63 今見る夢は、嘘か、真か。
『見て見て、ねえ、お姉ちゃん』
……?
走馬灯だろうか。いや待った、走馬灯って死ぬ間際に見るやつだった気がする。
夢、そう夢だ。
やばいやばい、死ぬとこだった。精神的に。
「……るーく…………?」
うん、やっぱこれは夢だな。
なんとなく、そう思った。
夢と現実の狭間みたいな。
ぷかぷかする感覚。目覚める時のこの感覚が、私は結構好きだ。
寝ぼけてるからかぼやけてだけど、私が目に映してるこの子はルークだなって感じた。
「おはよぅ、るーくん…………」
「……おはようございます。カヴィナ様」
「――?」
「なんですかその顔は」
目をぱちぱち。え、ん?
声まで聞こえたんだが。幻聴?
「…………なんでいるの」
「来たからですよ」
「……こっちきて。すわって、ここ」
……幻聴じゃなかった。
本物じゃん。
ベッドの頭近くをパタパタと手で叩く。
苦笑しながらルー君は脇に腰かけた。
……本当に本物だ。
「て、かして?」
「……?……はい、どうぞ」
寝転がったまま、横向きに姿勢を変えた。
眠いのだけど意識はちゃんとあって、不思議な気分である。
顔の前に現れた手のひらを触ってみた。
「ほんとうにあるなあ……」
「ありますけど?」
「……ん、さいあくだあ」
夢だったら、普通にハグして寝れたんだけど。
恨みがましく、ルー君の手のひらを両手で包んだ。
最後の抵抗。腕で顔を隠す。
「それは何故です?」
「……いちばん、あいたくなかったもん。……いま、きみにあうのは、やだったよ」
こういうこと言うと、あとでいじられるし、普段なら言わなかったのだろうけど。
私は夢の狭間にいるのだ、そう、これは夢。
もう面倒なだけなのだから、と考えないことにした。
「カヴィナ様は、俺に会いたくなかったですか?」
「……いじわるなききかたするなあ…………」
「…………」
寝返りを打とうと腕をどかす。
視界は依然としてぼやけていて。あるいは、私が目を細めていたのもあるかもしれない。
「だいすきだもの。あいたかったよ。けど、だいきらいだ。あいたくなんか、なかった」
「……」
眠い。ひたすらに、今は眠い。
私は今、ちゃんと笑えているだろうか。
それか、ちゃんと真顔でないだろうか。
「でもね、だいすきなんだよ、るー」
「……」
私のこの時の意識は本当にあやふやで。
数時間後、予定していた時刻に目覚める頃にはすっかり忘れてしまっていた。
だから、都合良く記憶を消した私は、自分が何を言ったのかも、ルー君がどんな顔をしてそれを聞いていたのかも、知らずにいた。
いや、もしかしたら。
その時の私はルー君の表情を確認してはいけないと、気付いていたのかもしれない。
本能で分かっていたから、ルー君に甘えて、なにも気付いていないフリをして。
ルー君が聞かないのを分かっていて、都合よく記憶を消してしまったのかもしれない。
……さてこの夢は、嘘か、真か。
知っているのはルー君と、あと三人。
……意外にいるな。むしろ多い気すらするのだけど?
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