11/11
第11話 漂流者(ドリフト)
この世界に渡る者には、大きく分けて二つの在り方がある。
女神に選ばれ、死と引き換えに呼ばれる転生者。
そして、意図せず境界を越えてしまった漂流者だ。
本来、異世界の者がこの世界に来るだけで、相応の代償を支払う。
異世界間の移動は膨大な魔力の因果を伴い、
魔力耐性のない者は、渡り切る前に内側から押し潰される。
だから女神は選定する。
耐えうる器を持つ者だけを、死を条件に呼び出すのだ。
そうして現れた転生者は、例外的にスキルを得る。
漂流者は違う。
魔術師が強引に門を開いた時。
あるいは、土地と土地の魔力磁場が噛み合い、
偶然“繋がって”しまった時に流れ落ちる。
魔力の因果を大量に受けて渡ってくるため、
生き残った漂流者は例外なく、
魔力量や魔力特性に優れていることが多い。
だから価値が生まれる。
縛られ、使われ、売られる。
それがこの世界の暗黙だった。
天帝が漂流者の召喚を禁じたのは、
それが秩序ではなく、破綻へ向かう行為だと知っていたからだ。
漂流者は異物であり、
同時に――世界を揺るがす可能性そのものでもある。




