表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

80/130

65 お姉ちゃん(自称)


「あ、え、ごめん。あの、いやなら、いいんだけど……」

「……いえ別に、それくらいなら良いですよ」


そんなに駄目だったかと思ってちょっと焦る。

けれど、ルー君は躊躇ったことなどなかったかのようにサッと手を差し出した。


お昼までやれることと言ったら勉強か仕事なのだし、暇だし?

手を両手でとって、むにむにする。


「……それ、何か楽しいんですか?」

「え?楽しいよ?」


しばらく私の様子を静観していたルー君は、ふと思い出したかのようにそう言った。


「会った時に比べて大きくなったなあとか、固い手になったなあとか、見てても触ってても面白いし、楽しいかな」

「……そうですか」

「君が良いって言ってくれさえすればハグするんだけどねえ、駄目なんでしょ?」

「駄目というか、嫌です」


頑なだなあ、と思って苦笑した。

前は甘んじて受け入れてくれてたのに、最近はよっぽど久しぶりでもないと駄目みたいなのだ。


思春期が来ちゃったのか。

それが理由なら、本気で思春期なんて一昨日きやがれだが。


お姉ちゃん(笑)は悲しいよ、ルーク。


「あ、じゃあ頭撫でるとかは?」

「……まあ、まだ?」

「ん、こっち来て」

「……――っ!?」

「…………わあ、バレた」


頭に置いた手が数秒持たずに離れた。

無論原因は私である。

……いやハグくらい良くないだろうか?


何をしたかというと、手で頭を抱き寄せたというか、引っ張ったのだ。

寸前で身を引かれたから未遂。


「やめてください」

「……ん、そんなに嫌?こないだは許してくれたのに」

「嫌です」


――反抗期だ。


パッとそう思った。

……なんか、ルー君にもあの子に重なる部分があるんだなあ。


「酷いなあ、一年前みたい。……なにかあった?」

「……別に、何もありませんが?」


言われて見れば確かに、何の脈略もなく出た言葉だったけど、思い始めたらそうとしか思えないのが人間である。


じいっとルー君の深い闇みたいな黒の目を見つめた。

ルークは表情一つ変えずに、そう返した。


……んー?


いや、迷走してきたぞ。

何で今、そう思ったんだろうか、私は。


「ちょっと、ごめんね?」

「……?」


何が理由で、と思って両手でルー君の頬を触った。

ルークは私にキスをする気配がないのを察知したのか、今度は抵抗しなかった。


あ、分かったかも知れない。多分なんというか、その――。


「人間不信がぶりかえしてる?」

「……?」


多分、私は自分で思うより焦っていたようで、『人間不信』というこの世界にないと知っている言葉を、自分用語を出してしまったことにすら気づかなかった。


だって次の瞬間にはもう、私は怒りやら焦りやら、いろんな感情を混ぜて立ち上がっていて。


「――何があったか、正直に話しなさい、ルー」

「…………」


なけなしの理性を駆使してできることと言えば、真顔にならないように意識することと、オーラ的なアレを出さないように気にすることくらいだった。




読んでくれてありがとう!

いいね、ブックマーク、コメントなど、このお話を少しでも面白いと思ってもらえたら(主に作者のやる気アップに繋がるので)、評価の方よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ