第222話 √2-27 G.O.D.
ほ の ぼ の !
2-1の修正と7-1の本文追加行いましたー
「ごちそうさまでした」
はっきりと我に食べ物飲み物を恵んでくれた自然やヒトビトに心から感謝しながら食後の挨拶。
「じゃあ片付け~」
カチャカチャと自分の食べた皿を片づけると、洗い終わった洗濯物をまだ場所の余る物干しへと干す。
それが終わった頃に居間へと戻れば、てれびに映し出される数字は〇と一と一〇が並ぶ。
「……暇だなー」
暇になってしまった。黒色の眼鏡をした「タメリ」さんが色々な人が一緒に繰り広げる喜劇のようなものが終わり「ごきげんYO」などと言う番組(ユウジさんが言うに番組とはこの箱中で映し出されるものの一区切りのこと言うらしい)が始まっている。
りもこんと呼ばれるてれびを動かす機械の使い方も覚えているので早速ちゃんねるを回す。すると――
「?」
映るのは女性と男性がいがみ合っている様子。どうやら二人は我の集めた知識によれば婚姻関係にあるようで、それでいて男が別の女性と――
「はぁー……そうなんだ」
その模様に我は釘付けになっていた。今まで我慢していたのよと言わんばかりに怒鳴りつける女性とそれに、落ちついてくれと言いたげにオロオロと狼狽する男性の姿。
「うんうん」
そして現れるのは別の女性、その女性は唐突にも男性の腕を捕まえると妖艶な笑みを浮かべながら男性の婚姻関係にある女性を焚きつけるかのような言葉と、挑発を繰り出していた。
「――――」
そんな映し出されるものに我は夢中になっていた。画面からは目と鼻の先の距離しかなく、文字通り食いつくように見入っている。
そんな時に婚姻関係のある女性は突然に刃を取り出して叫びと共に――
と、いうところで終わった。
「これがユウジさんの言ってた――」
『こういう人が演技して物語を放送するのが”ドラマ”で、昼にやっているのは昼ドラって言うんだ』
「昼ドラかぁ……」
なんというか次が気になってムズ痒い。その先がどうなるの? と我にとってその昼ドラは目を見張るものがあった。
「……面白いかも、明日もみよう」
タイトルは「茨の床」というタイトルで、もう十三話ほどやっていた。
次からは何か片手に持ちながら見てみたい衝動に駆られる……あれだ。昨日ユウジさんが出してくれたもち米を焼きあげて作ったという――
「……煎餅が欲しくなるなあ」
醤油の香ばしくあのデコボコした固い表面とバリッといった食感がどうにも後を引く、魅惑の食べ物だ。
ちょこという甘菓子も良かった、でも饅頭というあのモチモチとして風味豊かな甘さも好きだけど、煎餅には劣ってしまう。
気に行った番組を見ながら、好きな食べ物を食べる――それがどれだけ至福の時か、思い浮かべただけで生唾が出てくる。
「……とりあえずは、もうやることないかな?」
誰に問いかける訳でもなく、確かめるように言ってみる。
そうだ、とりあえずは洗濯物が乾くであろう四の時までは何もすることがない。
「ああ……でも、何かすることって、本当に……」
春陽気と昼ドラという面白いものを見れた満足感と先程食べた昼食が見事に相まって、かなりの睡魔が襲ってくる。
「そもそも……我は、寝て……いるこ……とが……多かっ……すぅ」
意識は落ちて行き、春陽気の中太陽降り注ぐ窓の近くで我はこてんと眠りについた。
ユウジさんから……ちゃんとしたところで寝ないと風邪を――すぅ。
「はっ」
気付くと外は薄い未だ青懸かる夕暮れに染まっていて、慌てて我は洗濯ものを取り込んでいく。
春陽気とはいえ暖かく、あとで干した洗濯物もしっかりと乾いていた。それを確認して持ってきた籠に入れて今度は居間へと運んで行く。
「よいしょっと」
籠を下ろして中から取り出していき、ユウジさんとユウジのお姉さんの言われた通りのやり方で洗濯物をたたんでいく。
「寝過ごしちゃったから急がないと」
そろそろ桐が帰って来る時間だと、ユウジさんは教えてくれていた。
「ただいまじゃー!」
玄関から桐の帰宅を知らせる、声が聞こえる。
「おかえりー」
と我は返すと、足音が洗濯物をたたむ我の近くへと近づいてくる。
そして居間じぇの扉が開けられ、小さい容姿の古臭い喋り方な桐がやってくる。
「おおー、家事やっとるのかー。関心関心」
「ありがとー」
関心と褒められたので素直にお礼を返すと、桐は少しきまずいかのような表情を作り。
「う……それにしてもお主もよくやるのう、面倒ではないのかの?」
「我もここに馴染みたいからねー、出来ることはやらないと。それに楽しいからね」
「うっ」
横目に見る桐が途端に申し訳なさそうな表情を形作るけれど、我には意味が分かっていないので反応は何もせずに。
「もう少しで終わるからちょっとまってねー」
「う、うむ」
宣告通り洗濯物を畳み終えると直ぐに置き場所の分かり、許可無しに置ける場所へは片付けて行く。
残ったユウジさんやユウジのお姉さん、ユイの衣服や下着は別けた上でソファに置いておき各それぞれが持っていくのがこの家ではそうらしい。
「桐~、ゲームしよ~」
「お、おう! 良かろう、今日何をするのじゃ?」
昨日の夜に初めてげーむというものをした。それは白と黒の駒を真ん中へと各色二個ずつおき、初めと後で別れてから駒を置いて行き、色の駒と同じ駒の間に違う色の駒があるとひっくり返して自分のものに出来る――というげーむを桐と昨日はしたのだった。
「ぬぅ……昨日は何かの間違いだったはずじゃ、そのはずじゃ」
「今日はなにするの?」
ちょっとまっていてな、と言って桐は二階へと駆けて行き直ぐに戻って見せたのは。
木製の板と銅色をした箱を見せて言った。
「この木製で出来た軍舵取りゲームの”将棋”じゃ!」
「おおー、良く分からないけどそれは楽しそう!」
「じゃろう? それではルールを教えるからの――」
そうして夕暮れの中、電気を付けて桐の持ってきたげーむでユウジさんが帰って来る一時間ほど楽しんだ。