力を合わせて
「それじゃ、行ってくるな」
「あう……私はお留守番ですか?」
「ダメですよお嬢さま」
ミーナちゃんは国の規定で、クエストは出来ないそうだ。うちに至ってはクエストすら出してないけどな。だから、王子とアリスは聞き耳情報でしか知らなかったわけだ。
クエストにいくと言っても、まだこの国から離れるわけではないので、いくらかの荷物はミーナちゃんのお屋敷に残しておく。具体的には俺の木の棒。
「ようやく新調しましたか」
「てめえのところの父上様がちゃんとしたの渡せばよかったんだよ」
「元をたどれば、以前の旅で使ってたものを取られてなければよかったんですけどね」
こいつ、もう俺のこと嫌いだろう。何で俺、こんなに嫌われてんの?
「自分の心に聞いてください」
アリスだな?そうだな?
自分に懐かないのに、俺にばっかりべったりなのを妬いてるんだな?
また、分かりやすいやつだな~もう。
「切られたいですか?」
「あれ?聞こえてた?」
でも、王子が持ってるのは模造刀だったようなそうでもないような。
「ちゃんとモンスターに対応ができるように、切れる剣を拝借してきました」
「それ、絶対返さないやつだよな。世間一般でそれを借りパクと言う」
「いつ返すとも言ってませんから。僕が寿命で死んでも、子供に使わせれば良いですし」
いつまで持ってる気だ。てか、子供に使わせるな。そのうち鈍らになってんぞ。
「ほら、二人ともいがみ合ってないで。早く、クエスト見にいくよ。ロロちゃんも起きる」
「私は朝弱いこと知ってるでしょ~……ぐぅ」
「立ったまま寝てんな。俺が担いでくから、まあ集会所ぐらいまでぐらいは寝かせてやろうぜ」
「そうやって甘やかすから~。……まあ、ソードがちゃんと朝起きるようになっただけましか」
「そうそう……俺もロロちゃんみたいな扱いされてない?」
「ぶっちゃけ言えばロロちゃん以下よ。デカイからロロちゃんみたいに背負うことも出来ないし」
「クソ。デカイことの弊害がここで出たか」
「もうすぐ二十歳にでもなる男がんなことで悩まないで。ほら、こんなことしてるから時間食うんだよ。早く歩く」
「じゃあ、ミーナちゃん行ってくるね」
「行ってらっしゃ~い」
あの子は朝早くでも、ちゃんと起きて見送りに来てくれていた。
ロロちゃんも見習って欲しいものだ。
さて、なんのクエスト受けようかね……。
ーーーーーーーーーーーーー
集会所到着。すでにかなりの人が集まっていた。
クエストは基本的に金稼ぎなので、その辺にいた人と適当に組んでやることもあれば、分配制なので単独で挑む者もいる。
まあ、俺たちみたいにパーティを組んで旅をしてるって言うのは少ないのだ。
とりあえず、最初は解説役のウィナと勉強のために王子を行かせることにした。
「ほら、ロロちゃん着いたぞ。起きなさい」
「あう~」
目をこすりながら、なんとか目を覚ますが、まだうつらうつらしている。なら、夜に行くかと聞かれても、この子夜もちゃんと寝るし。起きてる時間ほとんどないじゃん……。
「クエストってこの国みたいに年齢制限とかあるんですか?」
「いや、特に設けられてなかったと思うが……まあ、俺たちは他所もんだし、例外になるだろ」
ロロちゃんも12歳ということにしてるけど実際は120だし。年齢詐欺、見た目詐欺もいいところだが。
「まあ、でも、女の子が一人で来るようなところではないわな」
何故か知らんけど、いや、むしろそっちを目当てにしてるのか、女の子を物色してるような輩もいるからな。下手にナンパされても、後々厄介だ。
ウィナは一人でも大丈夫かもしれんが、念のために王子を同行させておいた。
で、こっちには俺。
ガタイだけは無駄に良いから、一緒にいれば女の子だけよりはマシだろう。本当にいないよりマシ程度だけど。
「ちょっとウィナたち見てくる〜」
「人の話聞いてた⁉︎」
あまりの自由奔放さに俺、脱帽。
「ロロちゃんは一番……いや、三番目に危ないから」
「なぜ三番目にした?」
「ロロちゃんに声を掛けるって特殊性癖の持ち主だろそいつ。絶対に危ないからな。まあ、少数派だと睨んで三番目にした」
「じゃあ、ソードは特殊性癖だと。ロリコン勇者め」
ねぇ、俺、ロロちゃんの身を案じてしかも少しぼかして言ったのに、この子はストレートにぶち込んできたよ。てか、どこで覚えたそんな言葉。
「ウィナが最初にいってたじゃん」
「そんな言葉覚えなくていいから……」
「私もどちらかと言えばロリですよね?」
「お前は自分がロリだと言われて嬉しいのか?」
「あんまり嬉しくないですね」
「だろ?俺はあくまでロロちゃんだから構っているだけであって、ロロちゃん以外は優しくするだけだぞ?」
「事案が発生しそうなので、先に連絡しておきますね」
どこにだ?ここだったら、あの警察が来るんじゃねえの?
事案:ロリを連れ回して、行為に及ぼうとした。
やめてくれ。冤罪もいいところだ。ただ、ロロちゃんが俺を擁護してくれるとも思えないのが残念なところだ。
そのロロちゃんといえば、ウィナからこれでジュースでも買ってあげてとのことで、ジュースを買い与えてそれを啜っていた。
「どううまく見積もっても兄妹だよな……」
「親子だとお兄ちゃんがすごく若いですしね」
「その選択はなくならないのか?」
「ロロちゃんと恋人にでもなろうものなら、本気で事案ですよ」
ですよね。魔界的計算であと三十年待たないといけないらしいし。
「なんか、ロロちゃんの相手って大変そうだな」
「どういうこと?」
「120年生きてるという割には、人間の子供とあまり変わらないと言うか」
「まあ、むしろ幼い感じすらしますけどね」
「ぶっちゃけた話をすると私自身も自分の年齢を把握してません。もしかしたら12歳かもしれないし120歳かもしれない」
「誰が知ってんだよ?」
「パパかな?」
「まあ、基本的に俺たちはロロちゃんを12歳として扱ってくことにするから。その代わり12歳だと、出来ないことがあっても怒るなよ?」
「そもそもなんで12歳なの?」
「見た目的にはもう少し幼い感じがしなくもないが、あんまり下げすぎると色々面倒なんだ」
「どこの界隈で?」
たぶん、うちの国の界隈で。今12なのか、今年で12なのかでも変わってくるけど。ちなみに俺は今年で19です。ウィナぐらいは覚えててくれるかな。
適当に駄弁っていると、ウィナと王子が戻ってきた。
「とりあえず持ってきた。比較的安全かつ、そこそこ報酬もいいやつ」
ウィナの安全基準次第で難易度が変わってくると思うのだが、今回は王子も一緒だったし、大丈夫だろう。
安全に越したことはない。
クエスト内容は……。
「護衛任務?」
「うん。偉い人が三日ぐらい調査に出かけるから、それの護衛。三日ならそんなに苦にもならないでしょ。言われたことをやればいいだけだし」
「まあ、初めてなら妥当なところか。ただ、この護衛がどこまでの範囲を指すかだけど、それぐらいは説明があるか。じゃ、受けようぜ……ロロちゃん」
「ん?」
「猫に変身してもらって構わないか?」
「なんで?」
「受付前から拒否られたらことだからな。大丈夫、誤魔化しとくから」
「今ここにいるのはいいの?」
「親の見送りとかもあるからな。いくらか子供も見えるだろ?」
「うーん。しょうがないな……ちょっと待ってて」
一応、アリスも着いて行かせた。ペットということにしておけば、大丈夫だろう。条件に猫アレルギーとかついてたら、あかんけどそんなことは記述されてなかったし。
数分して、ロロちゃんを腕に収めてアリスは戻ってきた。
そして、受付へと連れ立つ。
「いらっしゃい。どのクエストを受けるんだい?」
なんか、かなり強面の人が受付やってた。まあ、下手に弱そうな人だとここで揉め事があったら対処出来ないだろうし、適任といえば適任である。
「このクエストお願いします」
「五人だね。……君と後ろのメンバーでいいかな?」
「はい」
「一人足りないようだけど?こちらも嘘の情報を与えてはいけないから、ちゃんと五人いること証明できる?」
「一人トイレ行っちゃってんですけど、もう後三十分はかかりますね。朝方だから混むのに、俺たちに時間使って大丈夫ですか?ちゃんと依頼先には五人で行きますから」
「仕方ないな。ちゃんと五人で行ってくれよ。報告の際は代表だけでなく、五人で来ること。いいね?」
「おっけーです」
承認印と、依頼人先の住所をもらって退出することにした。
さて、ロロちゃんのことをとやかく言われる前に誤魔化せたわけだが、報告の際は五人で行かないといけないのか……。まあ、何とかなるな。
「で、住所ってどこ?」
「大丈夫だ。こういう時のために、集会所には地図が常備されている」
「自分ではわからないんだね……」
始めて来たところで、来た瞬間に全部地図把握できてる奴がいたら、俺は即刻パーティに加えてる。戦闘要因にはなれそうにないけど。
「ここの住所は……」




