番外編 2−9 白髪の愚痴(ステラ視点)
……ええそう。
思い始めていたわ!
なんなら思ってすらいたわよ。
ええ、良い奴なのかもね、そうかもしれないわね。
……けど!
「大体さあ?言われてたはずでしょ~?『魔法禁止』、ってさ?わざわざそれを破ってまで教える必要あった?どうせ“研修”が終わったら習えたはずなのに?誤発とかしちゃったかもしんないのに?なんでそんな面倒なことするのかな?本当。しかも挙句の果てには喧嘩してベルちゃん出てっちゃったんでしょ?しっかりしてってば妹ちゃん。まだ同室なんでしょ?ちゃんと確認してから寝ればいいでしょ?」
あたしはチラッと時計を見た。
白髪が頬杖をつきながら結んだ雪のような色の髪の毛をいじりながら真顔でそんなことをぐちぐちと言い始めて、もう30分は経つ。
あいつは良い奴なんだろう。
紛れもなく。
だって、そうでもなきゃ貧民街の貧民ばかり集めるような真似するもんですか。
……けど、これはしつこいわ。
同じことをこうも繰り返されるのははっきり言って面倒くさいわね。
……まあ、いい意味で拍子抜けはしたわ。
もっとこう、脅されるというか、滅茶苦茶に怒られるのを想像していたのだけれど……。
なんというか、白髪はあたしがベルに魔法を教えたことより面倒ごとを起こしたことを怒っている感じで。
むしろ秘密で教えるなら最後まで秘めておいてよ、みたいな叱り方で。
……いえ、でも聞いていて耳が痛いのは事実だわ。
それに、そろそろ精神的に疲れてきたもの。
今まで黙って白髪の説教というより愚痴と言った方が正しいようなものを聞き流していたあたしはそこでようやく重い腰を上げた。
「ベルより――?」
「……白髪」
「…………何?」
白髪は足を組んで、頬杖をついたまま首をこてんと傾ける。
先程と何も変わらない真顔だ。
けれど、最近見慣れていた、満面の笑みと言うに相応しいあの――完全な笑顔の方じゃなく――完璧な笑顔ではないから、小さく違和感を感じる。
そんな表情はまるで壊れた人形のような。
……歪な笑顔のように見えなくもなかった。
「結局ベルは見つかっているの?」
「うん」
「……そう。まだ助けてはいないのね」
「……うん?だから言ってるじゃん、面倒なことになったって」
あたしは首を傾げた。
……あなた、面倒なことになったとは言っていたけれど。
「具体的なことを聞かせて頂戴?白髪、面倒としか教えてくれないじゃない」
「……そうだっけ?」
「ええ」
「ん-……とりあえず君、ちゃんとベルを助ける気はあるんだろうね?」
「勿論よ」
読んでくれてありがとう!
いいね、ブックマーク、コメントなど、このお話を少しでも面白いと思ってもらえたら(主に作者のやる気アップに繋がるので)、評価の方よろしくお願いします。




