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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第九章 G.O.D.<出会い>
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第207話 √2-12 G.O.D.

更新ペースが駄目すぎる

「いやあ、姉貴……一つ聞きたいんだけど」


 俺はあるモノを手にとって眺めながら首を傾げる。


「え? お姉ちゃんはユウくんが好きかって? そんなの分かってるくせにぃ」

「いやいや、そんなどうでもいいことじゃなくて」


 そうそう、実にどうでもいい。そのどうでもよい加減だとしたら、スーパーで売れるうまい棒の本数ぐらいどうでもいい。


「ど、どうでもいいことじゃないよ!? 例え罪を犯してまでもユウくんとくっつく目標があるの!」

「もういいから、弟溺愛ネタは飽きたから」

 

 使い古されたネタは衆人を萎えさせる。それが自己満足によるものならば尚更で、今回の場合は面白いよりも引きが勝っている、少なくとも俺には。


「がーん! ユウくん、お姉ちゃんに飽きちゃったんだね。ごめんねごめんねごめんね、つまらないお姉さんでごめんね」

「いやー、だからさ」


 俺はそういうことを言いたいんじゃない。こんな素晴らしい姉なんてそうそういない、ただし溺愛行動を除く。


「そうだ、お姉ちゃん止めればいいんだ! ということでユウくん、これからはユウくんの幼馴染で許嫁でつんでれでツインテールな女の子になるから」

「話を聞けい」


 矢継ぎ早に暴走する姉貴についに堪忍袋の緒が切れる、そうして姉貴の頭頂部へと右手でチョップを入れた。

 しかし既にこの国ではこんなこと姉以外の見知らぬ女性にやったら即訴訟されるであろう、もちろんやる気はないが。


「いたあ!? でもユウくんにされたんだよね……はぁはぁ」

「なんならまた水被るか?」


 一応ここに持ってきた水入りバケツは、幸いにも数個全てを使っているわけではない。まだ綺麗な水だろうから後始末に俺が苦労するだけで今の姉貴の暴走を止められるならば安いものだ。


「もうユウくんそんなに透けたお姉ちゃんが見たいなら素直に言えばいいのに、でもTシャツ一枚のノーブラだからきっと刺激が」

「じゃあ、それ燃やすわ」


 庭でファイヤー、中に燃えていいのか分からないものもあるけども細かいことは気にしない。


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。お姉ちゃん調子乗り過ぎました。それだけはやめて、本当にこれだけはだめなの。他なら燃やしていいから、私もいいから。これは私にとっての命の次の次の次ぐらいに大切なの。あ、もちろん一番大切なのはユウくんだからね? その次は私の家族……ユウくん家族だけどそのうち家族の枠組みを越えると思うし、きゃあ楽しみだなあ、早くユウくん卒業しないかなあ。あ、でも卒業したらユウくんとの学校ライフを楽しめない……留年しようかな、そうだ留年しよう! 来年はユウくんと同じクラスで、同じ授業、同じ昼食、クラスメイトのノリで体育祭とか文化祭とか楽しんで……そしてBoy friendsへ。ユウくん、だからね、私と付き合おう? もう我慢できない、留年まで我慢できない! あ、ならブラジルに行って結婚しよ? 大丈夫、私がユウくんの子供を授かれば結婚出来る法律があるらしいから、いざゆかんブラジルへ! あれ、ユウくん黙ってどうしたの――」


 新人声優顔負けの超早口を披露してくれた姉貴だが、その発言の半分以上は俺の耳に届いていない……ことにしておく。

 いやだって留年とか聞こえたんスけど。それも何か俺と同じクラスになるためってんだから……キチ●イ染みてるぞ姉貴さん。

 反応したら変化球どころかデッド狙いの剛速球が来るかも分からないので完全スルーを決め込むこととして、本題ことこのあるモノへの疑問をぶつけることとする。


「いやさ……三冊も要らないだろ?」

「ううん! 三冊は必要だよ!」


 ”冊”という単位を聞いて、少しばかり俺の指すある物について見えてくると思う。

 辞書や図鑑でシリーズモノで沢山あることや、コミックやラノベなら実例もあるから許容できる、もちろん雑誌も含む。

 しかしこれに限っては複数ある時点でおかしいのだ。それも内容が三冊共に完全に一致したまるで複製したかのように揃っている。


「これは記憶なんだよ? 思い出なんだよ? ……ユウくんが言っても、これは捨てられないよ」


 ここでネタをばらすこととしよう。”記憶”や”思い出”という単語から思い浮かぶ人もいるであろう。そう、これは――


「同じ内容のアルバムが三冊あっても意味ねえだろ!?」


 アルバム。正確にはフォトアルバムだ。その名の通り、写真を保管し写真を見やすいように並べて整理するための冊子だ。

 最近は当たり前なポケット式で写真の入れ替えが容易な、まあホームセンターから文具屋でもおそらく買える普通の代物である。

 例えば年代別や人別に分けて三冊なら俺はぎゃあぎゃあ言わない。しかし内容は全て、完全に枚数も挿入位置もまったくもって同じ。


「必要だよ……観賞用・保存用・布教用の三用途として!」

「どこぞのオタク理論か!」


 そして写真の内容は、俺が反発せざるを得ないものである。


「それもなんで俺の幼少期の写真ばかり!」

「かわいいから!」


 即答するなや。自分の写真が収録されたまったく同じ内容のアルバムが三つ存在するのだ、疑問どころか異論を唱えてもなんの不自然さもない。


「そもそも布教用ってなんだよ! 誰かに俺の幼少期布教してどうすんだよ!」

「必要だもん! 桐ちゃん、ユイちゃん、さくらちゃんにも貸しだしたんだよ!?」

「あああああ、なんでそんなにヤバ目な奴らに貸し出すんだよ!」

 

 さくらとか少なくとも一年も前じゃねえか……なんてことを。


「皆喜んでたよ? ユイちゃんと桐ちゃんには複製版あげたんだ」

「コピー本じゃあるまいしそんな手軽に複製するなよ!?」


 …………ったく。


「でももう貸し出すなよ……」

「えー、ユキちゃんや姫城マイって方からも貸出してほしいって」

「どこでそんな情報広まったし!」


 ユキさんに姫城さんだと!? なぜに、そんなことが起るんだよ!


「ダメダメ、貸出は断固禁止! じゃなきゃ原本燃やすぞ」

「! ……分かったよ、二人には謝らないとなあ」

「そんなことより、とっとと片付け終わらせるぞ」

「う、うん」


 そこからの片付けは早かった。今までのグダグダが嘘のように姉貴も主婦モードに入り、本格開始まで一時間半かかっていたのに対し、実際の片付け・掃除は僅か三〇分で終了した。

 当事者とはいえ拍子抜けだった。二五分経った頃には家具配置が開始され、まさに”なんということでしょう”状態だった。

 他の部屋に放置してあった折りたたみベッドを整備し、綺麗なシーツとふかふかのベッドパッドと寝心地は俺の保証済みな枕が用意された。

 三〇分経った頃には完全に物置の面影は皆無となった。カラーボックスを横倒しして作られた棚や、天井へと延びるしっかりとした作りの本棚に、プラスチック製の青い引き出し型衣装ケース、スチール製の卓袱台大の大きさのテーブルが置かれ、物置に眠っていた黒色ブラウン管テレビを引きずり出した

 ホニさんの趣味は分からないが、居心地はそれほど悪くないであろう。あとはホニさん本人に足してもらえばいいと思う。

 

「終わったねー、ユウくん」

「本当、これだけ出来るんだからさっさとやればいいのに」

「ユウくんと一緒の時間が欲しかったからね!」

「一応、俺は姉貴を手伝いたかったしな」

「……きっとユウくんも私から離れて行くだろうから、少しだけでも――」

「ん? 何か言ったか?」

「な、なんでもないよ! 優しいユウくん大好き! 今度デートしよ!」

「断る」

「がーん! そ、そんなぁ……」

「……か、買い物なら付きやってやらんこともない」

「! うん、今度買い物行こ! 買い物というのは名ばかりのデートしよ」

「名ばかり言うな」


 その後、ホニさんに綺麗になった部屋に連れてきたところ。


「わー、すごい綺麗! ありがとうございます! うわ、なにこれ! ふかふかだー……おお!? この黒い箱は一体――」


 と、非常に好評だったとさ。

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