第208話 √2-13 G.O.D.
ザ・家族会議。相変わらずの姉貴の極上夕食に下鼓を打ったその三〇分後。
食器を片づけ、手洗いしやすくするために食器はぬるま湯に漬けてしばらく放置。
そんな間、家族全員が自分の部屋へと戻らず居間に集結している。その理由は他でもない――
「ホニさんのこれから、どうする?」
ある種家事を行う俺と姉貴だけでもいいのかもしれないが、一応家族全員の意見を募ろうとの魂胆が存在する。
ちなみに俺の「どうする?」というのは、ホニさんがここに住むのは決定事項で、ホニさんの部屋は確保した。問題はというと――
「ホニさん、ホニさんは学校とか行かないのか?」
「そういえばそうだね、ホニさんはどうするの?」
「学校……あー! マナビヤのことだよね? うーん、行かないかな」
答えは分かっていた。なにせホニさんは話によれば、長きにわたってあの神石前に居たというからだ。
だけども出会った当初からデフォルトの衣服が、持ち合わせていたのがセーラー服だった故に聞いてみた。
「というかホニさん、そういえばなんでセーラー服なの?」
「んー……ごめんなさい、これは言えないかも。あ、でも趣味でもあるよ? かわいいよね、この服」
そうか……無理強いして聞くつもりはないが、なんらかの方法でセーラー服を手に入れたのだろう。
そうなると、問題は俺達が学校へと登校している期間・時間になる。
「ホニさんはこのままだと留守番になっちゃうんだが……いいか?」
「いいよ! 住まわせて貰ってる身だし、我もその間なら家事だってなんなりとやるよっ」
「ホニちゃんいいの? 家事って言っても……たくさんあるのよ?」
「時間は沢山あるから頑張る!」
家事やってくれるのはありがたい。俺の家は両親不在で昼には家はガラ空きとなる。もちろん学校に通い、姉貴に至っては生徒会で時間も要する。そうなれば日々の家事がどうしても十分に出来ないのだ。
平日は洗濯物も二階のまたしてもな空き部屋にエアコンを稼働して部屋干しがデフォルトで、土・休日のみ外干しとなる。
やはり日中に干せないの大打撃で、その空き部屋も除湿機を増設したりしてはいるが、現状洗濯物干し専用の部屋になって他の用途には使えない。
母親が仕事漬けな有り様もあって平日の日中に家事を出来ないのは当たり前、どうしたものかと困惑していたがこれは助け舟だった。
「でもホニさんって、今まで家事をやってい――」
途中で己の発言の愚かさを思い知った。いやいや、だからホニさんは神石前で、と言っているではないか! 俺の馬鹿野郎、二回●ねっ!
「やったことない、やったことないけど! 我、頑張るからっ」
「……いいのか? ホニさん」
「でもユウジさん、家事教えてね?」
「それは勿論」
「! ユウくん、私にも教えて!」
「はは、姉貴。冗談じゃなかったらぶっ飛ばすぞ? ということでユイに桐、これからはそんな感じになるがいいか?」
以下返答。
「いいんじゃないか? というかアタシってそういえば家事とか殆どやってないなぁ……ユウジ、アタシやったほうがいいか?」
「いやいや、この言うタイミングはどうよ? てか、皆と同じように学校行ってる上にバイトもやってるお前にゃ無理だろう」
「う、うーむ……だが! 時たま手伝わせてもらうぞ!」
「まあ無理はすんな、で桐は?」
「いいと思うが? わしもなんだかんだで小学校に行っておるしな、知識はもともとあれどなかなか小学校を再体験するのは面白いからの、家にいるのであればやってもらっても構わないじゃろう」
「ユイと違ってお前は自分が家事をしていないのを気にしないのな」
「なあに、やってくれる者がおれば出しゃばっても何の得もないじゃろう?」
「なんというか……図太い奴だ、大物になるな」
「何を言う、最初から大物じゃ」
「それは単なる自画自賛かと」
「じゃあ、ホニさんよろしく。じゃあ明日は休日だし、明日にでも教えさせてもらうぞ?」
「はい! どんとっ」
全員一致でホニさんへの日中の家事を任せることとした。
まとめ。
日中の家事=ホニさん。土休日の家事=姉貴&俺。
これでファブリーズでカビ臭さ防止をせずに済むぜ! ありがと、ホニさん! kろえは大分助かる!
それに家事を任せているとなれば姉貴もうだうだ言う事はないだろう。一応内心そんな作戦もあったのだった。