26 そんなこと言われましても。
「ん-……とりあえず君、ちゃんとベルを助ける気はあるんだろうね?」
「勿論よ」
私はステラの目をじいっと見つめた。
うーん、なら良いんだけど……。
「ステラさ、奴隷市場とか、分かる?」
「分かるわ。攫われそうになったことがあるもの」
「…………は?」
私は無意識にオーラ的な何か、威圧感を出す例のアレを出したらしい。
ステラが小さくだけどびくっと震えた。
「あーうんごめん、ちょっとイラッときちゃっただけだから」
「……真顔で言わないでもらえる?説得力がないわよ?」
ステラはちょっと引き気味になりながらそう言う。
そんなこと言われましても。
「ここで急に笑顔になっても君、気持ち悪って思うでしょ?」
「今もう思ってるわ」
私はちょっと考えた。
“不敵な笑み”はまずない。
ステラとキャラが被る。
“満面の笑み”も多分ステラは気持ち悪いって思う。
……まてよ?
どうせ思われてるならいっそマイナスの方向に頑張ればいいのでは?
頭の中で営業スマイルを思い浮かべた。
「うん、別に気にしてないよっ!話、続けよっか?」
「……気持ち悪いわね」
漫画なら間違いなく『うへえ……』っていう文字が出るような表情である。
何なの君。
どうしたら気持ち悪くないの、逆に。
私にどうして欲しいっての!?
「え~?そんなこと言わないでよ!私だって傷つくときは傷つくんだからね、ステラっ?」
「ちなみに今は?」
「全く?」
「……そう」
シャッターを閉じるように、笑顔を消した。
そうは言ってもねステラさん、意識しないと真顔になっちゃうんだよ、これが。
「面倒な、どうしろっての?」
「……いつものあほらしい表情でいいわ。真顔とさっきのじゃないなら」
今度は別のシャッターを開ける。
前世から使ってる、“ちょっと抜けてるけど鋭いところもある明るい子”のレッテル。
要するには人工の天然?
「参考までに、何でさっきのは駄目だったの?」
思いついたので聞いてみた。
ちゃんと人工の表情も作ってる。
ステラは苦々し気に目を逸らして呟いた。
「……こげ茶っぽいわ」
「えーっと……誰?」
いや分かるし知ってる。
髪の色で呼んでるんだよね、うん、けど、うちにこげ茶は沢山いるんだ。
……ていうか、完全作り笑顔で過ごしてるような子、いたっけ?
「あたしたちの教育係」
「……メノウのこと?」
「……誰よそれ?」
今度はステラがはてなマークを浮かべた。
……身近な人の名前くらい覚えて欲しいんだけど。
「教育係……シェイラ?」
「分からないけど、白髪の前では猫を被ってる奴よ」
「……ますます分からないんだけど」
猫を被ってる?
いや誰?
なにかな?
いつの間にか私の認知してない子が入ってたりする?
「第三の、確か臨時代表?副代表?みたいなので……」
「――シェイラかな?」
「妙に語尾が間延びしていて……」
「シェイラだなあ……」
「白髪の前だと真面目になるわ」
「……誰」
いや誰。
真面目?
あの子が?
基本おちゃらけているというか、面白いか否かで行動する子だと思うんだけど。
「ん゙ん゙っ……ちょっと今からシェイラの真似してみるから、君の言う『こげ茶』と似てるか教えてくれる?」
「良いわよ」
ちょっと目を閉じた。
明るくて、面倒くさがりで、ジェフが好いている女の子。
「ステラちゃんってさぁ、カヴィナ様のこと好きぃ~?」
「嫌い」
「……で、どう?」
「…………よく分かったわ。白髪の言うそいつとこげ茶は同じ奴よ」
ふざけて行った好感度チェックはバッサリと切り伏せられてしまったが、ステラはそう答えた。
「ん-?でも私の知ってるあの子は、作り笑顔の時はあれど、割とちゃんと笑ってるし、真面目なとこなんて見たことないけど……?」
「知らないわよ」
「ええ……?」
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