第700話 √7-33 『ユキ視点』『↓』
700話達成!
最近はよく一緒にいるようになったユウジやユイや高橋君やマイと、夏休み二泊三日でキャンプに行くことになった!
私としては暑い夏の日が続いても、ずっと家にいるよりは汗をかいてでも外に出たい! な、性格もあってキャンプを純粋に楽しみにしていたんだよね~。
更に加わった委員長が、計画を立てただけで場所も決まっていない状況からそれはもうトントン拍子にキャンプ計画を進めてくれて、格安でコテージを借りれることにもなった!
そうしてキャンプ気分を味わいながらも快適に、仲の良い友達や……恋人も含めて! 二泊三日を過ごせることになった!
「よし! 二泊三日もあるんだから、関係進めたいな!」
もちろん皆でワイワイ楽しむキャンプも期待してるけど、その合間にでもちょーっとだけでもユウジとの時間があれば、なんて。
きっと何かあるよね、何か起こっちゃうかもね、それでイベント的に気分的に乗っちゃってもいいよね?
こうして私はちょっとした下心を持ちつつも計画性も何もなくキャンプに参加した結果――
「(あれ……私、今まで何を……)」
昼食それぞれ具材を持ち寄って皆でバーベキューをして、日が暮れるまで散歩したり水遊びしたり、ユウジと高橋君がいるコテージでピザパ(=ピザパーティ)したり。
それから皆でお風呂入って~……。
「(ユウジとの二人きりの時間、無かった!?)」
そう,今はと言えばコテージ二階は畳敷きになっていることもあって、布団を四人分敷いて女子四人で雑魚寝する流れになって。
寝る前にそれぞれ自分の時間があったりして、私は持ってきたスパイスの確認したり、マイは「よく分かる恋愛テク」な本を読みふけっていたり、委員長は文庫本を読んでいたり、ユイはインターネットしていたり、かと思えば皆でテレビを見ていたり。
そうしているとあっという間に寝る時間が来る、といっても夜も十二時前なんだけど。
確か委員長「修学旅行っぽく皆で寝るというのはどうですか?」と提案して、割と皆乗り気になって、じゃあ時間決めて消灯ね、ってことになって。
なんだかんだで今日ワイワイやって疲れちゃったし、もう寝るのもいいかなと思い始めた頃に――気づいてしまった。
「(普通にキャンプ楽しんじゃった……)」
間違ってない、間違ってないんだけどね……でもちょっとぐらいは、ユウジと色っぽいことあってもいいんじゃないかなーって。
いやその色っぽいっていっても、キスぐらいだからね! それ以上とかこれっぽちも考えてないから!
……こうして今日はユウジとの間に成果なしなことを意識すると、微妙にヘコむというか、やっちゃったなぁと思うわけで……。
そんな時に――
「そういえば、こうして修学旅行の寝床ではコイバナが盛り上がるそうですね」
「「!?」」
既に暗くした部屋でマイがそんなことを言ったものだから……いよいよ寝れなくなってしまった。
「コイバナとは? 恋の話というやつですかな? HAHAHA御冗談を」
「巳原さんは好きな方はいらっしゃらないのですか」
「す、好きな方ね。あー、うーん……」
明らかにユイの歯切れが悪くなっていた……なんでだろう。
いや、心当たりはあるけどね。
正直記憶にあるのに信じられないと言っちゃったらユイに失礼なんだけど、ユイがユウジと付き合っていた世界がこれまでにあったのだ。
もしかしたら、思い出してるのかもしれないとか……マイが夢に見たとはいえ、多分記憶ままの前例があるだけに私ももしやと思ってしまう。
「聞いた私から言った方がいいですね。私はユウジ様です」
知ってる。
それは痛いほど知っていますとも、一度それで私は失恋しているんだから。
「ユ、ユウジ!? マイ殿はユウジのことを好いているので!?」
「はい、いずれ告白をしようかと思っています」
「まじか」
や、やばい……分かってはいたけどマイ、確実に諦めてないよこれ!
マイの世界ではユウジにマイが告白されたらしい(実際に見てないから雰囲気だけで判断して)のは文化祭前、流れそのままならマイが告白するのも文化祭前後の可能性もありうる!
私とユウジはそれぞれ恋人同士だと思っているけど、結局まだ隠れて付き合っている状態が続いているのは確かで。
うーん、でもなぁ……もともと私がユウジと付き合ってます! と公表したいような性格でもないし、そしてユウジを好きかもしれない」女の子がいるのも私が分かっていると。
何してるのかほんとよく分かんないよね、私。
他の女の子に今は遠慮しているからといって、じゃあユウジが他の女の子と付き合っていいかと聞かれると――それは嫌で。
だから本当の意味での決着は付けないといけないと思う、例え私が自分以外のユウジを好きかもしれない女の子の気持ちをを傷つけてでも……この恋を諦められるほど、私は優しくない。
「なら姫城さんに続いて。私も下之君いいなーって思ってるよ」
「嵩鳥さんもそうなのですか!」
「えっ」
……一応知ってる、けどこの世界で委員長がユウジのことを好きだとは思わなかったよ……。
「じゃあアタシも」
え、え、ユイも言っちゃうの?
そして流れ的に次は私なんだけど、そのせいで私に視線が集まって……やめて、見ないで!
「な、なら私も!」
「…………」
どうぞ、どうぞ――にならない!?
「ということは、この四人で血で血を洗う激闘を繰り広げなければなりませんね……」
マイが言うとシャレにならないからやめて!
「下之君のこと気になってはいましたが、ここまでライバルが多いなら――本気を出さないといけませんね!」
「正妻戦争の幕開けだあああああああ!」
なんか私以外の三人が熱くなってる……もう完全に寝る前のコンディションじゃなくなってきたよ。
「私、ユウジ様のことなら分かる気がするんです」
「ほう、マイ殿。その根拠は如何に」
「ユウジ様と恋人になる――夢を見ました」
「それならアタシだって見たぞい」
「あ、それ私も見てます」
全員見てるの!? マイがユウジと付き合う夢を見たって言ってたけど、全員見てたの!?
そして私は知っている。
それが決して夢なんかではなく、実際に現実に起こり得ていたことを。
「姫城さんのその夢、どんな内容か気になりますね」
「ではお話しますね。私とユウジ様の夢での馴れ初めはですね――」
委員長が聞き、マイが話し出したのはそれはもう壮大は出来事の数々で、私の記憶と照らし合わせればスケジュールもバッチリ合う正確さで。
…………ちなみにその時、ユイが「あ、深夜アニメの時間だからちょっと抜けるっすよ」と言って部屋から出ていき、三時間ほど帰ってこなかったことに気付くのはあとのこと。
二時間半以上かけたマイの話から委員長の話になり、そしてユイがいつの間にか帰ってきた頃には――全員脱落。
この状況で私がユウジと付き合っていると知られた先には、追及は避けられない。
もっともマイは察してるんだろうけど、他の二人が分からない以上はね……それに私だって表明はしていない以上、未だ隠れて付き合ってるだけなのもある。
そうこうして私は相槌を入れる程度で、ぽろっと自分のことを話してしまわないように気を付けていたら、マイの夢の話が子守歌になって急激に睡魔が……。
そして深夜も四時半、最後に時計を確認したのがその時間と言うだけだけど、私の意識のあった最新の時間だと思うわけで――スヤァ。
ちなみに記憶をあとで整理していたんだけど。
マイの夢の中の……本当は、マイとユウジが付き合う世界のユウジが美化もされているかもしれないけどかっこいいなぁって。
ユイはユイで、なんか楽しそうな恋人関係だなぁと聞いてて微笑ましくて。
そして委員長、ユウジと小学校に入ってからずっと同じクラスらしくて……そんなの初耳だし。
それってなんか、あまり話すことは無かったと委員長は言うけど、二人の間柄はなんとなく幼馴染みたいで――私は、それがちょっと羨ましく思えてしまった。
まさかこの時にユキは、ユイはユウジと二人の時間をなんだかんだで過ごし、このキャンプにさえ来ていないはずのアイシアとユウジが寝落ち後に一緒にお風呂に入っていたことなど、知る由もなかったのだった。
マナカ「私の仕事取らないでださいアイシア。というよりもセルフナレーションとか自演じゃないですか」
アイシア「……えっ(それをナレーションやってた嵩鳥さんが言う?)」
マナカ「発動マナカアイ! カッ! メガネ外せば考えたこと、なんとなくわかるんですからね!」
アイシア「こういう時だけ都合よく能力の精度あげるのやめよう」