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グレーテルは林檎がお好き

 さて、次だ。

 僕の同級生に付き合っている、とか噂が流れている2人の友達がいるんだ。

だから、その2人を一緒に物語の中に出させてあげようって思ったんだ。

僕は優しいから。

 「ヘンデル役」には大樹たいじゅくん。

運動神経がとてもいい。陸上部に所属していたっけ。勉強の方は確か、悪知恵ばかりはたらく頭のいい子だったと思うよ?

 「グレーテル役」には匡ちゃん。

とっても可愛い子で、いつもピンクのリボンで髪の毛を結んでいたんだ。裁縫や料理が得意な家庭的な女子だったよ。


さて、仲のいい2人は果たしてどんな面白い結果を見せてくれるのだろう。


               ***


あるところに二人の兄妹が両親と共に暮らしていました。

兄の名は「ヘンデル」。

賢くて、強気な子。

妹の名は「グレーテル」。

兄とは違い弱気な所があるが、料理をはじめ家事ができるしっかりもの。

2人はとても仲が良かった。

2人の父は弱気な性格。それに引き換え母は強気な性格。

弱気な父はいつも母の尻に敷かれていた。

そんな家族でしたが、とても幸せに暮らしていました。


ある年、そんな家族が住む村を飢饉が襲いました。


 その年の飢饉はひどいものでした。

毎日、毎日日照りが続き、草木は枯れ果て、川や湖から水は消えてしまいました。人々は食事や水に困り、道端には隣人の亡骸も目立つようになってきました。

 ヘンデルやグレーテルの家も例外ではありません。たちまち食べ物や飲み水が少なくなってきてしまいました。それに、飢えのせいか母の機嫌が最近悪いのです。

「ほら、お前達!うちには食べるものがないんだ、明日、たくさん働くから早く寝な!」

しかし、働けど働けどちっとも楽になりません。

ついに、パンがなくなってしまいました。

父はある日突然姿を消しました。


3人の生活はますます悪くなるばかりです。

賢いヘンデルは思いまいした。

僕たちはこのままでは生きていけない

と。


「明日は森へ行くよ」

母は言いました。

ヘンデルは母が自分を森へ捨てるのではないかと思いました。

「森にはきっと赤いりんごがあるに違いないわ。もうすぐ秋ですもの。」

グレーテルは言いました。

森の木々も枯れ始めているというのに。

 ヘンデルは夜に白い小石をたくさん集めました。そして、その石を父がくれた小さな袋に詰めました。


次の日の朝早く、母は2人を連れて森へ出かけました。森に行く途中の道、ヘンデルは昨夜拾った白石を道へ落としながら行きました。

大きな木のしたにたどり着きました。母親はそこで火を焚くと言いました。

「私は枝を拾ってくるから、お前らはそこで待ってるんだよ。」

母は森の奥へ入っていきました。

2人はしばらく楽しくおしゃべりをしていました。

すると突然、グレーテルが言いました。

「りんごはどこ?私の大好きな赤くて美味しい果実。」

ヘンデルは顔を青くして言いました。

「りんごはないよ、かわいそうなグレーテル。今は待っていることしかできない。」


 しばらくすると暗くなってきました。

しかし、母は迎には来てくれませんでした。

(あ。捨てられたんだな・・・)

ヘンデルは思いました。


「お母様はどこ?!私の大好きな温かくて、優しい人!」

グレーテルは喚きました。

ヘンデルは悲しそうに笑いました。

「お母様はいないんだ、かわいそうなグレーテル。今はまっていることしかできない。」

しばらくすると月が出てきました。


道にキラキラしたものが点々と落ちているのが見えます。そう、あの白石です。

「さぁ!行こうグレーテル!月の光が僕たちを導いてくれる!」


小さな光

点々と

それをたどって

ぼくらは行くんだ。


「ただいま!お母様!」

勢いよくドアを開け、母のもとへ走っていくグレーテル。

「お・・・お前達・・・」

化物でも見たかのような顔で母は2人を見ましたが、すぐ、怒ったような顔になって言いました。

「まったく、のろまなやつらだよ!もう帰ってこないのかと思ったわ。早く寝ておしまい。明日も早いのだから。」

2人は安心して眠ってしまいました。


次の日の朝、2人は母から小さなパンをそれぞれもらい森へ出かけます。

ヘンデルは気づきました。


(どうしよう!僕たちまた捨てられてしまう!)

昨日とは違う道。昨日の白石は役に立ちそうにありません。それに、今持っているのはさっきもらった小さなパンだけです。

ヘンデルはパンを小さくちぎって小道に落としていきました。

夜、月明かりが出たらこれをたどって帰ればいいのです。

昨日とは違う大きな木の下、昨日と同じ母の言葉。2人は遠くに歩いてきて疲れていまいた。

暖かな日差し、小鳥のさえずる声、2人はうっかり寝てしまいました。


 起きたら真っ暗。グレーテルは泣きじゃくりました。

「大丈夫。月が出てきたら帰れるさ。」

ヘンデルは言いました。

しかし、月が出てきてもパンが見当たりません。

ヘンデルは困ってしまいました。

 かわいそうな2人。昼間にお腹を空かせた私の仲間がつまんで食べてしまったのよ。

「と、とりあえず、先へ進もう!」

ヘンデルはわざと笑って元来た道であろう道を進む。

月明かりがぼんやりと二人を照らす。


「あ!甘い匂いがする!お菓子だ!お菓子よ!!」

グレーテルが走っていく先にはお菓子でできた家があった。

2人はとてもお腹がすいていた。

久しぶりの甘い匂いに我慢できなくなったのだろう。2人はお菓子の家を食べ始めました。


「誰だい、私の家をバリバリかじる奴は。」

家の中から声が聞こえてきました。

「妖精だよ!」

「そう!僕たち風の妖精さ!」

2人は夢中になって食べ続けます。

「風の妖精さんたちや、家の中に入ってきてもっとお菓子を食べないかい?」

家の中から声が聞こえてきました。

2人は顔を見合わせると、パッと明るい顔になって家の中に飛び込みました。

家に入ると、おばあさんが笑顔で迎えてくれました。

「おぉ、可愛い妖精さんたち。かわいそうに、こんな森の中までやってくるとは。いいよ、たんとお食べ。お菓子はまだまだあるからね。」

2人はお菓子を食べ続け、お腹いっぱいになると疲れて寝てしまいました。


朝。

「起きな!グレーテル。今日から仕事はいっぱいあるんだよ。」

昨日の幸せな夢から覚めた2人。

ヘンデルは暗くて狭い檻の中。

グレーテルはおばあさんの小間使。

「グレーテル、肉を焼いてたくさんヘンデルに食わせなさい。太らせて食べてしまうから。」

おばあさんがいいました。


そう、おばあさんは「魔女」だったのです。


ヘンデルはひたすら檻の中で物を食べ、グレーテルはおばあさんの言われるがままになっていました。


 あるとき、おばあさんはもうヘンデルが食べられる頃だろうと思い、ヘンデルの檻のところへ行き言いました。

「指を出してごらん。どのくらいの太さになったか見てあげるから。」

ヘンデルは下に落ちていた小さな細い骨を差し出しました。

おばあさんはとても目が悪く、その骨をヘンデルの指だと思い触りました。

「まだこんなに細いのかい?!グレーテル、もっと肉を持っておいで。あんたのお兄さんに食わせて太らせなければならないのだから。」

 しかし、いつまでたってもヘンデルの指が太くならないと、怒ったおばあさんはとうとうヘンデルを食べてしまうことにしました。


「グレーテル、かまどの温度はどうなっているんだい?」

おばあさんは聞きました。

「わからないわ。だって、かまどの温度を見ていないのですから。」

グレーテルは言いました。

「じゃぁ、とっとと見ておいで。私はお腹がすいているのだから。」

グレーテルはかまどへ向かいました。かまどの温度を見ようと思い、かまどの蓋を開けました。すると、、、


「さぁ、グレーテル、あんたも私の腹の足しになってくれるんだろうね?」


かまどの中に入れられてしまいました。


かまどの中からはグレーテルの断末魔。

それが聞こえた檻の中のヘンデル。

「グレーテル?!」

ヘンデルは直感で気づきました。

グレーテルは、もうこの世にはいない。

「よくも・・・それでも母親か?!」


「おや、気づいていたんだね、ヘンデル。」


おばあさんはそう言うと、ヘンデルの見慣れた姿になりました。

「そうだよ、私はあんたらの母親さ。魔女さ。よくも、私を苦しめてくれたね?!あんたたちが生まれてからちっともいいことはなかったよ、しまいには、あの人にも逃げられてしまう。ああ、どこへ行ったんだい?私の愛おしい・・・」

母親はヘンデルの前へやってきました。

「お前ももう少しでいなくなってしまうんだね、寂しいよ。でも、私はもう一人ではない。」


「許せない。」


                 ***


森の中。

1人の青年が暮らしています。

青年はピンクのリボンを片時もはなさず持っています。

その青年は悲しい過去を持っています。

また、あるものを探しています。


                 ***


「鏡や、鏡、壁にかかっている鏡よ。 世界で、誰がいちばん美しいか、いっておくれ。」

 お妃様は私にそう問われました。

なので、私は答えます、

「お妃様、お妃様は決して一番美しいお方ではありません。

なぜなら今一番美しいのは隣国のシンデレラだからです。」

するとお妃様はおっしゃいました。

「まぁ・・・なんということでしょう!!この私より美しい人がいていいわけないじゃない!」

 お妃様はお怒りになっておられます。

「鏡よ、シンデレラは私のために死ななければならないわ。

 どうしたらいいかしら?」

私は答えます。

「お妃様の魔術をお使いになられてはいかがでしょうか。」


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