17 だから私は悪くない
「カヴィナ様ぁ〜っ!!」
「あ、ミー。お帰りー」
私が商会に戻れたのは3時過ぎだったけれど、ミーが帰ってきたのは7時前だった。
手を洗って着替えて早々に抱きついて来たので頭を撫でる。
「ただいまなのです。……けど先に帰っちゃったのは許さないのです!」
「ごめんねぇ、ちょっともう良いかなってさぁ……」
「まっっったく良くないのです」
腕から出て恨めしそうにギロッと睨むミー。
そういう仕草の一つ一つすら可愛いんだよなぁ。
「でもさ、ミーってば使い物にならなかったじゃん?」
「……?」
キョトンと首を傾げた。
可愛い。
が、様子からしてそんな覚えはないって感じである。
怖い。
「ミーさ、いやミーも王子も王妃様も、あの後みんなボーっとしながらブツブツ呟いてて使えなかったの」
「……そうなのですか?」
「んでぇ、通りかかった第二側妃様に、ミー達は回収して貰って帰った」
「……なるほど」
「そう、だから私は悪くない」
しかし、納得しかけていた丸い目はすぅっと細められる。
「……では、なんで正気になるまで待っててくれなかったのです?」
「うっ」
痛いところを突かれた。
……実際、そうなのであった。
別に急な案件もなかったんだし、少しくらい待ってくれても良かったんじゃないの、とのこと。
「いやぁ、でも、どのくらいかかるか分かんなかったしね~?」
「ふむ?」
「色々大変な人たちに気を使わせるのもどうかと思ったしね~?」
「ふむ」
とっても大袈裟に頷いてくれるミー。
尚、色々大変な人たちが色々大変になった理由は言わずもがな私である。
「……それで、本音はどうなのです?」
「…………王妃様と第二側妃様がちょっと面倒でね……うん」
「へえ……?」
再度こちらに抱きつき、ぎゅうっと抱きしめてくる。
可愛い。
が、痛い。
まじ痛い。
ばちくそ痛い。
その細い腕のどこにここまでの力を出す筋肉が。
笑顔は可愛いけど可愛くない。
目を凝らして見てみると、魔力で筋肉を強化してるのかな?
私が日本の一般人だった頃なら余裕で死んでるね。
…………あ。
「ミー、魔力いる?」
「――何故、そういう細かいところは気付くのです?」
今度はこちらが首を傾げる番だった。
「心外だなあ、私が適当に生きてるみたいじゃん……」
「違うのです?」
「……うん、違うかな」
私はそもそも、最初から持ち合わせている才能が少ない。
……あ、魔力は別ね。
学力とか、運動面の話。
……いや、体力とか戦闘力も別か。
そうなると、学力だけじゃん、私が本気で努力できるの。
まあ、頭が良くないってのは事実である。
だから効率的に生きないとみんなの役に立てないし、すぐ追い越される未来が見える。
そんな人生は嫌だ。
生きる目標がないというのは虚しい。
目標があって尚、達成できないというのは虚しい。
「――本当なのです?」
「本当だよ~?」
思わずけらけら笑ってしまった。
ミーは私の真意を探ろうとしてか、目を細める。
「じゃあ、ご飯だよ、行こ?」
「……はいなのです」
もうラリーは到着したのだ。
やっと、第四号店が始められる。
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