表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王拾いました  作者: otsk
魔法使いの国編
46/145

当然の如く、姫はご立腹

 そこから、結局二時間ほど適当にぶらついて屋敷へ戻ってきた。

 特に後ろめたいことはないが、ゆっくり門を開けることにする。

 そういや、デートだってのに、手繋いで歩くのと、膝枕しかしてもらえなかったな。ちょっと残念。

 一応、物音には配慮したつもりだが、思ったより大きな音を立ててしまった。

 中へウィナと二人で入ると、1名腕を組んで仁王立ちしている少女がいた。

 ですよね。感づいて探しに来るかと思ったが、アテが分からない上に下手な労力を使いたくなかったんだろう。


「ただいまアリス」


「言うことはそれだけですかお兄ちゃん?」


 なんか、数時間前にも同じ台詞を聞いたような気がするが、なぜ俺は毎度責められているのだろうか。大抵、俺が責められる時は身に覚えがないか、事故か、とばっちりである。今回はどれだろう……。うん、身に覚えがないな。アリスに言う必要性はなきにしもあらず。


「ある!」


「あるの?」


「だって私とは一度もしてくれたこのとないのに~」


「わーった、わーった。どっかでしような?」


「ほんと?」


「ああ」


「じゃあ明日!」


「それは無理」


「ざっくりすぎるよ!」


 テンションとノリだけでなんとかなるものでもない。こっちだって予定調和しないといけないのだ。今日だって、クエストにいく予定だったのに、1日潰しちゃったしな。明日こそは出ないといけない。


「で、何しに行ってたの?」


「デート」


「それは知ってるよ!」


「もう、ソードが喋るとアリスの神経逆撫でしかしないから黙ろうか」


 聞かれたことにそのまま答えてるだけなのに、怒られる。これは理不尽だ。俺が悪いんですかね?

 俺はそっちのけで、ウィナが今日なにしに行ってたか、説明をしてくれている。

 まあ、無論都合が悪い部分はカットしているが。

 膝枕だったり、スカートに手突っ込んだなんて言われたら、それこそアリスはキレるだろう。

 ウィナはさすがというか、当然至極というか、図書館で勉強会していたことと、俺の装備を買いに行っていたことだけ伝えた。


「お兄ちゃん!今度は私が教えてあげるから!」


「いや、アリスだと余計に惨めになるから普通に遊ぼうな」


「やったー……図書館ってそんなに早く開いてるの?」


 やべ、気付かれた。

 ばあや、誤魔化してくれるんじゃなかったのか?どこまで、ダダ漏れなんだ?

 もしくは、アリスがしつこく聞いたかのどちらかだな。まあ、突撃させなかっただけ、いい仕事をしてくれたというべきだろう。アリスが暴走すると止められんし。

 それのストッパーになってくれると思って期待してるのだが、そいつは未だに距離の掴み方が分からないようだ。


「そういや、王子は?」


「ミーナちゃんに質問責め。ロロちゃんがくたばったから」


 くたばるほど聞くこともあるのか?それとも、俺がフォローしてなかったから、王子では限界があったか?

 とりあえず、行ってみるか。


「ちょっと、まだ話は終わってないよ!」


「ほら、アリス。私が言うから」


 ありがとう、ウィナ。

 ウィナがアリスを回収していったので、俺はミーナちゃんの部屋へと向かうことにする。


 ーーーーーーーーーーーーー


 一応、人の部屋なのでノックをする。


「はーい。あ、ソードさん」


「や。悪いな留守にしてて」


「いえいえ。ロロちゃんと遊べて楽しかったです」


 そのロロちゃんといえば、たぶんミーナちゃんのベッドだろう。そこで、なんだかうなされるように眠っていた。


「いや、そこは薬にならないですから。体の一部ですから」


 一体、何の夢を見ているんだ。角でも掴まれてんのか?


「まあ、ロロちゃんはおいといて、今なにしてるんだ?」


「うー。学校から宿題が出てまして……中々教えてくれる人もいないんで、スターさんに教えてもらってたんです」


「へー。見せてくれる?」


「あ、はい。どうぞ」


 うんうん。全くわけ分かりません。13だから中等部か。中等部でも、小難しいことやってんだな。

 ちなみにたぶんだけど、やってるのは魔法学。


「ソードさん?」


「あ、ああ。ありがと。頑張ってね」


「?」


「ミーナちゃん。昨日も言ったとおり、この人バカだから。理解ができてないんだよ」


「てめえは目上に敬意が払えねえのか⁉︎」


「払う必要があるんですかね?」


 くそ。こいつ、修道院に行ってから性格が歪んでねえか?

 もしかしたら、修道院で何かこいつの性格を変える出来事があったか……。

 うん。何と無く理解できました。勉強は出来なくても、人間関係については察することは出来ますので。

 推測でしかないが、あの修道士長だな。皆まで言うな。俺は分かっている。だから、あえて何も言うまい。


「大変だな。学生も」


「そうでもないですよ。やるべきことをやっておけば、怒られることはありませんし。先生にはいい顔しておけば、成績勝手に上げてくれますし」


 割りに打算的な子だった。

 でも、大抵そう言う子の成績はあまり芳しくない。

 事実そのようで、成績はなぜかいいが、あまり勉強は得意でない典型の子のようだ。

 俺に至っては、1から10まで何も分からんからな。ただ、媚びへつらうことだけは可能だ。やれることはなんでもやっておかないとな。


「どうしてここ、こうなるんですか?」


「それは〜」


 魔法も緻密な計算の元に成り立っているので、あまりいい加減にやるといい加減にしか魔法は発動しない。

 あからさまにいい加減にやってるのに、普通に発動してるロロちゃんは一体どうやって学んだのだろうか?

 魔界式呪術?なかなかに恐ろしそうだな。

 質問責めというのも、勉強についての質問のようで、王子自身のことではないようだったので、退出することにした。

 だって、ここにいても俺ができるのとなんて、ロロちゃん弄るぐらいだし。

 そのロロちゃんも寝てるしな。

 まだ夕飯はできてないようなので手伝いにいこう。


 ーーーーーーーーーーーーー


 俺が厨房に行った時にはすでに、終わっていた。代わりに、ミーナちゃんたちを呼んできてくれとのことで、再び足を向け、食卓へと連れてくる。


「なんで、アリスはご機嫌斜めなんです?」


「目ざといが、そっとしてやってくれ。それで、飛び火が来るのは俺なんだから」


 未だにほおを膨らませて、俺の方を睨んでいた。

 これを俗に言うジト目なのか?アリスがやってるから、結構可愛い。

 まあ、向こうは怒っているので、茶化すと俺に被害しか出てこないだろうし、目を逸らすことにしよう。


「なんで目を逸らすの!」


「いや、お前の方を見たまま飯は食えないだろう」


「じゃあ、私の隣りに来て!」


 アリスの隣りには、ロロちゃんとウィナが座っていたが、なんかロロちゃんは目が虚ろだったので、とりあえず、王子の横へと連れて行き、アリスの隣りへと座る。

 こうすることで、俺の左隣が、アリス。右隣がミーナちゃんとなった。


「大変ですね」


「姫様のワガママは兵士として叶えてあげないとな」


 アリスはさっきとは対照にご機嫌なようだ。分かりやすいやっちゃな。

 ご飯を手につけようとすると、ミーナちゃんに服の裾を引っ張られる。

 そして、顔を寄せてほしいとジェスチャー。


「どうした?」


「ソードさんはアリスさんのことが好きなんですか?」


「普通逆じゃないか?」


「いえ、合ってます。逆は見てれば分かりますので」


 確かに13にもなれば、そういうことに敏感にもなるか。

 だが、この子にアリスのことを好きだと言って、どうなるだろう?

 今日はウィナとデートして、以前にはロロちゃんを嫁候補とか言ってるし。

 ここでの好きがどういう意味を持っての好きなのか。

 ウィナには旅が終わるまでには答えを出すと言った。

 だから、俺は変わらずにそう答える。


「ああ、好きだよ」


「そうですか。でも、誰か一人に絞れてないみたいな言い方ですね」


「ぐっ……」


 それは周知の事実だし、俺自身も自覚しているが、なんでこうも鋭いのか。最近の子は怖いよ。

 女の子だから、こういう反応だったかもしれない。

 男子みたいなクソガキだったら、きっと冷やかすだけだろうな。女の子でよかった。やっぱり、女の子には優しくするものだな。


「じゃあ、ミーナちゃんは好きな男子とかいないのか?」


「私ですか?ソードさんやスターさんみたいな人ならいいかもですけど、同い年じゃみんな子供ですからね。私もですけど。恋愛はいつだってできますから」


「王子はともかく、俺なんか一番歳食ってるくせに、一番子供だからな。上には反発しかしないし、下からも教えてもらってばっかだし」


「そうですか?あんまり自分を下げなくても、見てる人は見てますよ?」


 そう言われても、あまり自分に自信を持ってるわけじゃない。二年前ならまだしも、今は逆に現実を知り過ぎた。

 こうして、嫌な意味で大人へとなっていくのだろう。

 そんなん俺でもいいならって言ってるのに、なんであいつらは……。


「お兄ちゃん。あーん」


「いや、ここでやらんでも」


「思い立ったが吉日!」


「俺的には仏滅かもな……」


「酷い!お兄ちゃんが構ってくれない〜!」


「構ってあげましょうよ。お兄ちゃん」


「やめてくれ……」


 とりあえず、アリスを慰めるために付き合ってやることにする。

 表情がコロコロ変わって、見ていて飽きない。きっと、こいつに惹かれる奴も多いだろう。

 だから、俺はアリスのことが好きだ。

 でも、恋愛感情としては好きにはなっていないだろう。

 家族ごっこの延長みたいなものだ。

 それでも、喜んでくれるのなら、俺はいくらでも付き合おう。

 だが、俺は選べないためにその笑顔が辛かった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ