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番外編 1−1 天使か悪魔か(シフォン視点)

章を新しくします。

最近サボりがちでごめんなさい。

二次創作にハマってます。


「……あれえ?もう一人いるじゃん」

「――!?」


息を止めて、気配を消して。


部族で一番気配を消すのが上手だった母さんですらうちを見つけられなかったというのに、その時の彼女は数秒経たずそう言ったのだ。

流石にその時は驚いた。というか絶望した。


「誰?早く出ておいで、いるのは分かってるもの。……今なら許すよ?」

「――ひぐっ、ふっ、う、うぇえ……」


見つかったのだと分かったなら意地でも早く出て行かなければならなかったのに、いきなり魔力で威圧されたうちは腰が抜けてしまって。

歩けなくて。

立ち上がれなくて。


……あ、ここで終わりかってそう思ったら、思わず泣いてしまったのだった。


「やっぱりっ、駄目なんだ。“完璧”じゃないからっ、ないから……っ!!」

「……お、おう?……え、ちょっ、急に泣かないでって、ごめんね、びっくりしたよね?」


ガチャッと馬車の扉が開かれた。

隅で泣いてるうちを抱き上げ椅子に座らせたその女は凄い優しそうな顔をしていて、誰だよこいつとか思ってしまったのは当然だと思う。


その時のうちが座っていた椅子、ここになかったはずの物だし、いつの間にかふかふかの布を彼女が持っていて、もう訳が分からなかった。


……というか大体、威圧にびっくりしたわけじゃなくて、普通にそいつが怖かったのだ。

殺される、死んじゃうって感情。俗にいう恐怖。


しばらく経って、うちの中で死ぬ覚悟が決まって、泣き止んだ頃。


「うーんと、君、まず名前は?」

「……うちは、シフォン=シファニ、だよ」


聞かれたから、答えた。

苛立たせたらさっさと殺してくれるかなって思って、適当に笑いながら答えた。


……でも、もう怖くなかった。

もう死ねる。

そもそも後悔はない。


……あーあ、“完璧”が良かった。

“完璧”だったら、もっと。

もっと、愛されていたのに、祝福されたのに。


「そう、シフォン。ちょっと外出て?」


女はそう言って、うちを置いて外へ出る。

……広がっていたのは、うちが売られた先、奴隷商たちの死体の山。


「……君は、奴隷商に売られたの?」

「うん。……そうだよ、お姉さん。うちは、家族に奴隷商へ売られたの」

「へえ~、そっか!」


……こいつクズだなって、まあ当然思った。

だって、滅茶苦茶に良い笑顔だったのだ、その時のそいつは。


「ねえねえ、君、じゃあ、楽に死にたいとか思う?」

「……楽に、死ぬ方法があるの?」


うちに希望が生まれたのも束の間、女は、聖女のような髪と顔をした女は、にんまりと美しく笑った。

そこだけ切り取ったなら、誰もが天使のようだって言ったと思う。


状況を理解していたら悪魔っていうだろうけども。


「……うん、決めた。君のこと、絶対に殺してあげないから。死ねない魔法でもかけとこっと」

「…………え」


うちは、もう一度、絶望の底に落とされた。




読んでくれてありがとう!

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