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魔王拾いました  作者: otsk
プロローグ
15/145

パーティの構成(2)

 モンスターと対峙している。

 これが、ダンジョンのボスだとか、ラスボスとかならかっこいい場面かもしれんが、対峙してるのは何度も言うように雑魚中の雑魚だ。

 全盛期であれば、気の棒で舐めプをしていても勝てただろうが、今ではそれもできないことは、最初の戦闘で痛感した。

 たぶん、一体倒すのがせいぜいだろう。

 俺の今の実力を見てもらうにはちょうどいい。憧れを抱いていてくれたなら、幻滅させてしまうかもしれないが、現実は知ってもらわなければ、この先をやっていくことはできない。

 これもその一環だ。

 一対一で、視界の開けた場所で戦闘を行っている。モンスターを倒すなら奇襲でも構わないが、それではこれの意味がない。

 しっかり向き合ってこそ、本来の実力が分かるというものだ。

 フットピッグはその体を力任せに突っ込ませてくる。

 一対一であれば本来はこの程度に負けるほどではない。

 行動パターンも把握してる。あとは、いかにして攻撃を加えていくかだ。

 突進をいなして一撃をいれる。だが、それで向こうが倒れる気配はない。

 でも、これでいい。

 あとは向こうが痺れを切らして、向かってきたのをいなしながら、攻撃をさっきのように加えれば。

 同じ動作を機械的に繰り返して。

 俺は、七発目でようやくモンスターの消滅を確認した。

 ジェスチャーで、来てもいいことを知らせる。

「お……終わったの?」

「ああ。それと、見てて分かったと思うけど、あれが俺の今の実力だ。あれは、初期も初期。雑魚中の雑魚のモンスターだ。それを倒すのに、相手の隙をわざわざつかなけりゃ攻撃が入れられないし、入れても一撃で倒すこともままならない。おまけにここまで時間もかかってる」

「モ、モンスターの力が強くなってるとか」

 俺は首を振る。懇願するように、縋るように、かっこいい俺を描いてくれているのだろうが、事実は覆らない。

「そういえばさっきの人がお兄ちゃんの力を分散させたとか、ロロちゃんの携帯ゲーム機がなんとか言ってたけど、それが関係してるの?」

「ああ。俺は一度魔王と相対している。撃退を成功させたんだが、その際に力を奪われてしまったらしい。ついでにロロちゃんの携帯ゲーム機はモンスターを召喚させるためのアイテムツールだ」

「力を失ったっていうのはどういう範囲で?」

「どうだろうな。日常生活における腕力とか問題ないみたいだが、戦闘の感覚とか、武器の扱いとかが著しく弱体化してんだ。危険はないって言ったけど、俺が守ってやれるということじゃない。モンスターが、ロロちゃんが扱う携帯ゲーム機でしか、召喚されないから奇襲で襲われることはないってことだけなんだ」

 今回は一匹だったし、雑魚だったから、ウィナの力を借りなくても良かったけど、これから先でロロちゃんの力が強くなって、俺の力が戻らず弱体化したままなら、修道院すらもたどり着くのも難しいのかもしれない。

「初心に帰れってことかな」

「何?」

「お兄ちゃんは旅を通して、力を培ってきたわけでしょ?なら、この旅も魔王のところにたどり着くまでにその力を再び培っていくしかないんじゃないかな?」

「初心ねぇ」

 それこそ、初めての旅であればそれも可能なのかもしれないが、一時期の強い自分というのを体感してしまっているため、どうしてもそれを重ねてしまって戦闘をしてしまう。イメージを払拭すれば、もう一度自分が弱いことだけを認識して鍛えようとすることができるのかもしれない。

 一度、手に入れたはずの力の払拭か……。

「俺のことはおいおい考えてくことにするか。姫は戦闘で何をしたい?」

「ぐうたらしてたいです」

「いの一番にやられるからな。そんなこと言う子は守ってあげません」

「お兄ちゃんのいじわる」

「真面目に考えてくれ。ついでに今は俺だけ、近接型。ウィナとロロちゃんは魔法だから、中長距離型だと思われる」

「思われる?」

 ウィナは確定でいいけど、ロロちゃんがイマイチ未知数だからな。おおよそ、そんなに力は持ち合わせてないだろうけど、魔法を使ってたからあくまで予想の範疇に過ぎない。

「あと、ウィナはほんとど戦闘に参加しないものと考えてもらっていい。ウィナだったら、少しの力でも一瞬でモンスターをあしらえるからな」

「ウィナちゃんそんなに強いの?」

「仮にも魔王のところまで一緒に旅したからな。それでなくても、元々魔法の素質が高くてそれ一本でモンスターと戦ってきたんだ。現段階では強くてニューゲームってところだ」

「何それ?」

「まあ、それは置いといて。以上を踏まえれば、姫には前衛、近接攻撃をしてもらいたいけど、無理は言わない。後ろ三人、前俺だけでも文句は言わない」

 前線である以上、後ろで魔法を使ってるより、危険が伴う。姫に、一大事があってはそれからでは遅い。今の俺の力では姫を庇いながら戦うなど到底無理なことだ。だが、後衛なら、ウィナにサポートしてもらいながら戦うことは可能だ。俺はそれを望んでいるのだが……。

「私、前衛やる」

「いいのか?俺は姫を守りながら戦うことなんて出来ないぞ。自分の身は自分で守るんだぞ?」

「私だってそこまで弱くないよ」

「で、何で戦うんだ?」

「剣。兄様の見てたし、他のよりは勝手が分かると思う」

「……その肝心の武器はどこにあるんだ?」

 姫は防具以外はほぼ、手ぶらだ。ほぼだから、何を持ってるかと言うと、盾を持っている。俺、そんなの支給されなかったぞ。

「ちなみにこの盾は使わない時はボタン一つでポケットに入るサイズになります」

「便利だな。で、武器はどうした」

「ああそうでした。これですこれ」

 そういって取り出したのは、手のひらサイズの正方形の箱だった。これがどう武器になるんだ?中に火薬が詰まってて爆弾になってるとかじゃないの?

「これオールウエポンってアイテムです。使用者のレベルに合わせた武器になりますけど、何の武器を使うかは選択ができます」

  夢のような道具だな。要するに、現存する武器のデータがその箱に記憶されてて使う人が選択するだけで、レベルに合わせた武器が使えるということか。誰がやったんだそんなこと。

「お兄ちゃんのお父さんですよ」

「何やってんのあの親父。ただの農家じゃなかったか」

「仮にも勇者だったんですし、そう言った情報提供ぐらいはしてたんじゃないでしょうか?」

「ともかく、前衛二人、後衛二人でやってくか。ロロちゃんもウィナがサポートしながらやれば、十分戦えるだろうし」

 戦力的な面で見れば、素人が三人揃ってるレベルだけど。頼りの綱が自分より年下の幼馴染に頼るしかないとは情けない。

 まあ、今の俺を頼れと言っても信頼性に欠ける。

 せめて、あと一人即戦力が欲しいよな……。

「どうしたの?」

「んー?せっかくだし、城の外だから俺もアリスって呼んでやろうかなって思ってな」

「本当⁉︎じゃあ私もソードお兄ちゃんって呼ぶ!」

「それあまり変わってない上に長すぎんだろ」

「じゃあお兄ちゃんでいいや」

  お兄ちゃんという敬称は変わらないままなのな。いいんだけどさ。女の子に慕われているというのは。どうにもこの子はベクトルが違ってるような気がしないでもないけど。

  でも、慕ってくれてるならそれだけの力を鼓舞しなければならない。俺はできるか?

  できる、できないじゃない。やらなきゃいけないんだ。

  なら、俺はもう一度あの力を取り戻そう。

  みんなを守れる力を。

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