番外編 4 厄介者の歴史
なんだか、いいのでは?
安定期に入ったのでは?
パラルフィニアー家は、公爵家である。
王国が建国された年、王に信頼されていた側近4人が公爵の名を拝命した。
建国から現在まで歴史は途絶えておらず、由緒正しい四つの公爵家は王家に並ぶ権力を持っている。
本来、これはありえないことである。
王とは絶対的な権力を持つ者でなくてはならないという考えが根付いている国では余計に笑われるだろう。
これは、建国に至るまでの経緯が由来している。
当時、各国の間で激しい戦争が続いていた。
当国も一時期は他国の属国となり、国は非常に弱っていたそうだ。
まともに食べられるものなどなく、紛争も多発していた。
そんな中、行方をくらましていたアンドレア王子が帰還する。
王子は共に亡命していた4人の側近と共に戦い、国土を取り戻し、無事に国王となったのだ。
その4人の名前より公爵家の家名はつけられた。
魔術師フィニアより、フィニアンダ家。
聖女アシュリーより、アシュリート家。
呪術師リティバより、リティバラル家。
盾使いパラルフより、パラルフィニアー家。
王国の発展につれて、各公爵家は優秀な子息を生み出した。
フィニアンダ公爵家は多くの魔術師を。
アシュリート公爵家は多くの治癒師を。
リティバラル公爵家は多くの呪術師を。
パラルフィニアー家の者は盾使いとして優秀だったが、戦争が収まり、当時平和だった世の中において盾使いは不要だった。
そのような背景がある中での、ある時。
その代の国王はこう言いだした。
『パラルフィニアー家には山に隔てられた国境の守護を任せよう』
それは、体のいい厄介払いだった。
しかし反対する者は一人としていなかった。
誰もが適任だと思っていたのだ。
強大な力を持つのなら是非発揮してくれ、と。
その地は夏になると山脈から魔物が降り注いだ。
現在の迷宮より、魔物の氾濫が起こる現象を魔物の行進と呼ぶのはここからくる。
盾使いなら盾らしく。
公爵家が王都から遠のいてくれれば。
様々な思惑が絡み合って、パラルフィニアー家は国境を治めることになった。
それからまたしばらくして、ある年の夏。
その年は魔物の被害が減ったなど、例年と違う箇所がいくつかあった為、万が一と当時の領主は王家に増援の連絡をしていた。
ただ、王家は出し渋った。
仮に何事もなかったら兵の無駄、物資の無駄。
様々な屁理屈をこねにこねて、結局増援は送られなかった。
しかし最終的に領主の予想は当たってしまった。
それも、例年の約6倍の魔物が訪れるという最悪な形で。
甚大な被害が出た。
貴族はここぞとばかりに王家を批判した。
――パラルフィニアー家はアンドレアス王家より、『救援要請』という手段を手に入れた。




