表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100%の集中モード  作者: WE/9
大学セクション

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/69

14.出発前の集結信号

午後四時、新宿駅前の巨大なビジョンには大学バスケットボールリーグの特別報道が流れていた。 「……緊急速報です。大学リーグの超新星、前田健太選手が個人的な理由により、今後の数試合を欠場することが確認されました」 画面には、健太がコートでダンクを決める勇姿がストップモーションで映し出され、下のテロップには「個人的な事情により無期限離脱」の文字が点滅している。足をとめた通行人の中、高校生らしき男子数名が驚声を上げた。「嘘だろ? あいつ、プロ注目のドラフト一位候補だぜ!」


同じ頃、K大学の自治会室。 佐藤はいくつかの書類と資料を会議テーブルに置いた。 「あとは頼んだぞ、後輩たち。すまないが、会長という立場であっても、再来週はどうしても空港へ行かなければならないんだ」 「佐藤先輩、まさか夜逃げじゃないですよね? 大丈夫ですよ、そんなに気負わないで。僕たちでしっかりやっておきますから」


成田空港では――。 「笑っちゃうな。他人の出国を見送るためにわざわざ帰国するなんて、俺も焼きが回ったか?」 飛行機を降りたばかりの零司が自嘲気味に独り言をこぼした。


「えっ? CCちゃんが海外に行くの?」 「そうだよ。彼女、電話で何度もあんたに暗示をかけてたのに、あんたが全然気づかないからどうしようもなくなって、私に電話しろって言ってきたんだよ。あんたね、教育学部でしょう? なんで相変わらずそんなに鈍いのよ」 「悪い、彼女に謝っておいて。日程を送ってくれ、必ず間に合わせるから」 「わかった、じゃあね」 咲良との電話を切った小野寺は考えた。「ドイツの限定コミコンとか行くのかな。もし行くなら、お土産を頼みたいところだけど」


銀座の写真展の搬門。輝は数梱の重いプロ用フィルム冷感ボックスを車のトランクに積み込んでいた。相変わらず冷徹で、無駄のない動きは、まるで重労働ではなく精密な手術を行っているかのようだった。 「準備はいい?」沙也加がドアに寄りかかり、ベルリン行きの片道航空券のコピーを手に悠然と言った。「チケットの諸税と超過手荷物料金は、大学院の経費として『合理化』しておいたわ。私から凜への卒業祝いよ」 「火遊びが過ぎるぞ」輝が淡々と返した。 「いいえ、これは投資よ」沙也加は遠くを見つめた。「あの絶対座標の二人が、ベルリンの極寒の光の下で再現像されたとき、どんなに美しいデータが生まれるか見てみたいの。……今の言い回し、素敵でしょう? 写真家くん」


午後の塾では――。 蛍が猛烈なスピードで模試の解答を終えていた。 「今から向かえば……渋滞を考慮しても、なんとか間に合う」 蛍は答案用紙を提出しながら、ルートの計算を完了させた。「最後の買い出しと食事会には、絶対遅れないわ」


深夜十一時、凜の小さなアパートには明かりが灯っていた。 本来なら感傷的な荷造りの夜になるはずだったが、インターホンが激しく鳴り響いた。 「おーい! 氷室、腹減っただろ! 輝や蛍たちと鍋の材料買ってきたぞ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ