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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第二十章 この中にもう一人、幼馴染がいる! ーなかおさー
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第725話 √7-58 『ユキ視点』『二月十三日』




 クリスマスイブの夜。

 その時にはユウジから色々とこれまでの女の子との世界のことを聞きだして、たまに嫉妬して今の彼女は私なんだぞ! と主張するようにしてキスを何度もした。


 ユウジから語られることはだいぶ端折っているような印象があったし、ユウジ視点だからどこか遠慮しがちな話でもあったけど――

 それぞれの世界でユウジはがんばってたんだなぁってまず思えて、私視点で少しではあるけどユウジのこと見てたからちょっとは分かるんだ。

 そして”夢”として語る他の子達は、話す時いつも懐かしそうでいて幸せそうに話すのが本当に印象的で――みんなを幸せにしたんだなぁって、ことも分かって。

 だからといって「じゃあ俺、皆と付き合うから」と言われたら……うん、とは頷けないけど。

 それでも頭ごなしに否定することは出来なくなったかなって、私も考える余地はあるのかなって。

 実際ちょっと私もきつい言い方になっちゃうのはさ……現実に置き換えるとこう、なんだよね。


『今まで色んな女の子と付き合って来てお前とも付き合ってるけど、他の子とヨリ戻すつもりいくらでもあっから!』


 ……ちょっと悪意があって穿った捉え方とはいえ、事情を知る私たち以外が他人に話そうとすればこうなっちゃう。

 難しいよね、どうしたらいいんだろうね。

 でも私たちは事情を知ってるから、皆と付き合っている経緯を少しでも知っているからその現実に置き換えた文言は適切ではなくて、複雑で。


 だから……とりあえずはこの世界だけでは私だけ好きでいてくれるのは絶対条件!

 そのあとは、そのあとがあるならユウジと一緒に考えようと思う。

 もしかしたら血みどろの争いになるかもしれないし、皆でユウジの女の子になるなんて結末もあるかもしれない。


 でも、今はそんなこと考えない。

 だから実はユウジに他の女の子の世界のことを聞きだしたのは好奇心もあったけど――それからのスキンシップをする口実の為で。

 二人きりの私の部屋でクリスマスイブの雰囲気と、他の女の子の話での嫉妬メラメラとも手伝って、私はユウジと一線を超えられた。

 ちょっと痛くて、辛いけれど、幸せで、暖かい、そんな感じ。

 私の、私だけのユウジとの思い出になったのは違いなくて――忘れられない私でも、特に今日の日の思い出を大切にしようと決めたんだ。





 クリスマスの、ユウジとの大きな進展があってから。

 大晦日には皆でユウジの家に集まってワイワイ遊んで、そのまま元日初詣に行って――


 ユウジが私が作ったマフラーを付けてくれたのが嬉しくて、私がユウジのプレゼントのブローチを付けていたことにユウジが気付いてくれたのも嬉しくて。

 年が終わるのにこんなに幸せラッシュでどうしよう、と超浮かれる。

 と更にはユウジのマフラーに一緒に巻かれたりして……近くにユウジを感じられる幸せな時間。


 それから賽銭箱にマイは一万円を入れようとしてユウジに止められて、隣のユイは「空から女の子が降って来ますように……」と良く分からないことを口に出してお祈りしてたけど。

 そして私は、一つの神頼みをしていた。


 

 いつか私がユウジのお嫁さんになれますように。



 たぶんこの世界は終わったら、きっとまた時間が巻き戻ってなかったことになるんだと思う。

 それでも私は、その先の世界でまたユウジのことを好きでいて……または好きになって! それから時間が経っても、ユウジのお嫁さんになりたい!

 叶わぬ願いだと思ってないよ、忘れられない私の長年積み重ねた恋心はちょっとやそっとのことじゃ消えないし――諦めないよ。


 …………でもユウジのお嫁さん、といってもユウジの”お嫁さんの中の一人”という状況は今はちょっと考えられないかな。

 それから初詣を終えて、ほぼ解散したあとユウジが家まで送ってくれて――新年初チューが出来たのが、なんだか嬉しかったんだ。

 些細なことだし、キスなんて何度もしてるのに、シチュエーションってすごい大事なんだねって思えた出来事だったかな。





 冬休みが明けて、私とユウジの恋人関係はなかなかになかなかだったり。

 下校デートは数日に一回は行ってるし、休日デートも週に一回ぐらい行く時もあったりして……両親公認になったことで、ユウジをよく泊りがけで誘ってみたりもしたっけ。

 一度だけカレーパンの辛さで言い合って、喧嘩になっちゃって二日ぐらい口を聞かないこともあったけど……結局同じぐらいのタイミングで「どっちもいいよね!」と二人とも折れて仲直りしたなんてこともあった。

 

 その間キスは数えきれないぐらいしたし、家に誘った時は……ノーコメント!

 とにかく幸せで、彼氏彼女の時間を過ごせていたと思う。

 でも心の片隅にタイムリミットがあることと、ユウジが他の女の子も好きであることも引っかかっていたのも確かだけど。

 そうだとしても私たちは傍から見ればきっと恋人同士に見えているはずで、そして当人の私たちも恋人同士だと思っているから別にいいかな、と問題は先送りしちゃう。

 とにかく、いつもの日常の中で時折幼馴染な、時々彼氏彼女な間柄になって、幸せに楽しく過ごしていたのはもっとも確かなことだった。

 

 

二月十三日



 そうしてついにやってきてしまったバレンタインデー――の前夜。

 バレンタインデーというお菓子会社のチョコを売り出す作戦にまんまと乗せられる私……だってこんなに浸透しちゃってるんだもん。

 むしろ彼氏持ちの私が彼氏にチョコを渡さないのが不自然な空気だし、きっとユウジも期待してくれてるかもしれない。


 だから正直お菓子作りはあまり得意じゃなくても、がんばるぞ! と材料を買いこんでレシピを読み込んで腕をまくって挑む。

 そんなことから私はというとユウジに渡すチョコレートの試作を続けている最中だった。


「ハッ……チョコを作っているつもりが何故かカレーに」


 なんだか鍋でチョコを湯せんしてたらカラダガカッテニー!

 ……結果、鍋には美味しいカレーが出来上がりましたとさ。

 ほらチョコとカレーのルウって似てるよね、そのルウにスパイスをプラスアルファしても美味しいんだよね……じゃなかった!


「どうしてこうなった!?」


 私だって女の子だし甘い物は好きなのに、でもそれ以上にスパイシーなものが好きなんだよ……!

 クレープ屋があったら生クリームとかチョコバナナとか差し置いてタコス風とかカレーとか注文しちゃうと思う。


「うう……どうにかしてスパイス使えないかな」


 七味チョコとかどうだろう、柿の種チョコだってあるんだからいけるよね!

 ほかには山椒チョコ、ビリリと刺激的で気になる彼の心もビリリとノックアウト……いけそう!

 ……例えそれがいけたとしても、好きな男の子かつ彼氏に渡すものかと言えば私でさえ疑問に思うけど。


「う~ん、気分転換しよ」


 たまたま手元にあった黒い稲妻的なお菓子のゴールドなパッケージのチョコを一口かじる――


「こ、これは――」


 それはヒラメキ、もとい量販品のパクリを思いついてしまったキッカケだった。

 いいじゃん、どうせみんな市販のチョコ溶かして成形してるだけなんだから、味はパクリどころか流用なんだし。

 と、自分に言い聞かせてチョコの試作を試みる――


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