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81 私が最強


「おい、カヴィナ。帰るぞ」

「……あ、終わったの?」


第一側妃様も、第二側妃様も、誰一人として喋らないから、ぼーっとするのもつまらない、と小説を読んでみて、その結果鬱状態になっていた私に、リーが眉をひそめながらそう声をかけた。


「ああ、終わった。……ほら、見ろ」

「……うん、おっけ」


渡された書簡に書かれた文字――『国同士の奴隷を持たない』を見て、少しにやけた。

……そして、同時に。


「こんなことなら、もっと早くすれば良かったな」

「……どういう意味だ?」

「…………ん-、何でもないよ。え、魔王様の部屋で良い?」

「ああ」


手を差し出したところ重ねてくれたので、転移を発動させながら椅子をしまい、書簡の複製を魔法で作り、クローゼットに収めておく。


「“転移”」


去り際、王妃様に軽く手を振っておいて、ただお茶会の予定決めてないじゃん、と思い直したので、


「すぐ戻るね」

「……?」


という遺言(笑)を残した。







「……ん、これ返すね。絶対なくさないでよ」

「ああ、分かっている」


リーはなんだかんだで機嫌が良さそうだった。

漫画だったら音符が浮かんでそう。


「「「……」」」


で、急に現れた私たちに絶句するのが魔王様を取り囲んで跪く、一見宗教みたいな集団と、その真ん中のご本人、魔王様である。


「やほ、ディラン君。魔力暴走は大丈夫そ?」

「はい、大丈夫です」


ディラン君の寝ていたベッドに近づくと、人の渦みたいなのが割れた。

……圧巻。


一応ディラン君の体をペタペタしてみるけど、うん。

本当に大丈夫みたいである。


ていうか、魔王様に舐めた口利くなとか言われそうだと思ってたのに、そんな雰囲気一つない……と思って、振り返ってみればみんなバチバチに殺気を出していた。


……これで気付かないとか、私、危機感なさ過ぎないだろうか。


「……あの、この方に失礼な視線を向けるのはやめてください」

「「――!!」」


ディラン君の一言により、一瞬で辺りの殺気がが静まりかえる。

……お、魔王様って感じだ。


「んー、良いよディラン君、そんなことしなくて。ただ、今殺気を出してなかった……あの青髪に白い一本角の子と、赤黒い髪で長髪の子は重宝した方が良いと思うな?」


あの子と、あの子。

……そう、指を差して示した後で、


「実力差をしっかり分かってるってのは、良いことだもんね?」

「「――」」


全力で、あ、ディラン君はちゃんと範囲から除外して、威圧をぶちまけた。


いや、だって。

今後変に絡まれたりするの、やだし。

最初から実力差ってものは見せておいた方が、得だし。


……なんというか、私はかなり吹っ切れてきていた。


絶対に行かないと決めていた魔王領、それも魔王城に、手違いとはいえ入ってしまったことで、まあ、もう良いかなって思い始めていた。


大体、私が世界で一番強いんだもの。

……そりゃあ、過信しすぎるのも良くないけどね。


自分のいる一つの国の制度も、それなりに頑張れば変えられるんだなって、今回で知ってしまったから、かな。


「んじゃあ、私帰るね。その空の魔石は好きに活用してくれていいから」

「え、ちょっ――」


別に言い残したこともないので、王妃様たちのとこへ転移。


一仕事終えたところで、はてさて、さっさとベルちゃん連れて帰ろっかな。

……そしたらメノウを起こして、いやもう起きてるかな?


完全勝利だよって、言ってあげないと。




読んでくれてありがとう!

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