14 君のことは忘れないよ
カヴィナ→メノウ→第三者と視点が変わります。
「――カヴィナ!?」
「わあ」
扉に手をかけるなり、またも扉が開いた。
……案の定、王妃様である。
「王妃様、さっき言うの忘れてたけど、それ止めようね?」
「……なんでですか?」
私をまたも抱きしめている王妃様はこちらを見下ろして頬を膨らます。
可愛い、可愛いけど君、20超えてたどころか30近かったよね?
「顔とかに当たったら痛いし、危ないから、ね?」
「…………分かりました」
「うん、ありがとう。……入っていい?」
「はい、どうぞ」
部屋に入れてもらって扉を閉めると、ソファの上で力尽きているアンが目に入った。
「アン?大丈夫?」
「ええ……大丈夫よ、多分」
まあ、王妃様との会話はハラハラしただろうなあ。
お疲れ様、アン。
君のことは忘れないよ……合掌。
「んと王妃様、アン借りても良い?」
「いいですけど……私も付いてっていいですか?」
「え?……ああそっか、一人になるのは良くないか」
「はい」
このご時世、どうやら王妃様の話し相手になるメイドがいないらしいのだ。
それに部屋を守る騎士すらいないので、第一側妃の側近、ましてや本人が来たりなんてしたら超困る。
「ふむ……まあいいよ、一緒に行こっか」
「!……ちなみに、どこに行くんですか?」
「ん?ああ、第二側妃様のとこだよ」
その言葉に、ひたすら沈黙を貫いていたアンが反応した。
「第二側妃様に、会ったの?」
「うん」
「分かったわ、すぐに行きましょう」
「…………うん」
「“全部戻って元通り、痛いの痛いの飛んでいけ”」
「……本当にそれで治るんだな」
「当然なのです」
そう、この魔法を教えてくれたのはカヴィナ様なのですから、凄いのは当然なのです。
しかし怪我人は思っていたより多かったみたいで――。
「ミー、魔力いる?」
「!?――カヴィナ様!」
ズキズキする頭のせいで気づかなかったのです。
不覚なのです。
「あっ、えっと、申し訳ないのですけど、貰いたいのです……」
「ん、いいよぅ」
そう言ってカヴィナ様は私の頭を撫でます。
むふーっ。
カヴィナ様の手はミーと同じくらいの大きさなのに、凄く安心感があって撫でられると凄ーく嬉しいのです。
「手、貸して?」
「の、お願いするのです」
手を握ってもらうと、そこから温かいものが流れてきて、お風呂に入ったときみたいに体が温まるのです。
……それにしても、魔力が少なくなっているのにすぐ気づけるなんて、やっぱりカヴィナ様は凄いのです。
「んー、このくらい?」
「はいっ、ありがとうなのです、おかげさまで満たんになったのです!」
「うん、なら良かった」
「――」
カヴィナ様は――。
凄く、綺麗に笑うのです。
周りに花が咲いたみたいに、ふわっと花が開くように、可愛くて、綺麗な笑顔で笑うのです。
それはとっても惹きつけられる笑顔で、もっと見ていたいと思うような笑顔で、ミーがこの世の誰の笑顔よりも、一番に大好きな笑顔なのです。
すぐ近くの扉が開く音がして、この国の第二側妃、シャーベティ・パラルフィニアーは座ったまま横に振り向いた。
同時に、目を丸くして驚く。
「……第二側妃様」
「アン!?無事だったの!?」
扉を開いたのは、彼女の腹心にしてメイドである、アンジェリーナ。
彼女の顔は驚くほどに青白く、手は震えていた。
「ご心配、おかけしました。それと……こちらを」
「――これ、まさか」
「…………はい」
そしてその手に握られていたのは、
「エイダン・パラルフィニアー様からの、救援要請です」
彼女、シャーベティ・パラルフィニアーにとって生きている間に最も見たくなかった物。
――地獄への、招待状であった。
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