22 うん、まあ、いっか
メノウ→カヴィナ→メノウです
「うーん……昨日の夜に入り込んだきり眠ったまま……は、ないのでしたね」
「そうなんですか?」
「ベルはご飯を食べているとシェイラが言っていたのです。つまりそれまではシェイラの研修だった訳なのです」
「……」
名推理、とばかりに胸を張ります。
しかし予想と裏腹にジェフは考え込むのでした。
「それ、ちゃんとシェイラ先輩に聞いてみて貰っていいですか?」
「の?」
「それほど優秀な護衛候補なら、実務の研修をしていた可能性の方が高くありません?」
「ないと思うのです」
「…………先輩?」
「……分かったのですよ。シェイの所まで行って聞いて来るのです」
「はい、お願いします」
「……」
無駄にキラキラした笑顔で笑うので、思わず顔を顰めてしまったのです。
誰を思い出したのかは言わずもがな。
いっつもどんよりした表情をしているくせに、こういう時に限って笑うのです。
……面倒な。
「……それでは」
チラッと時計を確認し、そう言い残して扉を閉めました。
時刻は8時手前。
そろそろ、カヴィナ様にベルさんを引っ張って来るよう言われてから30分が経つ頃です。
ベルさん……本当、どこにいるのです?
「べるさぁん……」
このままだと、大変なのです。
ミーが、カヴィナ様に怒られてしまうのです。
足がいつもより重く感じます。
情けなくも、早く戻りたいと思ってしまったのでした。
「……ありゃ?」
これ、私のじゃないな。
今日の書類関係でやっていたのは後期の予算についてだったんだけど、希望額の書類に次の“お土産”案の書類が数枚混じっていたのだ。
ラリーか、メノウか、はたまたピティかセレスか。
「んー……」
席を立って、チラッと時計を見た。
8時半。
1時間掛かっても帰ってこないってことはまだ見つかってないんだろうな……。
軽く伸びをして、うん、まあ、いっかと明らかに筆跡の違う書類たちを抜き取り部屋を出た。
「あ、いけない」
が、直前で思い出した。
電気消さないと。
「“しゅわっ”」
ん、おっけー。
今度こそ扉を閉め、書類の持ち主探しを始めることにした。
「いないのです……」
「うーん、朝確認しておけばよかったなぁ~」
「本当なのですよ……」
最悪なのです。
なんとなんと、ジェフの予想通り、いえ実際には半分くらいしか当たってないと思うのですが、シェイラさんの朝練にベルさんはいなかったそうなのです。
そればかりか、朝いつ起きていたのかも分からないらしく。
「何故一緒に朝食を取らなかったのです?」
「あぁ~、今あの子たちピリピリしてるんだよねぇ……」
「ぴりぴり?」
思い出したのは第四のダイニングにて一人で朝食を食べていたステラさん。
彼女はまだ料理はできなかったはず。
だってステラさん、不器用なのです。
それに護衛担当ですし……。
となると、彼女はわざわざ第三で作って貰ったものを第四で食べていたことになります。
何故そんな面倒なことをしたのか。
それも、喧嘩をしていたからだと考えれば納得できたのです。
つまりは、ステラさんしかあそこで食べていなかった訳ではなく、ステラさんだけがあそこで食べていたという訳なのでしょう。
「何があったのです?」
「メノウちゃんも知ってる通りだよぉ~。……実務と護衛の入れ替え、聞いたでしょ?」
……び、びっくりしたのです。
急に真面目な声になったので、つい反応してしまったのです。
いえでも、シェイの声の落差についてはいつまでたっても慣れられる気がしないのです。
「知ってはいるのですが……そんなに酷いのですか?」
「酷いねぇ。多分このままだと、王子様を待たずに解散になるかもぉ」
「それは……」
予想していたよりも、ずっとずっと酷いのです。
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