、君と君。1番だ。あそこの1番左の列に行ってくれ」


 王子、アリス、ロロちゃんが指名されて列の方に向かって行った。

 あいつら喧嘩しないといいけどな……。仲裁役の俺とウィナいないし。


「じゃ、君と君は2番の列だ」


 列の最後尾へと2人で向かうと、見知った顔が。


「君たち一緒か〜。よかったよ。隣じゃなくて」


 結局、3番目の列のところはおっさんが6人いるというむさ苦しい小隊になっていた。数人ほど悔しがってるように見える。

 まあ、いた仕方ないところはあるが、文句は指揮長へと言ってもらいたい。

 で、俺たちが並ぶ前の最後尾にいたのはカルマさんだった。

 知り合いがいるなら、まだコミュニケーションを取りやすいだろう。


「では、これからの動きについて説明していく」


「まず〜」


 未開の遺跡だそうなので、先頭が1番危ないとのことだ。そのために経験と、体力的に問題なさそうな3番の列を先陣で行かせる。真ん中が1番被害が少なくなるということで、王子たちの列。最後尾を俺たちの列が担当することになった。


「リーチェルさんはどこに入るんですか?」


「危険が少ない2番の列で同行する。他に質問は?」


 特に上がらないため、先頭が遺跡の中へと移動を始める。

 そこから五分間隔で、隊ごとに進んでいくそうだ。


「そんな大きい遺跡にも見えないですけど、三日もかかるもんですか?移動でも2時間程度でここまでたどり着いたんですし」


「クエストはだいたい長めにとっている。それでも、最低でも2日は覚悟した方がいいかな」


「そうですか」


「質問はいいかな?そろそろだ。私たちも中へ行こう。リーチェルさん。行きますよ」


 かくいうリーチェルさん自身もそこまで護衛がいるのか?ってぐらい、なかなかに鍛えたげてそうな、屈強な体をしているわけだが、念には念をということでもあるだろう。

 俺たちは最後にロロちゃんが入っていくのを見送った。


「大丈夫なのか?あの3人」


「でも、前に言ってた分断にはなったけどね」


「あれはあくまで3人だけと仮定した場合のことを言ったんだけどな……」


「何かあったかい?」


「ああ、いえ。今入っていたので、兄妹がいるんですけど、若干ながら険悪なようでしてね……何かちょっとイベントがあればいいかなと思ったんですけど」


「イベント?」


「険悪な仲を少しでも良く出来るように」


「原因とかは分かってるのかい?」


「さあ?」


「たぶん、ソードだと思いますよ」


「え?俺なの?」


「いや、むしろ自分で発案してるんだから分かってるもんだと思ってたんだけど……」


 心当たりは……と……。

 俺が原因だとして、どこで歪みが生じてしまったのか……。


「ま、スター君が剣に興味を持たなかった、とか、アリスがソードに惹かれなかったら、とかたらればを挙げれば、さすがにそこまで険悪にならなかったと思うけどね」


「一応、互いに互いを心配してたりはするぞ?」


「内心でそう考えても、直接面として、心配してなければ意味ないでしょ」


「まあ……それも一理あるか」


「で、ソード君が原因というのはなんなんだい?」


「兄妹……スターとアリスっていうんですけど、スター君にとっての妹、アリスにとっての兄をソードはいっぺんに奪っちゃったってことですかね?簡潔に言えば」


「そんな状態なの?」


「幼少期からそうなっとれば、それが自然だと感じちゃうからこいつが気づかないのも無理ないか……」


 さらに要約しちゃえば、俺が悪いってことか?

 確かに、あいつらと会ったのは、俺が王子の剣術修行を始めた時からだ。

 だから、王子はともかくアリスなんかは物心つく前だろうし……。


「まあ、あの2人も気づいてないと思うよ。どっちもソードに盗られてた、なんてことは」


「でも、客観的に見れば、そうなるってことだね?」


「そうですね。特に妹の方は物心つく頃には実の兄より、ソードの方にくっついてましたから」


「あぁ、なるほど」


 何が、なるほどなんだ。兄妹ってよく分からんが、一般的に言えば、あんまりベタベタしてるとどっちかが鬱陶しがるもんじゃないの?

 ならば、やっぱり2人を一緒に旅をさせるのは間違ってるんだろうか。

 互いに互いを必要とするならば、助け合えるだろう。兄妹ならば、過ごした時間も俺たちより長いはず。

 だが、見た目では、信頼関係というものはほとんどない。

 やはり、向こうでも喧嘩してる様子が浮かんでくる。


「そろそろ時間だ。私たちも中へ入るぞ」


 俺たちの列を束ねる人が声を張る。

 その声につられて行くように、一列で中へと入っていった。




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