表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/22

ある城の姫が逃げ出したのは、

 

「結婚をして欲しい」


お父様に言われたときは、

 

「えぇ。お相手はどちら様で?」


胸をときめかせたものだった。


 「私は王妃の遺言に従わなければならない。」


私はお父様がいつもと違うことに気づいた。


 「お父様、私はお父様と結婚をするというの?」


***


 お母様がなくなったのはいつだっただろうか。

お母様の残した遺言。お母様はお父様に言ったのだ。

「私のような女性以外とは再婚なさらないでください。」

それが最期の言葉だっただろうか。


 確かにお母様はとても綺麗な方だった。お父様はお母様以上に美しい方を見つけることはできずじまいだった。

 それに、確かに私はお母様に似ていると幼い頃からいろいろな人に言われていた。将来が楽しみだとか、お父様がなぜ自分には似ていないのだと嫉妬されているとか。それでも皆が笑ってくれたので、私は自分の容姿が嫌いだとは思わなかった。お父様は自分と結婚して欲しいと私に言った。ここまで自分の容姿を嫌ったことは今までになかった。お父様はお母様がいなくなったショックでどうかしてしまっているのだ、と自分に言い聞かせ、


「月のドレス、星のドレス、太陽のドレス、それと千種類の動物の皮で作った毛皮のコートを私にくださるのなら、うけいれます。」


 次の日、私の前には3つの美しいドレスと様々な動物の皮が使われたコートが差し出された。

信じられなかった。絶対に作れるわけないと思っていたのに。

「明日結婚を発表する。」

お父様は今までに見たことのないほど嬉しそうな笑顔をされた。

私は自分の部屋の暖炉の炭でコートと自分の身なりを汚した。

コートをはおり、3つのドレスを持つと、城の外へ逃げた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ