第621.11話 √6-10 『ミユ・ユキ視点』『四月??日・二十二日』
四月??日
私、下之ミユの朝ははや……くない! というかこの部屋に籠ってると時間の感覚が狂っていく、というより狂った。
考えてみてもほしい、何度も世界をやり直して同じ一年を繰り返している上にこのバグ世界。
部屋の時計は止まったままだし、テレビは映るけど画面は止まったままだし、かろうじてユミジが管理している影響か自分のパソコンのみが正確な時間を刻んでいる。
正直私からパソコン取り上げたらすることなくなるよね、というかもうすることなくなってるよね、追ってるアニメ感想ブログの更新も一年繰り返すから見飽きたしさぁ。
それ以外はもう創作活動でもしてやろうかと思ったぐらい……ちなみにPC以外でのこの部屋での変化は一年おきにリセットされるので無駄になる、一度原稿用紙に手書きしたら全部なかったことになったのでもうやらない。
その点パソコンのテキストやワードでの作業は次の世界にも繰り越せる、ユウ兄とヒロインのラブコメがあったシーン・ポイントをスクショしているのでその説明をテキストで残しておいてある、特に意味はないけど自分用にね。
『今、ユウジと福島が死にました』
「は!?」
パソコンを離れて寝落ちしている時のことだった、人工AIのユミジがそんなさらっと衝撃的なことを言う。
「なんでその二人が死んだの!?」
『車に轢かれた福島の巻き添えでユウジは死んでいます』
車で死ぬというシチュエーションには覚えがある。
これまでの世界の死亡回数・タイミングとしては最多であろう篠文ユキがタクシーの轢かれるという最序盤の共通シナリオ部分で、イレギュラーなことが無い限りすべてのヒロインシナリオで経験するイベント。
「今は何日の何時!?」
『リセット後の外の世界は四月二十一日朝六時三〇分のようです。リセット時は四月二十一日朝八時二分でした』
この世界のリセットがこの部屋にどう影響するか気になっていただけにパソコンでユウジやユキの様子を見守っていた、だから四月二十一日の早朝ぐらいまでは記憶があるものの……寝落ちしてしまうとは。
とりあえずリセットは出来ていて周囲を見渡すと桐やホニさんもナタリーも寝てこそいるものの存在出来ている。
桐やホニさんの空腹などは感じなくなったものの眠ることは出来るようで今も寝息を立てている、二人もリセットを気にして夜更かししていたらしい。
データとなったアイシアは今は姿を見せていない、今回のバグ世界具合を解決するべく私のパソコンに潜ったきり出てこないことが多々ある。
「というかそのリセット時間ってユキがいつも死ぬタイミングだよね」
『はい。今回はそれとほぼ同時刻で別の事故が発生しています』
これはどういうことだろう? 共通ルートで不可避だったイベントがこの世界では別の人物が巻き込まれることに差し替わっていることになる。
……ちょっと、とりあえず桐や出来たらホニさんやナタリーも起こしてみんなと話してみよう。
「ユミジ、アイシアも呼べる?」
『呼んでみます』
そうして自称創造神の一人アイシアも交えて現状を話してみることにした。
「……ユウジとコナツが死んだじゃと?」
寝起きの桐だったけど眠気も覚めるような驚きだったみたいで、起床早々目を見開いてる。
私が桐を起こしたのは攻略情報を持っているからで、主人公であるユウ兄には内容を話せない制限などあるものの確認ぐらいは出来るだろうと踏んでいた。
……ちなみにホニさんは起きたものの、妖精枠のナタリーは全然起きる気配がなかったのでそのままにする、というか妖精が爆睡すんなし。
「桐的にはどう思う? 福島シナリオってこんな感じなの?」
「いや……そんなはずはないのじゃ。”ルリキャベ”原作ヒロインのルートは確実にユキの事故死を回避するか回避出来ないかのイベントを経由するようになっておる」
『原作通りではないね。ユーさんが死んでいるのも気になるとこかな』
アイシアも創造神なら攻略情報、いわゆるゲームの福島シナリオを把握しているんだと思う。
少なくとも桐とアイシアがこの展開についてイレギュラーなとを認識しているっぽい。
『とりあえずリセットが機能していて進行不能な事態にはなっていないのが救いでしょうか』
「それはそうだけど」
ユミジが言うことももっともで、それを危惧してパソコンに張り付いていて……寝落ちしちゃったんだけど。
「というかログを見る限り婚姻届けをユウ兄に迫った構図なんだけど……これは原作にあるの?」
『あるにはあるけどこのタイミングじゃないし、意図も違うと思う。ユーさんの福島への告白も早すぎるし、構成が滅茶苦茶になってるねこれ』
確かにおかしいと思った、基本的にこれまでのヒロインのルートでこのユキ事故死回避イベント前に主だったイベントはなかったはず。
本来は留学タイミングもホニさんとの出会いもあとのことで、それがいつからか前倒しされるのが普通になっていて……かと思えばこの世界では初期状態に戻ってるし。
「そもそもこの婚姻届けを要求する福島は何をしたいんじゃ? 友人の距離感がわからないというキャラ設定ではあるがここまでではないはずじゃ」
そうして話し合っている間にターニングポイントに戻ってきた結果――
「あああああああ!」
『再びユウジと福島死亡ですか』
「さっき見たのと同じだよ!?」
私が思わず叫び、ユミジが淡々と状況報告、ホニさんもログを見て場面を見たばかりのものが再現されたので声をあげる。
まったく同じなんだけど。
「……というか桐がサポート出来ないこの状況って良くないんじゃないんでしょうか」
「「あ」」
ホニさんがそう口にして全員が今更ながら気づく、確かにそうだよ!
これまでの世界では一度リセットしても桐がヒントを教えて回避、という流れがいくつもあった。
つまるところユウ兄はこの世界においてはノーヒントで攻略に挑まなければいけないことになる。
「そうなるのう! もう一人のわしは年相応で素直で真面目で純真無垢で可愛らしい幼女だから期待できないのじゃ!」
真面目まではともかく、容姿評はそのまま自分にも当てはまるじゃん……つ、つっこまないぞ!
「我らから言葉を伝えられる手段ってないのかな……?」
とホニさんが言って全員が少しだけ悩んだあと、じっと私のことを見る。
な、なんだろうなー。
「……この部屋でユウジに接触出来るのお主だけじゃな」
「は!? むりむりむり! 引きこもりになんてこと言うの! 人の心がないんか!」
『人の心がない私が言えばいいですか』
そういうことじゃない! ユミジは言葉尻をとらない!
私が助言出来ればかあ、でもなあ私がどの面下げてユウ兄に会えばいいのってわけで、というか私が助言したところでなあ……。
『ミユが無理ならユーさんの攻略手腕を信じるしかないねー、多少のリセットは覚悟必要かも』
「むむむ……」
この世界長丁場になりそう……?
『<マネージャー>アイシアは<リーダー>嵩鳥との連絡は取れないのですか?』
そうだよ! 創造神でも委員長は実体持ってるし私たちの言葉伝えられればチャンスあるかもじゃん!
『残念だけどこの状態の私じゃ出来ないよ。彼女はナレーションもやってるから思考リンクしてれば私たちの現状もユーさんの状況も把握出来てるだろうけど』
「え、ナレーション? 何の話?」
『うーん伝わりづらいんだよねこれ。それっぽく言うならマナカは創造神で<リーダー>”読むもの”だからいつもなら人の心が読めてるってこと、ついでに未来の自分との思考・記憶のリンクが出来てるなら私たちのことも未来の彼女が画面越しだかに見ててわかるんじゃないかな』
すごいな委員長……正確には私とは同じクラスになったことはあっても、特に仲良くなかったけど。
『でもそれを私に伝える手段もないんだよね、ナレーションは基本的に私たちに干渉できないし……というかこの世界では嵩鳥さんとナレーションの嵩鳥さんとリンクしてるかわからないし』
「???」
『ようはもう一人の創造神には期待できないと思う』
「そっかあ……」
いよいよ選択肢が限られてきて、私に絞られてくるわけで。
「……お主が無理する必要はない、とは言えないのう。じゃが、強制も出来んしわしからはお願いしすることしか出来ないのじゃ」
「う……」
『まあユーさんがなんとかしてくれることを祈るのもアリ寄りのアリってことで』
出来ればユウ兄が自力で切り開いてくれるのが一番なのは確かで。
「とりあえず見守ろう! うん、そうしよう! 幸いリセット効いてその日に戻る仕様みたいだし!」
うん! それがいい、それでいい!
「…………」
私のその言葉に誰も言えない、気持ちはありがたいけど空気がお通夜……!
とか話合っている間に三度目のターニングポイントが訪れ――
「お? ユウ兄いけー、そのまま押せー!」
「ごり押し最強じゃ」
「名前書いてるね」
ユウ兄が婚姻届けに要求通り名前を記入する……ただ冷静になるとなんか、ユウ兄が福島が持ってきたの婚姻届けにサインしてるの意味わかんないなあ。
というか福島は何をしたいんだ! ユウ兄と結婚とか羨ましいじゃなくて妬ましいじゃなくて、あー意味わかんない!
『車は回避したようですね』
「よし!」
本来福島が轢かれるはずだった車が背後で走り去っていく、これは回避出来たっぽい!
「やった! これで先に――はああああああああ!?」
『ユウジ死亡ですね』
「なぜじゃああああああああああ!?」
「えええええええ」
『福島原作以上におもしれー女だね』
私が声をあげ、ユミジが淡々と死亡報告、桐が叫び、ホニさんも驚きを隠せません。
最後のアイシアの感想は視点が謎!
事故を回避できたのを喜んだつかの間、ユウ兄は福島にカッターで首を切られて死んでしまう――なんでやねん!
『え、なに? 何が起こったの』
みんなの声にようやく起きるナタリー、あんた寝坊しすぎそれどころじゃないよ。
「理不尽だよこれ! 意味わかんないよ!」
『これは予想外ですね』
「わしにも意味がわからん」
私に続いてユミジも淡々と驚いている様子で、桐も想像が付かない様子。
「婚姻届けでフルネーム知りたかったみたいですし、名前で呼び合いたかったとかかな」
ホニさんがやべーやつの思考を読んだ!?
いや、確かに福島のキレたポイントってユウ兄が福島のことを苗字で呼んだからかもしれないけども――
「ヤンデレ系じゃん! 福島って原作からそんなキャラなの?」
「…………うむ」
そこは否定して欲しかったよ桐! 原作通りじゃないパターンであってほしかったよ!
『ゲームライターの悪ノリでバッドエンド多めなんだよねこのルート』
そういえば前に『(マイと)バッドエンド量は並ぶかな』ってアイシア言ってたけど!
「なんでアイシアが他人事なのか!?」
『だって原案から改変されちゃってるし、怒るポイントは同じだけど殺しにくることはないのに』
怒るポイントは同じなんだ!?
……実は福島って姫城よりヤンデレ度高くない?
大丈夫かなこのルート。
== ==
四月二十二日
私ことユキカ改めユキは昨日のこともあって、ちょくちょくユウジを観察していた。
本当は全部思い出して入学式の頃からずっと見てたけど、別にストーカーじゃないよ単に私がユウジを好きなだけだよ。
……それを言えるぐらいに私に勇気があれば色々違ったのかなあ。
学校でのユウジはこれまで通り高橋くんとユイと一緒にいることが多い。
これまではユウジの幼馴染のよしみでユイのことはユイなんて名前を呼び捨てで呼べたけど、たぶんこの世界では違和感凄いから巳原さん呼びなんだろうなぁ……。
そして私の記憶の中で高橋くんが別人に変わったタイミングがある、それはユウジが手紙をよく書いていたタイミングからだった。
結局あの時誰と文通してたとかは分からないんだよね……私が知っているのは覚えていることだけで、知らないことはわからない、当たり前のことだけどそこがもどかしい。
それでその時に高橋くんの容姿も性格も別人に変わっていて、それをユウジもユイも他のクラスメイトも気づいた素振りはなかった……いったいあの高橋くんは何者なんだろう。
ただ私が知っている世界の間でも新・高橋くんは特段目立った行動は起こさないし、ちゃんとユウジの友人を演じているし人畜無害と考えていいのかな……?
そんなことよりも、だ。
これまで世界は何度も繰り返してきた……たぶんその度にユウジは違う女の子と付き合っていたわけで、むむむむむむ。
最初はマイだった、あの時は私がユウジに告白して玉砕していた……思い出してつらい。
次はホニちゃんが学校に来ていたけど……たぶんアレユウジと付き合ってたよね、でもいつからかホニちゃんではなくなっていた、今思い出せば分かることでその時私は気づかなかった。
三人目……三人目かぁ、それもユイだもんなぁ……決定打の「結婚しました」の冗談から「付き合い始めました」を聞かされた私の立場……。
四人目はオルリス=クランナさんと何か仲良かった……たぶんアレも付き合ってたね……ぐっ! 思い出すことで私にダメージが!
「はぁ……はぁ……落ち着け私」
思い出す度にダメージ食らってるけどおさらいしないといけないんだ、これは必要なことだから仕方ないんだぐふっ!
それで五人目はそっか、ミナさんか……今思えばあのあたりからこの世界はおかしかった、ユウジのお姉さんのはずのミナさんが何故か幼馴染に……幼馴染に……。
六人目がたぶんユウジが文通していた相手、でも結局あの世界でユウジが誰かと交際していたかはわからなかった……けど大事な人がいたのは確かだったみたいで。
七人目はまさかの別のクラス女子、雨澄ヨリさん……途中でユウジの雰囲気とか体つきが違うような、不思議な世界だったと思う……というかその前にお弁当作ってあげる仲だったみたいだし。
八人目はこれまた予想外の委員長、そっち行くかぁ……そっちなんだぁと思ったもので、委員会活動通じて仲良くなったのかなとか……ううっ。
「八人……!」
とっかえひっかえってやつだよユウジ! 幼馴染の私から言わせてもらうと不健全だと思います!
この世界じゃ私は幼馴染じゃないから言う資格とか間柄でもないんだけどね!
「自分で言ってて傷ついた……」
それでこの世界で九人目確定じゃん、福島さんに告白してるんだからそういうことだよねえ!
……少し冷静になってから改めて整理する。
ここまでユウジと交際経験があったであろう女子と、この世界においてほぼ交流がないのが不自然なんだよね。
確かに五人目世界からオルリス=クランナさんとアイシア=ジェイシーさんが下之家にホームステイし始めるとかの変化もあったし、そもそもユイが引っ越すタイミングも最初違った。
世界を経るごとに四月一日に始まる時の状態が変わっていったのは確かなこと――それがこの世界では尽くリセットされてる。
ホニちゃんが下之家にいる様子もなく、オルリス=クランナさんもアイシア=ジェイシーさんも留学してくるタイミングは初期の世界と同じだ。
例外的にはユイのお父さんとユウジのお母さんが再婚したことで同居し始めるタイミングだけは前倒しされたままとか、この差はなんだろう。
これまでの世界の流れを汲むのなら――
本来今日は私とユウジが階段でちょっと触れ合っちゃったりして、それを見たからかマイがユウジ相手に何かするはずで。
二十六日前後にはユウジが生徒会に入れられることもあった、それでいつの間にか”副生徒会長補佐代行”なる役職になっていた。
五月一日にはユイ企画の肝試し、そこでホニちゃんとユウジが出会ったタイミングだったけど、それ以降は最初から下之家にいることになっていて。
それから生徒会に入ってるか入っていないかでユウジの学校生活も変化する、みたいな感じで。
「とりあえずマイがどういう行動を起こすかな……」
結論から言うと、何も起こさなかった。
というか私とユウジの触れ合うような出来事が起こらなかった……なんでだろう、タイミングがズレたのかもしれない。
結局じっとユウジを見つめているマイがいる状態でほぼ一日が終わる――はずだった。
「あの……篠文さん、ですよね」
まさかのマイから私に話かけてきたー!?
「う、うん。そうだけど?」
「つかぬことをお聞きしますが――ここ最近ずっとユウジ様のことを観察していたりしました?」
ぎくっ! ここ最近の行動バレバレだった!
「ち、違うんだよ! 別にストーカーとかじゃないんだよ、ただ目で追っちゃうだけで」
何の言い訳をしてるんだ私は!
「ユウジ様のことが好きなのですか」
「っ……」
す、好きですけど何か!?
でもそれを言う勇気もなければ、幼馴染の後ろ盾もないから交友関係すら持てないですけど何か!?
――それにこの世界を壊す勇気も私にはないから。
「肯定と捉えてよろしいですね」
「ひ、否定はしないけど……言わないでね?」
「もちろんです。遠目に思い人を慕う行動、とても奥ゆかしくて良いと思います」
「ありがとうございます……?」
なんかお礼言っちゃった。
「篠文さんならご存知かもしれませんが、どうやらユウジ様を振ったような不届きものがいる様子……!」
「そ、そうみたいだねー」
「福島コナツとやらは振っておいて、どうやらユウジ様と友達になった様子……! 許せません、殺したいです」
知ってたけど結構思考が物騒だよね、マイ。
「しかし百歩譲って億歩譲って交際しないなら許しましょう、ええ友達で留まるなら許しましょう……そう思いませんか?」
「許すとかは分かんないけど、いいんじゃないかな……?」
「ですが福島コナツは最近妙な挙動が目立ちます、要観察対象です」
「そ、そうなんだ」
そう相槌を打つしかない、やっぱりこういう時のマイなんか怖いんだもん!
「そこで提案です、今のところは穏便に済ませるということで――篠文さん、私とユウジ様観察同盟を結びませんか」
「観察同盟!?」
聞きなれない単語が出てきた!
「ようは観察し合っている者同士の情報交換の関係性ということです。いかかでしょう、私の知りえる情報もオープンしますし出来れば篠文さんからも情報提供をお願いしたいのです」
「う、うーん」
正直ぶっ飛んだ発想ではあるけど……ユウジのことが気になるのは確かなことで。
そしてこのままユウジを観察しているとさすがにバレる気がする、役割分担でも時間を分けるでもいいから持ち回りにできればいいのかもしれない。
……いや、良くはないよね!? そこまでしようと思ってたの私、こわっ!
これは断ろうかな、でも情報交換のメリットもあることは確かで……ヘンな世界だけに、このままいつも通り進行するとは思えないからこそ知っておきたいことはあって。
「でも姫城さんが知ってる情報だけかもしれないよ?」
「かまいません、正直観察同盟なんて名前だけでいいので『ユウジ様を語る会』とかでもいいのです」
ぶっちゃけた! ようは好きな人を語りたい相手が欲しいのに理屈をつけようとしてたやつ!
でもそっか、こういうの友達にも話せないもんね……個人的にマイのことも好きだし、話す理由付けとしてはアリかもしれないんだよね。
「う、うん……いいよ」
「本当ですか!? それではユウジ様を観察しながら語る会、結成ですね! よろしくお願いします」
「よ、よろしくー」
奇妙な関係性が出来てしまった……けど、たまにはこう自分の心をの内を少しはオープンに出来る場もあっていいと思う。
それにこうでもしないと、ユウジが幼馴染じゃないからマイとつながりを持つことだって出来ないわけで。
語る会、ぐらいなら穏やかに済みそうだしいいんじゃないかな――
「ということで第一回活動は、福島さんをどうすれば亡き者にできるかですね」
「え!?」
「冗談です」
「じょ、冗談かー」
マイが言うと冗談じゃ済まないところが怖いんだけど……。
ともあれ私はマイといつもと違う形で交流を持つことになった。