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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第二十章 この中にもう一人、幼馴染がいる! ーなかおさー
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第709話 √7-42 『ユウジ・ユキ視点』『↓』

現在ストック:23話分・732話(√7-65)まで初稿完成済み


 ちなみに俺と姉貴が早朝ウォーキングに行くと伝えると母さんは自室に戻って寝たようだった、この時間に戻ってきたことはほぼ徹夜しているのだろう。

 母さんにとって貴重な休日だし、しばらく寝かせておこう……。


 その間に俺たちいつものメンバーの勉強会をすることは母さんには伝えてあるし、姉貴ももてなしの準備が整っているようだった。

 というか昨日姉貴に勉強会の相談をしてから、異様に冷蔵庫の食材が充実しているんだが、もしかすると姉貴が昼ご飯本気を出すのか……?

 これは――俺含めて皆が姉貴の飯に堕ちるかもしれない! ヒロインの胃袋キャッチ姉キュアされてしまえば俺の立つ瀬がないというもの、これは俺にとってのラスボスは姉貴だったらしい……まぁそれは半分冗談として。


 姉貴も勉強会に参加することを拒む理由こそ無けれど、姉貴って生徒会役員かつ成績優秀者で運動も出来るという文武両道を地で行く俺の自慢の姉――なのは本題じゃなかった。

 とにかく姉貴が日ごろの勉強的にも勉強会に参加する理由はないはずなのだが、そこはこう俺含めた下級生と一緒にワイワイ勉強をしたいとかいう微笑ましい理由と解釈している……特に深い意味ないよな?


 ちなみにミユはというとしばらく引きこもりを卒業していたのだが、元同級生との再会は(この世界では)気まずいということで”復活! 一日引きこもり生活!”になるようだ。

 なんというか俺のせいでミユに気を遣わせてしまって申し訳ないのだが、ミユは「いいよいいよ」と軽く流してくれたのはある意味有難い……その内何かお礼でもするかな。


 そしてクランナとオルリスは都合良く出かけている、二人が休日に繰り出すのは割といつものことなのだが……今回の勉強会に二人を誘ったのだが断られてしまっていた。

 というのも「ごめんなさいですわ、その日はアイシアと映画を見に行きますの」と別に何の不思議もない断られ方だ。

 割と充実した映画のラインナップを誇る藍浜町の映画館で今日が最終上映日の映画があるとのことで、外せない用事らしかった。

 もちろん無理に誘うこともしないし、この町以外の映画館でその映画を明日以降扱っている保証もなければ、そもそも隣の映画館に行くだけで列車で往復二時間はかかるのだから、そんな機会を今を逃す手はないのも俺も上映終了を失念して映画を見逃した経験からよく分かっているのだ。


 ホニさんと桐は普通に部屋にいるようで、もしかするとミユと過ごしているのかもしれない。

 そんなわけでいつものメンバー(既に委員長も含まれる)と姉貴を加えた七人の真集団、その名もセイクリッドセブン!

 ……なんとなくそう命名してみたかっただけで特に意味はないオニ、ともかくそんな面子での勉強会が始まるのだった。



 

  

 当初公園集合にして俺が来る子達を迎えに行くことを考えていたのだが。

 「私はそのまま直で行きたいな」「私は知っているので問題ありません」「私も同じく」「まぁ僕は知ってるし」  

 と、ユキ・姫城・委員長・マサヒロにそう言われて現地集合になった。

 いや……一応俺はこれまでの世界知ってるからいいけど、姫城と委員長の二人はなんで俺の家知ってるの? って、初見なら思うからマジで。

 

 ちなみにユイは元々住んでいるので現地集合どころじゃない「ラクチンラクチン、ユウジに起こしてもらうまでギリギリまで寝れるじゃんよ~」とか舐めたこと言ってた、もう起こさなくていい気がしてきた。


 来客があるからと前日と当日に姉貴と軽く家を掃除していたとはいえ、最後の追い込みとばかりに玄関を軽く掃除していると――


「うーんトイレ……」

「ちょ、母さんこっちはトイレじゃないから……俺はトイレじゃないから!」

「ホッと便座」


 そんな老後が心配になってしまう寝ぼけぶりを披露していると、玄関のインターホンが鳴った。

 そしてインターホンに声を送るユキが玄関越しに聞こえ、どうやらインターホンには姉貴が出ているようだった。


「はーい」

「おう!?」


 するとインターホンを聞くなりいきなりシャキっとした母さんは玄関サンダルを履いて普通に玄関扉を開けた。

 表情が既に出来る母親モードしていて違和感が凄いけど、トイレはどうしたんだ母さん……もっとも恰好は上下ジャージという芋具合なのだが。


「あ、こんにちは――」

「いらっしゃー……」


 そうして俺の母さんとユキが出会う。

 作られた記憶の通りなら幼馴染のユキと認識はあるはずだし、母さんも別に不審に思うことはないだろう――そう俺は考えたのだ。

 だが――



「あれ? ユキカちゃん?」



 母さんはあろうことか、ユキを見て別の名前を呼んでしまったのだった。

 

「…………えっ」

「わぁこんなに大きくなって懐かしいわぁ! おばさんのこと覚えてるかしら? ねぇユキカちゃん――」


 まるでその話し方は本当に久しぶりに会ったようで、原作の設定を無視したかのようで――



「いつぐらいに、この町に戻ってきたの?」


 

 かつてその名前の子と知り合いだったかのようなニュアンスで、母さんは言ったのだ。

 

「ちょ、母さん寝ぼけてんの!? この子はユキだよユキ!」


 寝ぼけの母親を玄関に出すものじゃない、そんな架空の……架空、の?

 あれ、ユキカってどこかで聞いたような――


「あ、あらごめんなさいね。ユキちゃんね。いらっしゃいいらっしゃい」

「え、えと。はい……お邪魔します」


 そうして俺は母さんの行動ばかりに目が行っていたのだが――


「ユキごめんな……ユキ?」

「え! あ、なんでもないよ! お、お邪魔するね!」


 その表情は明らかに動揺していて目が泳ぎ、その時から少しの間俺と何故か目を合わせようとしなかったのが妙に印象に残ってしまった。

 


* *



 そういえばユウジと彼女になってからは初めてユウジの家に来るかもしれない。

 とはいってもいつもの皆での勉強会という名目でだけどね……。

 

 ユウジと付き合い始めて、こうして学校やいつもの皆で集まる時にはユウジとのその……スキンシップも出来るのに。

 今の今までデートと呼べるものが実現しないことに不信感や不満を募らせていたのは確かで。

 それでもユウジが誘ってきたときも、どうしても断らないといけない用事が入ったりとすれ違っていて。


 別にユウジと仲が悪いわけでもなく、それ以外の下校時とかは普通に一緒に帰れるだけに、デートだけが実現しないのはおかしいなぁとは思ってて。

 だからもしかして、私の記憶の通りなら……私の告白が早すぎたせいでデートが実現しないんじゃ、と突拍子もないことを考えてしまう。

 実際、もし記憶の中の通りなら私が正式にユウジに告白するのは文化祭の時で、正確には文化祭直前で、多分その頃からちゃんと関係性が変わっていたのかもしれない。

 そう勝手に私は考えて、あと少しの辛抱だと自分を諫める……実際皆で会う時でも時間を見つけては、その……キスしてるしね。

 だからこそ着実に時が進んでいて、記憶の通りにことが進んでいることにだけは少し安心しながら今日の勉強会に望むことにする。


 そこそこ……気合は入れたはずの私服と、髪の毛も問題ないはず!

 ほかの皆に比べれば家も近いからと、一緒に住んでいるユイ以外だともしかして一番私がユウジの家には早く着くかな?

 そう考えつつも歩みを早めて、ユウジの家の前にたどり着いて自分を落ち着けるべくすーはーと息をはく。

 インターホンをドキドキしながら押すと、ユウジのお姉さんのミナさんの声が聞こえてくる。

 門の中に入ってちょっと待ってねー、とミナさんのがインターホンの受話器を下ろして向かって来る―― 


 よりも先に玄関扉が開いて、私は反射的に――


「あ、こんにちは――」

「いらっしゃー……」


 そこには懐かしい人がいて、記憶の中と殆ど容姿の変わっていない、ユウジのお母さんの姿があって――



「あれ? ユキカちゃん?」



 …………えっ?





 あれから私は、心ここにあらずだった。

 皆が集まって勉強会始まった今でも、時折ユウジの顔を覗いては目をそらしてしまうことが何度も続いてしまう。

 

 正直ユウジのお母さんの話したことは半分ぐらいしか覚えて……いえ、嘘をつきました全部覚えていますとも。


「(ど、どういうこと!?)」


 ユウジ曰くユウジのお母さんは寝起きだったらしいけど、それにしたって――


「(ユウジもユウジのお母さんも寝ぼけたら私の”本当の名前”を呼ぶのなんなの!?)」


 親子だからなの!? 遺伝子がなせる技なの!?

 正直ショッキングに私そろそろ耐えられる気がしないよ……。


 そして私を『ユキカ』と呼んでから、ユウジのお母さんの話すことは……まったくもってその通りで。

 いわゆる私の中の偽りの記憶にして、私が幼馴染として存在出来ている今に準拠した記憶では、未だに関係が続いているのだからとそこまでユウジのお母さんと疎遠になったわけではなくて。

 だからユウジのお母さんの言った『大きくなって』とか『いつぐらいに、この町に戻ってきたの?』にはなるはずなくて。

 私の真の名前と、久しぶりの再会のような口調からは――今の私ユキではなく、本当の私ユキカと話そうと試みていたのは確かなことだと思う。


 正直本当の私のことを覚えているからなんだと思うかもしれないけれど、私にとっては大事なことで、その大事なことを自分自身が今まで忘れていたことが悔しくもあって。

 あの幼稚園の、ユウジとミユとサクラとミナさんと一緒に私が居たのはたった一年間だけど、かけがえのないことには違いなくて。

 ほんとうに些細なことで、もしかしたら大した意図があったかも分からないにしても”あの時私を車から救ってくれた”ことをキッカケにユウジに私の興味が惹かれたはずで。


 そんな大事なことを覚えているのと覚えていないとでは、私にとってユウジへの、その……感情というか、愛! が違ってきて!

 もし覚えているのなら嬉しくて、あの時のお礼を言いたくて、最近でも私を救ってくれたことも余計に嬉しくて、それから、それから!

 

 そんな私はともかく頭の中がワチャワチャとしてしまっている、せっかくこの世界では初めて足を踏み入れられたユウジの家にも喜んでいる余裕すらないほどで。

 もちろん勉強会の勉強なんて身に付かないし、隣でマイがユウジに攻勢をかけていることも認識はしていても対抗する考えすら及ばないほどで。

 

「ちょ、ちょ、ユキ殿」

「え、あ、うん」


 その後何故かユイに連れられてユイの部屋に招かれた後。


「アタシとしてはユイの恋路を応援したいと思っていましてな。ということでささやかながらお手伝いさせていただきたく候。つきましては文化祭のカップルコンテンストに応募しておいたので、有効活用してくれっすな」


 …………適当に相槌を打っていると「じゃあ、文化祭で頑張ってぬ!」と何か励まされて、そしてユイにまた連れられて勉強していた居間に戻る。

 そして少しだけ冷静になってから――



 ……カップルコンテスト、ですと?



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