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1. ニュー・異世界・パラダイス

事件というのは偶然が重なって起こるものだ。



まず、出不精のお師匠様が長期出張のクエストを受けた。



あのめんどくさがり……じゃなくて "効率を重視される" お師匠様を動かしたんだから、ものすごい報酬額だったに違いない。


お師匠様というのは "偉大なる魔法使いジェスロ" のことだ。この魔法使い界隈にあかるくない人に説明すると、彼はかつて宮廷魔術師として敵対国の軍と戦っていたすごいお方なんだ!


今や連合王国として平和になって久しいけれど、むかしは十八番の炎の魔法で敵をばったばったとなぎ払っていたのだろう。

それもぼくが生まれるはるか前のお話だ。いや〜〜活躍をこの目で見てみたかったなぁ。


ぼくはその……ぶっちゃけるとその弟子というか、召使いというか、下僕のような存在である。


村で神童と呼ばれるくらいには早熟だったぼくは、魔法使いになるという夢を叶えるため、心配する両親をなんとか説得してひとり城下町に出て来た。


お師匠様の求人張り紙を見つけ、魔術を教えてくれるという約束で住み込みでお世話を始めて早半年、安くておいしいパン屋は見つけたけれど暖炉に火をつける魔法さえまだ習得できていない。


教えてください!と頼んでもその度にあれこれ雑用を命じられてはぐらかされている。それでも片手で数えられるほどだが指導を受け、なんとかロウソクに火を灯せるようになったものの……このままじゃまともな魔術師になる前に大人になっちゃうよ!



そんなお師匠様が、魔法道具を置き忘れていった。これが2番目の偶然。



厳密には、鞄にしまうはずの皮袋ごと肘掛け椅子の上に置かれていたのだ。


中身を確認するためにのぞいたところ、指輪が3つとなにやら複雑な紋様が描かれた重厚な鍵が入っていた。一目で魔法道具だと気づいたが時すでに遅し、お師匠様はとっくに出発した後だった。


指輪の方はぼくの指にはぶかぶか、嵌めてみたがどれも使い方がわからず。しかしぼくはこの鍵に見覚えがあった。


以前夜中にお花摘みに起きたとき、たまたま外出着を纏ったお師匠様が寝室のドアノブに鍵を回して部屋に入る瞬間を目撃したのだ。


好奇心が抑えられずに忍び足で近寄ると、鍵が刺されたまま開け放たれた扉の向こうには見たこともないような景色が広がっていた!


窓のたくさんついた高い建物、通りの向こうを足早に通り過ぎる人々、唸り音を出す箱型馬車。まごうことなき異世界。

どうやら建物と建物の間の狭い路地に扉は存在するらしく、向こうは昼間のようだったが薄暗いこちらにはだれも気づいてないらしい。


しばらく魅入られるように観察したあと、急に怖くなってベッドに戻った。あれは夢だったんじゃないかって思ってたんだよね。この鍵をふたたび目にするまでは。


「ちょっとのぞくだけ……」


いけないとはわかっていたが、出来心とほんのちょっぴり反抗心がぼくを揺り動かした。鍵を手に取り、お師匠様の部屋に向かう。一見、他の部屋のものと変わらないなんの変哲もない家のドアに見える。しかし、鈍色に輝いたドアノブからは魔力が感じられた。背徳感と期待で胸をどきどきさせながら、がちゃりと鍵を回す。


瞬間、外開きのドアがものすごい力で開き、ぼくは勢いよく吹っ飛ばされた!

無様に廊下にひっくり返り、強かに背中を打つ。イタタタ。


「あ、ゴメンっ!開くと思ってなくて!」


扉からやって来た何者かが手を差し伸べる気配がする。痛みに薄目を開けてその手を取ると……


そこに立っていたのは、世にもおそろしい魔物だった。










初投稿につき至らぬ点があればすみません。

感想などいただけると大変うれしいです!

よろしくお願いいたします。


次はギャル視点で書くか、弟子視点でこのまま行くか迷ってます。

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