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第十話 第一星大賢者

騎団の長がトオルへ強い眼差しを見せる。

その刹那。


世界が、反転した。


「――遅い」


背後から響いた声は、あまりにも近かった。


転移魔法。

それを認識した時には、すでに終わっていた。


第一星大賢者カザリスは、最初からそこに存在していたかのように、トオルの背後に立っていた。

手にしているのは、槍のように細く、しかし杖でもある異形の宝具――《バルムンク》。


躊躇は一切ない。


ズブリ、と鈍い感触。


「――――っ!!」


トオルの胸を、正確に貫いた。

黒水も、黒炎も、反応する前に突破されていた。


次の瞬間、バルムンクが眩い光を放つ。


「ぐ……あ、あああああああっ!!」


光魔法が、槍を伝って直接体内へと流し込まれる。

それは攻撃ではない。分断だった。


――精神が、引き剥がされる。


『ちっ……! やりやがったな、このジジイ!!』


エルダークの声が、急速に遠のいていく。

黒炎が揺らぎ、黒雷が霧散し、トオルの影から魔神の存在感が引き剥がされていく。


「魔神と人の融合など、許容される現象ではない」


カザリスは淡々と告げる。


宝具バルムンク

あらゆる魔力干渉を“純化”し、強制的に分離する」


エルダークの魔力が、光に弾かれ、トオルの身体から引き剥がされていく。


トオルは膝をついた。

血を吐き、視界が揺れる。


その隙を――ハジメは見逃さなかった。


「今だ!」


ハジメは一気に駆け、地面に突き立っていた時空剣ドラグーンを掴み取る。

刃が低く唸り、時空が軋む音が響いた。


『正気か!』


エルダークの声が、辛うじて響く。


『その剣は、竜人専用だ。

本来、人間には使えねぇ』


ハジメは歯を食いしばる。


「……知ってる」


エルダークは続ける。


『あのガキが使えたのは例外だ。特殊なスキルの類がなければ扱える訳がない』


一瞬、沈黙。


ハジメは剣を握りしめ、叫んだ。


「カイはライバルであり。――俺の友だ!!」


その言葉に、何かが応えた。


ハジメのスキル《ギフテット》が、強く脈動する。

仲間の能力を50%の出力で使用できるスキル。



「……来いよ」


“友”として認め、共闘した事でギフテットのスキル条件を一時的にみたし一定時間完全再現される。


オールマイティが、ハジメの中で目を覚ます。


世界が、理解される。


時空剣ドラグーンの構造、因果への干渉、代償――

全てを、瞬時に把握した。


「――行くぞ」


ハジメは、剣を振るった。


空間が裂ける。

音も光も置き去りにして、時そのものが切断される。


世界が巻き戻る。



気づけば、空はまだ静かだった。


エルダークの隕石は、まだ衛星軌道上にある。

地上に異変はなく、戦場も存在しない。


そして―


「……」


時空剣ドラグーンが震え、刃の中から、歪んだ裂け目が開く。


中から現れたのは、竜人。


封じられていた存在――サタン。



サタンは空を見上げ、ゆっくりと息を吐く。


トオルとカイが初見した時間軸に戻った

カイは生きている


世界は、再び動き出した。

そして今度こそ――誰も、結末を知らない。


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