第226話 √2-31 G.O.D.
バトル展開頑張ります><
3.17 「神」設定訂正
3.21 クソゲヱ4-1(5-12の次)に「エイプリルフール?」再掲載
「ホニさん、姉貴。ごちそうさまー」
「美味しかったなら、いいよー」
「おそまつさま、ユウくん」
姉貴とホニさんの料理人二人による共作な今晩の夕食は、かなり美味しいものになった。
和食にかなり強いホニさんと、オールマイティに上手な姉貴……姉貴だけでも凄いのに、ここにホニさんが加わるとは――
「……俺も料理勉強するかなー」
なんというか、一応は俺もつくれるが姉貴やホニさんには惨いぐらいに負けるだろう。
……まあ、自分が食える程度でいいとは思っていたが。料理本片手に勉強するべきかもしれない。
生徒会帰ってからほぼ休む間も無く夕食作り、ホニさんも洗濯はもちろん床をみれば掃除されていたことが分かり家事にかなり精を出しているように感じる。
二人に全ての家事やらせるのも忍びない……と感じた俺は、夕食時が終わりキッチンへ皿を持っていって、その流れで洗おうとする二人を呼びとめるように言う。
「ああ、姉貴にホニさん。皿洗いは俺やるよ」
まあ、屁でもないレベルだけども。少しでも二人が休めるならば、と考えて俺は皿洗いを買って出てみる。
「ええ!?」
「ユウジさん?」
理由を「姉貴やホニさん疲れてるだろ」恩着せがましいで切りだすと、逆に姉貴とかホニさんは変に読みとった揚句に遠慮して拒否しかねない……ならば俺は自分の意思を言えばいい。
「いやー、急に皿洗いしたくなってなー」
嘘じゃないぞ? 実際”二人を気遣って”とか”自分も何かやりたい”とか言う理由から急に俺はやりたいと思った訳で。
「「…………」」
すると二人顔を見合わせてしばらく沈黙。いいのか? 反応ないけど、これは承諾ととっていいのだろうか?
そう色々と考えている数十秒後――
「「じゃあ私(我)も手伝うよ!」」
「……へ?」
ほぼ同時に二人は手伝いを申し出てきた……俺は二人の荷を軽減する為だった気がするのに、一人でも手伝わせちゃダメなんだよなあ。
「いや、なんで? 俺が一人で――」
「ううん! ほら、皿洗いをしたら皿拭きをしなくちゃならないから!」
「ユウくん流石に悪いよ? だからお姉ちゃんも手伝えることはっ!」
「…………」
「「……………………」」
「ホ、ホニちゃんは今日家事頑張ってくれたし。ゆっくり休んでいいんじゃないかなー?」
「お姉さんは遅くまで学校に行ってたよね? それに料理もつくって疲れてると思うし、休んだほうが」
「ホニちゃんも野菜の煮物つくってくれたじゃない、美味しかったよ?」
「ううん、お姉さんの料理は凄い美味しかった。我も見習いたいぐらいに……今度教えてくれると嬉しいな」
「いいよ? だからホニちゃんはもう休んで」
「いや、お姉さんには今度教えてもらうんだから、ここは我が手伝った方が――」
決して文字数を稼ごうという訳ではなく、二人は睨みあいを始めた。一見微笑ましい家族の会話に見えるが、二人表情は微笑んでいても目は笑ってない。
二次元的表現ならば「二人の間で対抗心による電気がバチバチと~」みたいな感じだろうか。あれだ、いきなり二人の間で険悪なムードが立ち込めたというところだろう、うん。
「(いや、なんでだよ)」
どうしてこうなった。俺はただ二人を手伝えれば良かったのに。
「「ん~~~~~~~」」
「はぁ、いやじゃあ俺は始めますんで」
俺の後ろでは二人の睨み合う唸り声が聞こえ、なんとなく気が重い皿洗いだった。
……まあオチとしては、二人譲らぬうちに皿洗いが終わって皿拭きを二人に俺の呼びかけで助力してもらった。
皿洗いを傍で(右にホニさん、左に姉貴)始めた途端に二人機嫌も回復していくという、俺には良く分からない二人の夕食後の展開だった。
いやユウジ……分かってよ! これはもう鈍感ですよ、本当に。
ホニさんは一応好意があって、バカ姉なんて愛フルオープンじゃないですか。
まあバカ姉はここまで愛情表現をしているのが、逆手に出ているという悲劇なんですが。
ホニさんは……どうなんでしょう? 恩義的な意味が強いみたいですし、今回はムキになってしまったところでしょうか?
にしても幸せものですね、ユウジ。 ああ……爆発すればいいのに、ナレーターしてる身としてははいはいそーですかって感じですよ、まったくもう。
* *
……少し言いたいこと言ったのでスッキリしたところで、真面目になります。いいですか? 私、いつも真面目ですけど、今回は大まじめにナレーションですよ?
このナレーション力に聞き入ってくださ……ってもううるさい? はいはい分かりましたよ。
――ところ変わって丁度その頃同じ町。真夜中の住宅街、屋根には不審な人の影がありました。
「今日はどんな人を不幸にしてさしあげようか」
女性の声で、笑みを零しながら呟く。
「――まったく最近は、異が多くて困る」
女性と別に、ふいに響く声。それは青年のような野太い印象のない好青年な声を闇夜に響かせます。
しかし声には合わない、なんとも異質な事をおそらくはそこいる女性へと言う青年。
「誰だ?」
女性はその声に気付き振り返る。違う家の屋根の上、大きな何かを背負った長身の学生服姿の青年が居た。
「僕? ああ、言うなればこの世に蔓延るイレギュラーな存在”異”を滅ぼす者……かな?」
「面白いことを言う、貴様にとってはこの”神”である私も異か」
神……もしかして、ホニさんの神様設定がここで生きたりします?
表情を一切崩さないポーカーフェイスの青年は平然と、その質問が分かっていたかのように返した。
「神であろうとなんだろうと、この世に異質なものなんてあっちゃいけないんだよね」
「……貴様は本当に面白い、だがこの”厄病神”に触れるのみならず、喧嘩を売るなど――どうなっても保障は出来ないぞ?」
厄病神? ……ああ、四月一日の夢の中で出た。厄病神と同一人物だったりしますか?
「保障なんていらないよ、僕の目的はただ異をここから消すことだから――」
「!」
すると青年は屋根を飛ぶように去ると、気付かぬ間に数十メートルは離れているであろう貧乏神へと近づいていた。
しかし、厄病神も完全には負けてはおらず。青年がかざした足を刹那ですり避ける。
闇夜の中、突然に。それでいて異質な。日常とはかけ離れた戦いが始まる――