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100%の集中モード  作者: WE/9
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3/59

3.finals mvp

体育館の更衣室。

\[雰囲気はやや重い。1組の女子たちは固まっており、向かいの3組の女子たちを観察している。あちらには陸上部やバレー部が何人かおり、爆発力に満ちているように見える。\]


咲良

どうしよう……相手、めちゃくちゃ強そうだね。うちのクラス、CC以外は運動神経が壊滅的なのに……。

美波

私たち、ボロ負けしちゃうかな?

\[CCは靴紐を結んでいる最中だ。顔を上げ、冷静にチームメイトを一瞥した。\]

(CCのモノローグ)

戦力分析:こちらの平均身長は相手より4cm低く、爆発力は30%劣る。

通常戦術を採用した場合、勝率は10%未満。


\[彼女は立ち上がったが、長い前髪が汗で額に張り付き、視界を遮った。彼女は少し苛立たしげに前髪を払う。\]


(咲良が突然、バッグから鮮やかな赤色のスポーツ用ヘアバンドを取り出した)

CC!これ、あげる!


(CCは一瞬、戸惑う)

これは……?


(咲良は笑って彼女の前髪を全てかき上げ、その額に赤いヘアバンドを結び付けた)

前髪が長すぎるよ、試合中に視界が遮られる!それに……

(咲良は一歩後退し、満足げに頷いた)

赤、すごく似合ってるよ!漫画の主人公みたいで、めちゃくちゃ**気合**が入ってるように見える!


\[CCは額を触った。前髪の遮りがなくなり、視界はこれ以上ないほどクリアになった。その赤いヘアバンドは、彼女の黒髪と白い肌を背景に、ひときわ眩しく輝いている。\]


CC

(口調は断固として)

ありがとう。確かに、これで視界はクリアになったわ。


みんな聞いて。体力で勝てないのなら、私たちは頭脳で勝つしかない。


---


バスケットコート中央。男子の試合が始まる。

\[試合のペースは極めて速い。1組のオフェンスの核は二人に完全に集中していた。健太と悠人だ。\]


健太はパワーフォワードを務め、インサイドではまるで野獣のようだった。

彼は雄叫びを上げて跳び上がり、二人のディフェンダーの上から強引にオフェンスリバウンドをもぎ取り、ターンして**強行レイアップ**。シュートは決まり、ワンスロー(追加のフリースロー)を獲得!

さらに次のポゼッションでは、素早いカッティングでインサイドに切り込み、三人からのダブルチームを引きつけた後、ボールをアウトサイドに鋭くパス。悠人のキャッチ&シュートは一連の流れで決まり、スリーポイントシュートを成功させた。


(健太は胸を叩き、雄叫びをあげる)

もっと来いよ!俺を止められる奴はいねぇ!


(CCのコートサイドからの観察)

健太くんのスタッツは既に**「トリプルダブル」**(得点、リバウンド、アシストの全てが二桁)に到達している。彼のパフォーマンスは間違いなくコートで最も優れている。

だけど……**あの人**がいなければ、健太くんはとっくに体力切れでミスを犯しているはず。


悠人はポイントガード(PG)を務めていた。彼は健太ほど目立つことはないが、CCにははっきりと見えていた。


ボールハンドリングの技術では、悠人のドリブル音は非常に静かで、リズム感が図抜けている。彼は常に、健太が突っ走りすぎた時、冷静にボールをコントロールして**再構築リオーガナイズ**する。

健太がインサイドで徹底マークに遭うと、悠人はスクリーンを使った後の**オフボールでのラン**を利用し、一瞬でコーナーの空いたスペースに現れる。

キャッチ、ジャンプ、シュート。その動作は**教科書のように流暢**だ。


(健太がバックパスでコーナーの悠人にパスを送り、スリーポイントシュートが決まる!健太と悠人の二人だけで相手から20点を連取した)

(悠人と健太はハイタッチを交わし、悠人は穏やかに笑う)

ナイスパスだ、健太。


(CCのモノローグ)

悠人くんはまるで潤滑油だ。彼は健太くんの猪突猛進さを補い、ランニングでスペースを広げた。

彼も多くの得点を決めているが、その動作があまりにも自然で流暢なため、観客にはまるで簡単なことのように思わせてしまう。これこそが**最上級の技術**。


この時点で1組は9点リード。残り時間は10秒未満。男子の試合はもはや決着がついた。

そして、別のコートでは女子の試合が始まった。


\[1組は苦戦していた。チームメイトはパスミス、ドリブルカットが続き、スコアは一時12点差まで開いた。\]


相手(3組キャプテン)

(軽蔑するように笑う)

あんたたち、勉強以外は本当にダメなのね!


\[CCはミッドコートに立ち、赤いヘアバンドをきつく締め直した。その眼差しは鋭くなり、深く息を吸い、手を叩いた。\]


CC

(声は大きくないが、驚くほどの**貫通力**があった)

全員、モード切り替え。

ドリブルは必要ない。ボールを受け取ったら、私にパスするのよ。

咲良、あなたはゴール下、左側45度の位置に立っていて。動かないで。


え?さっきの悠人くんみたいに走り回らなくていいの?


いいえ、私を信じて。

(短い会話にもかかわらず、咲良はCCの真剣な瞳を見て、**完全な信頼**を置くことを選んだ。)


試合が再開した。CCが試合を掌握する。

彼女はもはやボール権を待つガードではなく、コート上の**演算中枢セントラルプロセッサー**へと変貌した。

相手がパスを出した瞬間、CCは相手の戦術発動者を**既に把握**しており、一歩早く手を伸ばし、ボールをカット!ボールを得たCCは速攻を選ばず、悠人のように速度を落とした。


スクリーンを使って自分のマークマンを守備の弱い相手へとローテーションさせた後、CCは視線で相手を観察する。

相手の守備の重心は右側に踏み込んでおり、左側が**空いている(オープン)**!


(CCは素早いドリブルの中で叫んだ)

咲良!手を挙げて!

\[CCは走行中、突然急停止し、両手でボールを**砲弾のように**ゴール下へとパスした。\]

ボールは正確に咲良の手に届いた。咲良は体勢を整える必要もなく、ただ反射的に手を押し出した。

ボードに当たって、得点!


(咲良の驚きの歓声)

入った! CC!私、決めたよ!


(CCは微笑みで応え、冷静にディフェンスに戻った)

よくやったわ。次のポゼッションは、美波は右のベースラインへ。


その後の10分間、体育館はCCの**個人ショー**と化した。

彼女は自分で切り込んで得点するだけでなく、何よりも恐ろしいのは、**完全に彼女の指示に従うチームメイト**を使えたことだ。彼女はまるでチェスを指すかのように、一人ひとりにどこに立つべきかを指示し、その手にボールを正確に送り届けた。

元々弱小だった1組の女子は、CCの指揮の下、驚くほど**流暢な連携**を見せた。

試合終了間際の残り10秒、1組はついに同点に追いついた。


\[CCは汗だくになり、赤いヘアバンドは汗で濡れて色が濃くなっている。彼女は息を切らしながら、ドリブルでハーフコートを越えた。\]

相手の二人がダブルチームを仕掛け、彼女を封じ込もうとする。

(CCのモノローグ)

二人での挟み込み。前方のルートは封鎖。

パスコース……すべてカットされている。

個人の能力で**強行突破**するしかない。


\[CCは重心を低くし、その瞳に**決意の閃き**が走った。

彼女は左へのフェイク(偽動作)を入れると、一瞬で大きく方向転換し、正面から3組のキャプテンを抜き去り、そのままペイントエリアへと切り込んだ。そして、カバーに来たセンターを前にしても止まらず、**難易度の高いフローターシュート**を放った。\]


\[その場にいた全員が息を飲んだ。男子チームのメンバーは試合を最後まで見られなかったが、この瞬間を見られただけでも**後悔はない**と感じた。\]

(バスケットボールは空中に高い放物線を描く。)

(悠人もコートサイドで立ち上がっていた。彼はCCが自分のプレイスタイルを真似ていることを見抜くと同時に、CCの柔らかいフローターに驚嘆していた。彼の視線は空中のボールに釘付けだ)


入る!


**スウィッシュ!**

\[ボールがネットを揺らすと同時に、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。ブザービーター!\]


\[体育館は歓声で爆発した。咲良とチームメイトたちは狂喜し、CCに飛びついて抱きついた。\]

コート上の熱狂が収まった後、皆は笑顔でゆっくりと更衣室に戻っていくが、CCは先ほどのシュートをミスしなかったことに安堵して、微笑みを浮かべている。


\[制服に着替えた後、CCは長椅子に座り、赤いヘアバンドを解いて手の中で弄んでいた。髪は少し乱れ、顔は赤く、まだ息が上がっている。\]


\[冷たい炭酸水サイダーのボトルが、彼女の頬に当てられた。\]


(悠人は笑って彼女の隣に座った)

MVP、お疲れ様。


(CCは水を受け取り、少し恥ずかしそうに髪を整えた)

ありがとう。あなたのプレイスタイルに**インスピレーション**を受けたの。ただ、私が健太くんと悠人くんの役割を同時に演じる必要があったから、注目されてしまっただけよ。


(悠人はふっと優しく笑い、真剣な口調で)

さっきの君、……**すごく格好良かった**。本当に。特に、あの赤いヘアバンドがとても似合ってた。


(CCは手に持った、汗で濃い赤色に濡れたヘアバンドを見つめ、さらに顔を赤くした)

そう……咲良に渡されたものよ。


(悠人は更衣室の入り口を指差した)

見てよ、みんな君のおかげで試合に勝てて、すごく楽しそうだ。それが君がみんなを導いた**力**なんだよ。


\[CCは彼の視線に沿って見ると、女子たちがまだ興奮して試合について話し合っているのが見えた。


彼女は炭酸水を一口飲んだ。冷たい液体が喉を通り過ぎ、全身のほてりを奪っていく。\]

(CCのモノローグ)

すごく疲れて、筋肉も少し痛い。

だけど、「格好良い」と言われた時のこの気持ちは……試合に勝った時よりも、**ほんの少しだけ**嬉しい気がする。


(CCは息を吸い込み、静かに言った)

あなたのさっきのランニングも素晴らしかったわ。パスのタイミングも完璧だった。

(悠人は驚いて目を見開き、そして輝くような笑顔を見せた)

あの厳しいCCに褒められた? それなら、この試合もやった甲斐があったよ!





CCの今日の日記


**記録事項:**

体育授業バスケットボール対抗戦。**「戦術指揮タクティクス・コントロール」**を通じて弱小チームを勝利に導くことに成功。


**今日の観察:**

健太くんのスタッツはトリプルダブルだが、悠人くんの**「隠れたアシスト(インビジブル・アシスト)」**こそが鍵。


**今日の心情まとめ:**

極度の疲労。しかし、心情指数は高め。(備考:悠人くんが、前髪のない私が**格好良い**と言った。この赤いヘアバンド……ちゃんと洗って大切にしまっておこう。)

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