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64/130

50 ※ちなみに時刻は午前4時


「なので――誰だ!?……ああ、お前か」


いきなり剣が飛んできたと思ったら、こちらを振り向いたリーは納得した様に目を細めた。

頷き返し、肯定の意を示す。


「ん、正解、私です」

「……カヴィナお前、もう転移まで使えるのか」


どうやらリーは黒髪黒眼の少年……あ、魔王だ、この人。

まあ、とりあえずマンツーマンで何やら話していたようである。


「使えるけど?見せたことなかったっけ。……あ、こんちゃ、ディラン君」

「魔王様と呼べ」

「ん、魔王さま。私はカヴィナ・テディー、お姉ちゃんって呼んでくれていいよ」

「良い訳ないだろう」


……昨日、第二側妃様が「漫才」って呟いてるの聞いたときはおいって思ったけど、あながち間違ってないかもしれない。

てか、ここまでいったらもう漫才である。


「は、初めまして。ディラン・ラ・ヴィリアです。あ、えと。僕のこと知ってるんですか?」

「……ん-……知ってるというか……知らないというか……?」

「??」


とても不思議そうな顔をされている。

でもなあ、馬鹿正直に話すわけにもいかないし。


「まあうん、そうだね、知ってる。知ってるよ」


とりあえず頷く。

知ってるには知ってるのだし、誤魔化したって意味ないだろう。


「君がラテの村にいるって教えたの、私だしね」

「――……そう、でしたか」


座っていた魔王さまは、ちょっと俯いた。


「あのままが良かった?」

「……欲を言えば、穏やかな暮らしのままが良かったです」

「へえ、あのままだったら近いうちに君のせいで()()が殺されてたけどね」

「――」


リーは何も言わずに黙って聞いていた。

いやまあ、なかなかに残酷なことをしてるなとは思う、が。


原作の魔王、ディラン・ラ・ヴィリアは、命の尊さというものを良く分かっていた。

誰しもいつかは死ぬのだということを、自分がそれを簡単にできてしまうのだと、良く理解していた。


もっと言えば、小説内ではラテの村で暴れたこともあって魔力をある程度消費していた。


ただ、今回はそれを止めている。

その分、ディラン君は魔力を貯めているのだ。

制御のままならないままで暴走なんかしたら、そこらの国は余裕で吹っ飛ぶのである。


「……あなたは、どこまで知っているのですか?未来を見通せるのなら、先生たちとだってもう少し――」

「知ーらない」


ディラン君は……魔王さまは、やっと顔をあげた。


「君にはねえ、幸せになって欲しいと思うけど、依存して欲しいとは思わないんだ」

「……??」

「もうちょっと考えようね、魔王さま。あなたは魔族の王なんだから、『死ね』って命じれば魔族みんな『喜んで』って言って死ぬんだよ」

「――……」


命は、軽いのだ。

簡単に潰せてしまうのだ。


もとより、高いところから落ちただけで死ねる体。

もとより、魔族の命綱を常に握る魔王さま。


……もう少し、威厳を持って欲しいかな。魔王さま?




君には、依存して欲しいと思わない。

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