第230話 √2-35 G.O.D.
※この小説と言うにもオコガマシイものはキャラ犠牲の元で成り立っています(個人的推測より)
なんか必然的にユキのキャラが壊れて行くような……でもユキファンのみんなは諦めないでね!
鉈を見つけて数日、ホニさんと出会ってほぼ一週間が過ぎた。
下之家にかなりの勢いで馴染んでいった、俺の数少ない清涼剤ことホニさんは俺たちが学校に行っている間に家事を卒なくこなしてくれていた。
たまに共作で作られるホニさんの料理にも毎回発見が有り、何回も驚かされた。
少しの変化と言えば、俺が帰った頃。家事が終わり、桐も先に帰っていることものあるのかゲームで遊んでいることが目に入る。
日によって将棋・オセロ・碁・チェスなどなどで遊んでいて、殆どの部分でホニさんが圧勝して桐を悔しがらせるていたこともあって、そんな場面に出くわす度に癒しと快感を得られるという一粒で二度美味しい素晴らしい光景だ。
そんな感じに平穏な日常は続いていて……まあ桐の襲撃は相変わらずなんだけども、最近は回避方法も身に付けたのも手伝って結構慣れた。
というかここ数日の桐はハッスルし過ぎだろう。どれだけの回数、どれほどの時間を俺の部屋に来ているんだよ、と。
五月一一日
ということで、学校だ。
似たような始め方して、それ気に入ってるの? と聞かれてもおかしくないぐらいに多用している気がするがそこは触れないでおいてくれると助かる。
なにも起きて早々の「桐の部屋探訪」の展開があまりにテンプレ化していて話す手間も勿体なかったりや、通学路での「マサヒロトーク」があまりにマニアックで言う必要のないことだから学校までの過程を省略した訳では――ないとは言えない。
まあ、でも抜き出すとしたら――
『ユウジさん、お姉さん、ユイ。いってらっしゃーい』
という素晴らしきかなホニさんのお見送りぐらいだろう。
当たり前になってきたとはいえ、これはしてくれる度感動する。
どんだけホニさん好きなんだよ、と横からスライディングキックでツッコミを入れられそうだが。
好きで何が悪い!
いやさあ、これはねえ。実際に一緒に住んでみてわかることだな。というか既に出オチレベルの可愛さを誇っているホニさん(褒めてる)
……あんな可愛い子が少し桐とのゲームに勝って、興奮すると頭の上から犬耳がピョンって――ピョンとね! ぴくぴくって動くんだぜ?
かぁー、可愛さ余って可愛さ百倍だよ。もう可愛い、とにかく可愛い。自分の料理を味見して美味しい時に嬉しそうにしていたり、ドラマとかを見て「おおー」とか感嘆の声をあげてたり。
帰ってくれば律儀にも「おかえりなさーい」ってゲーム途中なのに来てくれる、な、な?
可愛いよね。
これがスタッフのヒロインプッシュだよ、と言われようが可愛い。あー、皆に伝えられないのが残念だなぁ~(笑)
「ユウジ、そんなニヤニヤしてどうしたの」
「!」
その声に感づくと俺の顔を覗きこんでいたのは、明るく活発でポニーテールが美しいユキさんだった。
ホニさんのことをさっきまで考えていたとはいえ、やっぱりユキも平常運行で可愛いなァ……と思おうとしていると、ユキの表情に気付く。
「ユキさん……?」
「それで、ユウジはなんでニヤニヤしてたのかな?」
不機嫌だった。いつもは「表情じゃ笑顔なのに~」とか言って、それ程表情を表に出さずに怒っている時が多いのだが――今日は明確に不機嫌だった。
「いや、そうだな――」
「ル●ズだけでなくアン●ッタ王女もいいかなあ」と萌えていたんだ……と答える訳にもいかないので「昨日見たバラエティが妙にツボに入ってね!」と軽快に呟く予定だったのだが――
「……あの子のこと?」
「(ギクリ)」
「やっぱりかあ」
俺が露骨に反応すると、ユキさんは残念そうに肩を落としてため息をついた。
「ユウジ、最近朝はずっとそんな感じだよ?」
「え、マジで」
「はい、マジで」
うっそーん、俺とかめっちゃ表情に出さないタイプだぜ? 心のガードが鉄格子のごとく固い俺がだぜ?
まっさかー?
「……ガチで?」
「うん」
そっか……ニヤニヤしてたか。ホニさんのことでニヤニヤか――
「あのー、ユキ。そんな俺みてどう思った?」
「……男の子だもんね」
「誤解だ、それは!」
おい、俺はそんなイヤラシイ目でホニさんを見たことなんて一度もないぞ!?
そりゃ、あの犬耳をもう一回触ってみたいなーとか、凄い撫でたいとかな。ひっじょうに健全で可愛いホニさんを愛でるホニスキーな域を出ていなよ? ホロニアンまで行くとアウトだけども。
「でも……四六時中あの子のことばかり考えてるよね」
「そんなことないよ! ユキも姫城さんのことも考えているさ!」
すぐ思うと、この発言は桐に節操ないとか言われても仕方ないかもな。いやホニさんのことで怒っているユキ本人を持ちあげる要素丸見えな上に姫城さんも言うとか。それもおそらく解釈では不純な感じの思考で。
それ故に「え……ユウジってそんな人だったんだ」と蔑まれると思っていて、俺への精神的大ダメージを覚悟していたのだが――
「え、わ、私も? そっか……考えてくれてたんだ。じゃあ……いっかぁ」
いいんだ! 言った張本人が言うのも何だけど、いいんだ!
「これで姫城さんも安心だね」
「ちょ、あの……」
「でもユウジ、そのニヤニヤ顔もほどほどにねー」
「えー……」
そう言ってユキは駆けて行く――姫城さんが登校してきた扉の近くまで。
ユキさん、俺が言うのも本当に何だが……そんな俺の言葉でで満足出来たんですか――