表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第二十章 この中にもう一人、幼馴染がいる! ーなかおさー
561/648

第682話 √7-15 『ユウジ視点』『↓』



五月十一日


 

 正直気が重いというか、案の定登校してきたら非公式新聞部がアイパマ新聞配ってるし。

 そして渦中の人物の俺に普通に渡してくるし、煽ってるのかね――非公式新聞部部長杉谷、法廷で会おう!


 ……まあ冗談はおいておいて、しばらくイベントと呼べるものが無く平穏な日々が続いていた頃にこの出来事である。

 覚えてますよええ、これからされることとかもちろんですとも。

 なんというか、この出来事自体はここだけの話ラッキーというか役得とかその類なんだけども、その後がなあ……。


「――おはようございます」


 教室に着くと言い知れないオーラを放つ姫城さんがお出迎え、ここまで原作まま。 

 

「ところでユウジ様――このことに身に覚えがありますか?」


 姫城さんが俺に見せてきたのは非公式新聞部の一面であった、そこには目線モザイク入りながらもどう見ても俺とクランナのセクシャルハラスメントでスキャンダラスな場面が飾られている。

 今思えばこの写真ゲームのイベントCG的イベントスチル的な構図ですごいよく撮れてるんだけど、死角もほぼない学校の廊下でいつどこでどうやって撮れるのコレ……今はどうでもいいんだけど。

 ここは原作通りに、すっとぼける導入から始めるつもりだったのだが― 


「ああ、間違いない俺だな」


 アドリブ魂というか、不誠実な対応をとりたくない思いからドストレートに認めてしまった。

 うるせえ主人公なんだから好き勝手やらせろ、偽りの脚本に抗え。


「っ!」

「確かにこの写真は合成でもなく現実の出来事としてあったことだが、神に誓ってこれは故意じゃない」


 そうなんですよホニさん、ログとか見れるなら前後を見てください。


 文面には遠い地よりやってきた美人留学生は屈強な男子高校生の魔の手にかかってしまう……いやいやそういう作品じゃねーからこれ。

 完全に記者の主観一〇〇パーセントで送られる状況説明と、官能小説のような文章はどうなのか、そろそろ警部が動き出す……じゃなかった教師が動き出すべきなのではないか。


「――信じましょう! ユウジ様と私、友達同士なのですから! 友達の言うことを信じないでどういたしましょう!」

「ありがとう姫城さん」


 そしてイベント終了。

 ……あれ、素直に言った方が早く終わるんじゃんこれ。

 なーんだ、やっぱ素直に言うべきだなうんうん。


「しかし友達として……口惜しいです! その相手が私でなかったことが、友達として当たり前なのに……!」

「え?」


 ……これ終わらないやつじゃん、そして俺の知ってる友達と違う。


「いやいや、しないに越したことはないだろ」

「そう、だから友達として私も経験するべきなのでしょう。いえしましょう!」


 ダメだ結局この流れ変えられねえ。

 案の定全部原作通りになる、歴史の修正力とかそんなので――



「はい!」



 どこからそんな強靭な力が出るのかと思う勢いで掴んできた姫城さんの手によって、俺の手は姫城さんの胸に押し当てられたのである。

 ううむ、ボリューミィ。


「これであの留学生と私は対等な立場です、どうですか私の方が揉み心地はよくありませんか?」

「……確かに」


 ハッ、つい心の声が。


「でしょう、その点は自信ありますから」


 フフンと自慢げな姫城さん、そりゃそうだものこの学年でも一・二位を争うスタイルの良さですもの。


 ちなみに聞こえないフリをしていたのだが。

 まずは姫城さんがスキャンダラスな新聞を提示したことでクラスはざわつきはじめ、姫城さんがその新聞を俺に突き付けたことでざわつきが増し注目がより集まった。

 それから姫城さんが胸に俺の手を抱き寄せた一瞬に静まり返ったクラスは、数秒後にも男女の叫びやらが飛び交う地獄絵図に。

 そんな時にコレ、今は何故か俺が使えている桐が持っていた二十の能力の一つスルースキルである……こう解説してる時点でスルー出来てないとか言わない。

 こう見えてフィルターとかかかって俺への酷い言葉っぽいのは規制されて聞こえないし、飛んできた物も俺を避けていく、まさに言葉と物にスルーされるスキル。

 ちなみに巻き込まれかねない姫城さんにも俺と接触していることでスルースキルは発動している、これ便利だわ今後も使おう。


 ただ今の阿鼻叫喚をスルー出来たとしても、次のイベントはスルー不可避であった。




『キーンコーンカーンコーン』


 とホームルーム開始のチャイムが鳴ったことで一応の安定を強引にも取り戻した教室だが、未だ燻りを感じる。

 そして次のイベント当事者のユキはというと、傍目に見てもどこか心ここにあらずなユキであった。

 ……記憶の中じゃ静かにブチギレて無表情だった印象があるんだが、微妙に違うことだけが気がかりではある。


 しかしそんな中で授業中に俺の机に飛んできた折り畳まれた紙を開いてみると、そこには――『放課後校舎裏ね ユキ』と書かれていた。

 ユキの方を見ると、俺の方に意識を向けずに板書に励んでいる。

 なにこれ、果たし状?

 いや、てかこれ原作通りじゃなくね……? こんな展開あったっけ……?


 どこか一抹の不安を覚えながらも放課後を待っていると――



 ユキが「ちょっと用事あるからごめんね!」と足早に帰っていったが、一度だけ俺に目配せしていたのを見逃さなかった。

 ……本来なら姫城さんとのイベントのあとに、ユキになかなかに気まずいことを聞かれるのだが、この流れはどうにもそうには思えない。

 どうしたものかと少しだけ遅れて「悪い、俺もちょっと用事」といつものグループを抜けて俺も校舎裏を目指す、すると――


「来てくれたんだ、ユウジ」

「あ、ああ」

「じゃあもうちょっとこっち来て」

「?」


 しかし待っているユキは真面目な表情で覚悟を決めたような面持ちをしている、それがどこか不穏であり、俺に危機感を抱かせ、頭の中で警鐘を鳴らし続けていた――


「……はい、私のはどう?」

「っ!」

 

 あまりに準備もなにもなかったせいで不意打ちにただ驚いてしまう、ユキもまた姫城さんがやったのと同じように俺の手を掴むと自分の胸に抱き寄せたのだった。

 この下着越しながらもほどよい大きさ……じゃねえよ、胸実況なんてしてる場合じゃねえよ。


「ユ、ユキ?」

「私、ユウジのこと好き」

「え……は?」


 ………………ちょっと待ってくれる?



「だからユウジ好き! 私と付き合って!」



 いやいやいやいやいや!


「いやいやいやいやいや」

「ダメ?」

「ダメとかでなく、とりあえず手を離してくれるか!?」

「ダメ」

「何故に!?」

「勢いでユウジにOKさせる」


 なんですかこの子はーーーー!?

 俺の知ってるユキと違うんですけど、原作に絶対こんな流れなかったよねえ!?


「そういえばそうだったんだよね、クランナさんのを……したあとに姫城さんの時だけは姫城さんのも……するって」

「な、何を言ってるんだ?」

「例えこれが私の番だったと分かっていたとしても、私が本当なら告白するタイミングまで待ってたら――きっとユウジは姫城さんも好きになっちゃうから」

「だから何を――」


 その言い方は、その話している前提はこれまでのことを覚えていなきゃおかしいじゃないか。

 そんな、まさか――



「だから私も対等になってから、先手を打つよ。もう全部思い出した私は――幼馴染なだけじゃ満足できないんだよ」


 

 確定、じゃねえか。

 ユキが全部覚えてること確定じゃねえか……!


 その覚悟を決めて切羽詰まったような表情も、それでいて今の行動に多少の恥じらいを以て紅潮させている頬も、すべてが本気だって。


「で、どうなの? はいかイエスで答えてよ」

「選択肢ないじゃねえか」

「…………ほんとに、私じゃだめ?」


 少しずつ不安に塗り替えられていく表情を俺はただ間近で見せられる。

 いや原作通りなら、しかしだな、それでも、やっぱり――



「……わかった」



「……え? いいの、付き合っちゃって、いいの?」

「ああ、うん、そうだな……よろしく頼む」


 ここまでさせて、ここまで言わせては男が廃るというもの。

 それにユキの今の状況を確かめるなら、ここで関係を壊すわけにもいかなかった。


「あっ、そう、なんだ…………よ、よかったああ……」

「お、おい」


 そうするとユキは膝から崩れ落ちて座り込み、ついには顔を覆ってしまう。

 そしてしばらくそんなユキの様子を見守っていたら、ふとユキからこぼれた言葉が――


「…………さっきの忘れて!」

  

 さっきのと言うのは、そのユキの胸をそのなんだということか……?


「無茶言うな! 告白も忘れていいのか」

「ダメ! ああああああ、そう考えたら私の告白こんなのとかあああああ」


 そうして後悔に嘆くユキ。

 まさか俺も胸を揉みながら半分脅迫染みて告白されるとは思わなかったぞ……。

   

「ユキの胸の感触と、ユキの告白がセットに」

「言わないで! ああああああ恥ずか死ぬうううう」


 そりゃそうだ、俺でさえ恥ずかしいどころじゃなかったし。

 ともあれ完全に予定外にもユキと付き合うことになってしまった。


 もうこれ記憶の姫城さんの頃のこと全然役に立たないじゃねえか!


 しばらくして落ち着いたユキと、ユキを家に送る形で散会となったのだった。

 ……いやもちろん普通に二人で歩いただけだよ、手繋ぎすらしてないよ。

 マジでどうすればいいのかと、誰に相談すべきなんだこれは――



「あ! ユウジと私が付き合ってること皆に秘密だから!」



 いやいやいや無理ゲーだろ!?

 確かに今のユキに呼び出された時に、流石に非公式新聞部にパパラッチされる展開はもう見たから飽きたからと回避すべくスルースキルを発動して非公式新聞部にスルーされたり、ほかの生徒にスルーされるようにはしてあったけど!

 これ永続的に使えるわけじゃないし、いつかはバレるんだよ!


「なんで!?」

「いやだってその……恥ずかしいし。えっと! ユウジと付き合ってることが恥ずかしいって言うんじゃなくて、クラスメイトとかに冷やかされたりするのがね!」


 さっきの告白のシチュエーション以上に恥ずかしいことがあるのかと。


「あと告白しておいて難だけど、心の準備とか、ね?」

「なんで告白したああああああああああああ!?」

「だってだってええええええええええええええ」


 無計画すぎるよこの子!


「それに……姫城さん怒りそうだし」

「姫城さん相手に隠し通すこと自体が無理だろ……」

「言われてみれば確かに……」


 遠からずバレると思うよ、あの姫城さんだよ?


「と、とにかく皆に打ち明けるのはちょっと待っててこと!」

「……ってことは、基本的に皆の前では今までと同じように振舞うと?」

「そういうことに……なるかな?」


 …………ま、マジかよ。


「よ、よろしくねユウジ」

「お、おう……」

 

 ということでユキからの告白を受け入れて恋人になったかと思いきや、当分は友人関係のままを装うという訳の分からない間柄になってしまった。

 このルートの攻略本は! 攻略wikiはどこにありますか!


 これまでの記憶がまるで役に立たない展開来ちゃったよ!?


√1をコピペしつつも今の作風にリメイクを

そう思っていた時期が僕にもありました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ