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45 転生者は全員鈍い?(リリアンヌ視点)


『救援要請』


……それは、数年前に入り口が見つかり、現在“反魔の迷宮( ダンジョン)”と名付けられた迷宮(ダンジョン)において。

大規模な魔物の行進(パラダイス)の発生が予知された場合、王家よりパラルフィニアー家に兵と王家に連なるの者一人を派遣する、というもの。


つまり、王家への強制力を持つ、パラルフィニアー家唯一の権利である。


「――とはいえ、兵とは名ばかりの新兵、王家に嫁いだはずのわたくしが生贄。……わたくし、まだ死にたくはないのよ」

「……」


知ってるわ、とは言えなかった。


いえ実際、雨実の記憶にあった、特にこの世界関連のことは全て頭にいれているもの。

救援要請も、パラルフィニアー家の歴史も、まあ知っているのよね。


「はあ、分かりました。それで、魔物の行進(パラダイス)ってもう起きたんですか?」

「……意外に、あっさりしているのね。知っていたの?」


知っているわけないでしょう。

仮に知っていたとして、そうだなんて言えるわけないでしょう。


これ、国家機密扱いだったはずじゃない……そもそもなんで話したのかしら。


「知る訳ないじゃないですか、驚いてますよ、ええ」

「……おい」

「こらイリアネス」


机にうつ伏せになって眠りかけているあたしをイリアネスが非難する。


……イリアネスね、イリアネス。

イリアネス、イリアネス。


「驚いてるんですが、眠いです、とっても」

「……寝不足なの?」


ああ、失言だったわね。

働くことを求められているのに、寝不足を疑われるのは良くないわ。


「……ご心配なく。睡眠不足と呪術の効率は関係ありませんので」

「いえ、そういう意味ではなくて……」

「……?」


ならどういう意味だと、顔を横にいるシャーベティ・パラルフィニアーに向けた。


「体調が悪いのなら休んだ方が良いのではなくて?」

「……」


絶句した。

余計に信じられないのは、至って真面目ですと言わんばかりの顔をしているところね。


思わず顔をあげて青髪の……そう、イリアネスを凝視した。

驚いたというより、なんというか……雨実の言葉を借りるなら、ドン引きして目が冴えた。


「え、ちょっとイリアネスさん?」


あたしの気持ちを表すと困惑。

……貴族ってこうじゃないでしょう!?


「ん、え、この人の情操教育どうなってるんですか?」

「本性表しましたね」


あまりにもあたしが言葉を濁さず言ったからだろうけど、イリアネスはそう返した。


「ん゙ん……失礼。いえ、この人もしかして影武者だったりします?」

「しません。あと何も変わっていません」


そんな言葉で攻撃をされても、今のあたしは混乱状態なのではっきり言って無敵だった。

ダメージどころか冷静になってきているから一周まわって回復かしら?


「……それでこれなら。……凄いですね」

「同感です」

「……何の話?」


転生者とはいえ、心ごと完全な貴族の時期もあったでしょうに。

庶民の感覚が残っていることを称えれば良いのか、あるいは天性の優しさというものなのか。


……敵わないわね。

なんなら一生関わりたくない人種だわ。




読んでくれてありがとう!

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