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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第九章 G.O.D.<出会い>
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第217話 √2-22 G.O.D.

復帰?

「ユウジ様」


 俺がユイとオタコントをこんな朝っぱら暇だなと言わんばかりに展開していたそんな最中、姫城さんがすたすたとユキを連れてやってきた。

 にしても姫城さんとユキという組み合わせは絵になるなあ、一時間と三〇分以上眺めていても飽きないだろう。

 学園の花が俺の元へとやってくる……そう考えると俺って凄くね? と思いがちだが俺は自分の力でそうなったんじゃないからな、と少しばかりネガティヴ思考へと陥る。

 たまたま俺は主人公になれただけで……もともとの俺には何の魅力もないからな。

 俺とヒロイン二人を現すとしたら、地を照らす太陽と地に生えるゼンマイってところか。え、山菜なめんなって?

 なぜか過去の古傷が疼いて後ろ向きな気持ちになっていたが、主人公になれたのだからそれはエンジョイすべきだろう。

 そうだよ! この二人にホニさん……最高の面子じゃないか! 俺がふさわしくないなんて諦めてちゃだめだよな、俺が彼女らの隣を歩いても違和感のないような男になればいい!

 え? 他に妹みたいなものが居なかったけ? ……誰だそれは(素)


 そう思ったら、テンション上がって来たー! 

 ああ、相変わらず今日もユキさんは可愛いなあああああああああ!


「あのユウジ様」

「あ、ああ姫城さん。おはよ」


 しまった、思考展開し過ぎて姫城さんの呼びかけに答えられなかった。

 いけないいけない、しっかりせねば!


「ユウジ様にお聞きしたいことがあるのです」

「ん? 何?」

「正直に答えていただけますか?」

「ああ」


 朝のネクラユウジからココロハイテンションユウジへと僅か思考二〇秒で変身を遂げた俺は何でも答えられそうな気がするぞ!

 まったくもって確信なんてないけど! さあ、質問カマン! なんでも相談箱も飛び退くユウジですよっと!

 ……しかしこの時ハイになり過ぎて気付いていなかったが姫城さんの眼の中に冷たいなにかが浮かんでいたことをその時俺は知る由もなく。


「昨日ユウジ様が連れていた方は、あの後どうなったのですか?」

「…………え?」

「ユウジ様が肝試しの会場から帰って来る時に付いて来た女の子、あの後どうなりました?」


 連れていた? なんだ、それは。俺がまるで女の子を誘拐したみたいな言い草じゃないか、はっはっはっ、何の冗談を姫城さんは……姫城さんは、冗談を……冗談?


「交番に迷子として送ったのですか? それとも……」


 それに続くことを知っている、そしてそれを言いかける姫城さんの表情は笑顔のままドス黒い空気を漂わせ始める。

 うん、そうか。やっぱり俺は連れ帰ったのか。俗に言う誘拐ってヤツか。

 盲点だったなー、あの場所には姫城さんもユキもマサヒロは終盤空気だからともかく居たんだよな。

 あの時弁解やら何かするべきだったと今になって思うよ。いくら姉貴が倒れたからってちょっと気絶した程度だったしな。

 そして休みを挟んで姫城さんの中では疑問が膨れ上がったのだろう。

 

「それは、だな……」


 なんでも相談箱なユウジさんは、なんでも答えます。それが例え自分の犯罪行為を証明してしまうことでも、だ。

 そういえば姫城さんはユキも連れてきたんだっけ? そういえば昼食時とか休み時間も二人話している姿をみかけたりしてるなー

 ってことは、可能性の問題だが。もしかしたら姫城さんの疑問はユキも持っていたりするのだろうか?

 実際こうして姫城さんだけでなく、ユキも後ろに待機している……その現状の理解が進むうちに俺の額には冷たい汗が流れ始める。

 こう見えても俺は汗っかきではない、まして春陽気の残る月末に発汗してしまうなど周囲の環境によるものならほぼ有り得ない。

 有り得るのは長距離走やら球技などの体を動かし発汗作用のあるスポーツ中&後。

 そして、自分の立場が危うく。それでいて逃げ場などなく崖っぷちの窮地に立たされた時。

 そのあまりのプレッシャーに体は正直に、額から一滴二滴と冷えた汗が流れる。


 これはマズイのではないのだろうか。


 そう俺は悟った。さっきのボーイズハイな俺はどこへやら、その質問から逃げるように俺は席を立った。


「あー、鉛筆たりねえや。俺濃度Bの鉛筆じゃないと書けないんだよなー」

「……ユウジ様?」


 その姫城さんの鋭く冷たくなっていく言葉に俺は脚を止めざるを得なかった。


「悪い姫城さん、ちょっと俺はそこの購買までショッピングに行かなくてはならなくてだな」

「……購買はまだ開いていませんよ?」


 思い出せば購買の営業時間は八時半のこと、早め登校故に今は八時を回ったばかりの生徒もまばらにしかいない空虚な教室と学校。

 

「ユウジ様」

「はい」

「言いませんでしたか? 正直にお答えください、と」

「ああ、覚えてる」

「ということでお答えください。ユウジ様はあの女の子をどうしたのですか?」

「…………」


 冷や汗は止まらず、姫城さんから発せられる険悪な空気の濃度は各段に増している。

 これは……答えたらられる、そう俺は感じざるを得なかった。そして答えなくてもられる。

 究極の二択でハッピーエンドは存在せず、二つのバッドエンドがこちらにおいでと各自手を振っている。

 逃げずに死ぬか、逃げて死ぬか――いや、死にたくない。

 誰か助けてほしい、どうすればいい。土下座でもなんでもする。学食をおごってもいい、頼むよ誰かさん。

 見渡してもまばらにいる生徒は交流などなく、肝心の時に役立たずな家の女子勢(桐を大きく含む)なユイはヘッドホンで音楽を聞き始めている。

 すると、助け舟を出せるとしたら姫城さんの後ろでこちらを意味深げに見つめるユキだけだった。


「(ユキ……)」


 アイコンタクトを試みる。するとユキは答えてくれた。


「ユウジ、あの子はあの後どうしたの?」


 頼みの綱が外敵へと回った瞬間だった……まあ、考えれば妥当なことで。その僅かな希望に託していただげなのだが。

 ……もう終わりだと、バッドエンドでさようなら。皆ありがとう、応援ありがとう、俺は次回作から頑張るよ。 

 だからせめて俺は逃げずに話して有終の美の飾ることにする。

 俺の骨は海でも投げ捨ててくれば本望かな? 


「ええとだな、実は――」

 

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