第200話 √2-5 G.O.D.
セーフ?
「ごめんね、ユウくんっ!」
俺が居間でくつろいでいると、帰って来たばかりであろう姉貴が突然に謝って来た。
……いや突然ではないか、俺が姉貴も仕掛け人として含まれるであろう謎の集団に襲われた。
そりゃあ、低予算なだけに戦闘シーンが一枚絵とかで済ま――って関係ないか。
「姉貴は何に対して謝ってるわけ?」
「それは……あの」
「あの、どの?」
「……ユウくんを襲ったこと、です」
やっぱりか。てーことは生徒会で間違ってないのかもな、あの襲撃してきたメンバーも。
そう考えるとすげえな、あの戦闘力と統率力のある女子。バトルモノの学園生徒会にありがちだけれども、それを現実で見ると――結構アレだな。
「あ、性的な意味じゃないよ」
「そんなことが有ったら大問題だ!」
反省してないだろ……姉貴。
どこの世界にそんな弁解をする姉貴がいる……って、ここか! もう伏線と言うべき片鱗は今まで見せらてたからな。
なんか幼少期には「お兄ちゃんと子供つくるのー」とかやっべえ発言残してるし……なるべくしてなったということか。
「で、なんで襲ったの?」
「それは……ユウくんに生徒会を手伝ってほしかったから――いい訳にならないよね! ごめんっ」
そういうことか、生徒会で結構学校に残ってたからな……少なからず、いや姉貴には家事も任せて結構な負担が強いられていたのだろう。
今まで散々迷惑をかけてきた。弁当も殆ど作って貰ってたし、絶品姉貴料理がたまらず朝晩任っきり――母はずっと働きづめで帰らないから、家事は姉貴主導だし。
それだけでも姉貴にとっては負担なのに中学二年最後に、俺は姉貴に――
「そうか、分かった」
だから生徒会を手伝ってほしい――ある種、タ・ス・ケ・テのサインだった訳だ。
それならば、俺もいつまでも呆けているわけにはいかない。どれだけ姉貴の肩の荷を下ろせるかは分からないけども!
「……ユウくん?」
「分かったよ、姉貴」
「え、それなら――」
「俺、家事頑張るよ」
「……え?」
俺に出来るのはそれぐらい、せめての手助け。
そうだよな。姉貴の日常生活で負担になっているのは家事もあるはず。だから、少しでも姉貴の仕事を軽減出来れば――
「えーと、そういうことじゃなくてね……私はユウくんと一緒に――」
「わかってる、わかってる。姉貴をこれからは家事で手助けして行くから!」
「あうっ」
「心配するなよ。姉貴には及ばないけど料理、少しなら出来るからさ」
少し心得はあるけども、料理のレパートリー増やす為に料理本片手に勉強してみるぜ!
「はうっ、ユウくんの手料理……あっ、でもユウくんとの生徒会……うーん!?」
「姉貴も少しは休む時間必要だからさ」
仮にも学生。姉貴の成績はかなり良く、それも日々の賜物だと知っている。だからこそ、少しでも自分の時間が出来るように!
「あの、ユウくん?」
「ん?」
「生徒会に入る気は――」
「ないぞ?」
「がーん」
「いやーだってさ」
「襲ってくるような人たちだぜ?」
「あうっ!」
姉貴には悪いけども……いや、それはない。あんな物騒な方々とはあまり知り合いたくないです、はい。
姉貴もその中ではまともで……それでいてきっと乗り気じゃなかったのだろう、きっとそうに違いない。
姉貴を操った生徒会許すまじ、そんなところ誰が入るか! それに、さ――
「なんか、先見えてるよねー? 人員少ないからってコキ使われて」
「あううっ!」
「ネタキャラ化とした揚句、上級生の横暴で日常生活が大分拘束される気がするんだよな」
「……ごめん、ユウくん。お料理楽しみにしてるね」
「おう、頑張るぜ!」
打ち負かしちゃったよこの人。あのミナを問い詰めて追い詰めちゃいましたよ。
えー、これで本当に生徒会関わり無くなりそうですね……トドメを刺しましたね。
そんなこんなで時は過ぎて、そしてあのイベントでユウジと彼女はついに出会います。
もう分かりましたよね? そうです、日にちは飛んでマサヒロ主催の春の肝試し大会へ――