12 チートって素晴らしい
どうせなら魔物を倒して進もうというアンの意見で、魔物を塵にしながら王宮を歩き回っていた私達だけど、魔物の発生事件は唐突に収束した。
というのも、
「……えっ、これって私のせいなの?」
「違うのです?」
「分かんないや、ていうかミーはなんで分かるの?魔力にも匂いとかあったりする?」
「?……空気に含まれている魔力に、カヴィナ様の魔力が溢れているのです」
「はへぇ……」
というミーとの会話を聞いていたアンが、
「ねえベリー、それってあなたの魔力がこの魔物たちを生み出してるってこと?」
「ええっと、多分?」
「なら、魔物を従わせるとか、できない?」
「…………あ」
という頭の良い考えを出してくれたためである。
おめでとうアン。
今日の功労者はきっと君だと思う。
「……できるのね」
「ん-、多分。……ちょっとやってみるから、ミー、アンのこと守ってあげてね」
「はいなのです」
目を瞑って探知的な魔法を展開しようとすると、ミーの発言は正しかったようで、王宮に溜まっているのは私の魔力のようだった。
(ここまで分厚い魔力があっても、なんか濃い程度にしか感じないんだよなあ)
つくづくチートって素晴らしいと思う。
手を広げ、魔力を抱えたまま抱きしめて圧縮するみたいなイメージで、寄せてみる。
「ゔっ」
「「――!?」」
しかしそんなに物事は上手くいかないみたいで、全身に針で刺されたみたいな痛みを感じた。
……多分錯角だと思うけど。
「カヴィナ様?大丈夫なのです?カヴィナ様?」
「ベリー、無理はしないで」
「ん゙んぅ……大丈夫」
何だろう、私の魔力じゃない、大気中とか魔法の痕跡とか、そういうのが混ざってるとこがある?
なんていうか、私と相容れない魔力が、魔物に含まれてるというか……?
もう一度、今度は一回、大気と魔物たちから綺麗な私の魔力だけを取り出してっと。
(――あ)
直感で、いけるなって感じた。
こう、さっきと違って、魔力はスッて集まって来たのだ。
人指し指を宙に立ててみる。
「この指、止ーまれ」
ヴォン、と魔力が体に戻ってくる感じがして、途端、頭がスッキリする感覚があった。
「――ベリー?できた?」
「ん。……これで多分、魔物は大丈夫かな」
「凄いのです、カヴィナ様……」
ミーは呆気にとられたように周りを見渡す。
良かった良かった。
「それじゃあ行きましょ」
「あ、待ってアン、そっちじゃないよ」
「え?」
完全に第二側妃様や王子、王様王妃様のいる場所とは反対方向に進もうとするので、声をかけて止めた。
「もう魔物は消滅したから、普通に行こ?」
「……そうね」
「了解なのです」
返事は貰えたので、王子らのいる場所を見失わないように魔力での捜索は続けておく。
「……あ、ねえアン、言い忘れてたんだけど、私の名前はカヴィナね」
「ああそうね、カヴィナ、分かったわ」
少し寂しそうにそう言うアンを尻目に、沸いた罪悪感は無視することにした。
……この感情は、必要ない。
「――カヴィナ!?」
「わっ、え、王妃様?」
「良かったです、無事で……!」
「ん、無事だよ、大丈夫」
扉を開くなり、抱きしめてきた王妃様。
……感動の再会である。
ただ疑問なのは、
「……なあ、義母上は何故お前が来たと分かったのだ?」
「いや、それな」
王妃様が、私が扉を開ける前に扉を開けてきたこと。
……魔力とか読めるの?
「気配ですよ。足音とそれから空気と魔力の揺れです」
「なにそれ」
いや、なにそれ。
王妃様ってもっとこう、お淑やかで儚くてか弱いと思ってたんだけど。
「ていうか王妃様、そういうのでメイドのこと懲らしめればよかったんじゃないの?」
「そんなことできませんよ。可哀想でしょう?」
「可哀想……うん、そうだね」
「凄いのです、カヴィナ様が困っているのですよ~!」
「ミー?」
「あ、カヴィナ、いけませんよそういう目は」
「えっ」
困る、困ってる、とっても。
何?
なんか王妃様、私に甘くなったような?
というか、心を大分開いてくれたような。
だからなのか、距離が、近くないか?
「これは面白いな」
「なのです」
「……お前、名は?」
「メノウなのです、王子様」
「そうかメノウ、ところでカヴィナはいつもああなのか?」
「はいなのです、従業員には本当に厳しいのですよ」
「それはまた……貴重だな、この光景は」
「しっかり覚えておかなくてはなのです」
「そこ、聞こえてるからね!?」
ちゃっかり王子とメノウは仲良くなってるみたいだし、まったくもう。
「えっと王妃様、そろそろ離して貰って良ーい?」
「いいですが、部屋に入らないのですか?」
「……あー、アン、君はここで待っててくれる?」
「え?」
「王妃様、この子と話して待ってて」
「…………分かりました」
真剣な声で言うと、王妃様も真剣な顔をしてくれたので、部屋にぐいぐいと肩を押して入れる。
「ミーは付いてきて。……ちょっと、お仕事」
「の」
「アン、王妃様をよろしくね」
「えっ、え!?」
読んでくれてありがとう!
いいね、ブックマーク、コメントなど、このお話を少しでも面白いと思ってもらえたら(主に作者のやる気アップに繋がるので)、評価の方よろしくお願いします。




