王族とは
そもそも、王族というのは、王の血族の者を指す言葉であり、それ以外の者は基本的に王族としては認められない。
例外どういうものかと言うと、王族でなかったものが、王位継承するものがいなかった際に王となったものや、元々いなかった存在を作り上げるために、立てられた場合だ。
だから、いくら功績を立てようと、いくら王に媚を売ろうと、その者が王族となることは出来ない。
さらに、王というものは、いわゆるそのまとめている地域でもっとも上の存在だ。
故に、何人たりとも王族を穢すことは許されない。だから、ああやって、護衛なんかが大量にいるわけだ。
さらに、その血族に当たる、子供達もその対象だ。
だから、本来は俺やウィナも王子やアリスに関われることはないのだが、親が縁のこともあり、教育係として王子に剣を教え、アリスと遊ぶことを許可されていた。
多分、同世代の子供との関わりを持つためにちょうど良かったんだろう。
そして、王族は他とは違う使命を背負わされている。
誰よりも、強く、賢く、頼られる人物であること。
そのための英才教育だ。人の上に立てる人物を育て上げるための。
だが、強くなり、賢くなることはできても、頼られるなどうかはそいつの人間性によるところは大きい。
例えば、俺だって王様に猜疑心を抱きまくりだからな。正直政権を俺に渡せと言いたい。
まあ、俺はビックリするほどのバカであると周りから認定されているので、国民のために何かやりましょうって無理だろうな。
それ以前に統率なんか取れない。
だから、王となるものは強く、賢くなる前に、誰かに手を指し伸ばすことができる人間とならなければならない。
一度も人を助けたことのない人間が、弱い立場の人間を思いやるのとなんて到底できやしないだろう。
王子が、その辺を修道院で理解できていればいいのだが……。
「本来、王様なんてものは、ただの飾りでした。あの国だって、せいぜい建国してから50年程度ですし」
「今何代目だっけ?」
「父上で2代目です。もっとも、祖父も父の補佐として今も働いてはいますが」
「王位継承は何才だったか?」
「まあ、現国王が体力的にキツくなったら……50才程度で交代でしょうかね?」
「今何才だったっけ?」
「父上は確か43ですね。ぼくは16ですから、早ければ23で国王です」
「大人にとっての七年は早いが、俺たちにとっての七年はクソみてえに長いからな。ま、あんな城に閉じこもってるよりか、こうして旅をしてた方が何か得られるものがあるだろ」
「そういえば、父も一応王位継承のための意味合いで旅してましたね」
「ああ……やっぱり、うちの親父か?」
「護衛はあと、ウィナさんの父上だったと聞いております。あともう一人いたそうですが、そちらの方の話はあまり聞いてないですね」
「なんかむさくるしそうなパーティだな。それに比べて見てみろ。俺たちのパーティは美少女が3人もいるぞ」
「まあ、女性がいるだけで華やかな感じはしますね」
「だから、俺たちが守るんだぞ。女の子一人も守れないで、王様名乗ろうとするな」
「まだまだ先の話ですけど……一理ありますね。ですが、男2に女3では、守り切れるでしょうか?ウィナさんがいくら強いっていっても、基本が魔法使いですから、攻め込まれれば、そこまで防御力が高いわけでもないですし」
「……やっぱ、あと一人男手増やすべきか?」
「まあ、それが妥当でしょうね。……ソードさんが以前一緒に旅してた方は?」
「雲隠れして行方不明だ」
「そういえば、もう一人女性でしたが、かなりの手練れの方もいらっしゃいましたよね?」
「あの人は俺が個人的に馬が合わない。お前は大丈夫かもしれないが、あの人をパーティに加えたら、俺の命が保障されないぞ」
「仮にもあなた勇者ですよね?」
「男に厳しく、厳しくアンド厳しくだ。俺にはなす術もなく、瞬殺されることは多々あった。何度三途の川を見たことか……」
「ま、まあ前のパーティメンバーは当てに出来ないということで」
「物分りが良くて、師匠感激のいたりだぜ」
「元、ですけどね」
冷たい。元でも師匠ですよ。敬語使っとけば敬意を称してるわけでもないんだぞ。
やはり、ポンコツ勇者とぽっと出の王子では、信頼には欠けるだろう。しかも未だに、俺は力の欠片をどうすればいいか、手元に置いたまま放置している。
どうすれば、俺の元へ戻るか。
「なあ、王子。人の力を奪って、それを具現化させるって現象知ってるか?」
「今、ソードさんが力を失ってるっていうそれですか?」
「ああ。一応、悪魔を倒して一つ欠片を取り戻したんだ」
ポケットに入れっぱなしのスピードと書かれた欠片を王子に見せる。
「なんですか。この作り物感満載のガラクタは」
「ガラクタ言うなや。俺の力の結晶だよ」
「欠片ですけど」
誰がうまいこと言えと言った。
「お前も分からんじゃ、詰みだな。誰か詳しそうな人知らんか?」
「僕も院長以上の人は見たことないんで。でも、どこかに魔法使いの国があるとか聞いたことありますね。魔法使いを育成している国なら、知識人も多いと思いますし、一度行ってみてもいいんじゃないんでしょうか?」
「ウィナ以上もいんのか?」
「ウィナさん以上は私もみたことないですけど……やっぱり特殊な魔法とか研究してる人もいるでしょうし」
特殊な魔法というのは、いわゆる補助魔法の類の方が強い。
ウィナはその辺はあまり使えないようだし、特殊な魔法というならば、もしかしたら、魔王が使ったのも魔法の一種なのかもしれんし、手がかりは掴めるかもしれない。
「ソードー。スターくーん!ちょっと来てー」
ウィナが俺たちを呼びに来た。
おおよそ、ロロちゃんが回復したのだろう。
「じゃ、ちゃんと謝らないとな」
「はい」
王子が全部悪いわけじゃないが、罪悪感があるのならば、しっかり謝っておかなければな。
俺は、王子の後をゆっくり歩いて行った。




