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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第二十章 この中にもう一人、幼馴染がいる! ーなかおさー
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第680話 √7-13 『ユウジ視点』『四月二十三日・五月六日』

とある場所にて


ミユ「なんでこんないきなり日にち飛んでるの? もっとぐだっと丁寧に伏線も何もない日常をだらだら書いたっていいじゃん、なにせまだ13話目だしwww」

マナカ「(バンッ)」突如現れたホワイトボードを叩き浮かび上がってきたスケジュール表

ミユ「……これ66話構成なの」

マナカ「共通ルート部分だけで五分の一消化してるんですよね、やばいですよ、だから巻きます」

ミユ「それでもメインヒロインたる私よりも話数割くんだから、それは甘え。てか正直私99話欲しかったし」

マナカ「33話しかなかった私にケンカを売ってるんですね、いいでしょうとも言い値で買いましょう」



 思えばここまで大体記憶の通りではあったものの、ユキルートに近いであろうマイルートとは流れが異なっているのに気づいた。

 マイルートの頃はといえば、本当に最初のヒロインのルートということもあって――


 ユキの生死が決まるイベント、マイとの戦いイベントまでは流れは大体同じだと思う  

 しかし本来ならその次にユイの父親と俺の母親の再婚イベント……というかギャルゲーのイベントじゃねえな、リアルのことだろう。

 そして次にホニさんとの肝試しののちに初遭遇となり、クランナとアイシアが留学してして――今に至るはずだった。


 再婚の出来事とホニさんとの遭遇とクランナ・アイシアの転校・留学もは設定上春休みの三月中に組み込まれてしまっていることもあり、本来タイトなスケジュールな四月下旬以降は生徒会に入らなかったこともあってポッカリと空いている。

 ちなみに生徒会への拉致の件も未来が分かっている以上回避出来たので、生徒会メンバーによる俺の拉致は失敗しており、そのあと姉貴にも断っているので生徒会に入る可能性はなくなっていた。



 と、いうことで空いた空間の間に生じた合間のエピソードである。

 言っておいて難だが空いた空間の間って頭痛が痛いみたいな違和感を感じる。



* *



 四月二十三日



 姉貴には悪いが生徒会にも入らない高校一年生というのは久しぶりな気がする。

 ……そう言ってしまうと俺が何度も一年生をやり直す留年野郎のように聞こえるが、この世界自体が実質留年しているので俺が不良生徒だったり事情があったりするわけじゃない、むしろ世界の方が不良でありヤンキー。


 とはいっても下之ユウジの朝は早い、思えばこの家も母さんはほぼ家に居ないこともあり、ミユが引きこもっていたことから俺と姉貴の二人で生活していたようなものだったのだ。

 それが今や桐にユイにホニさんにクランナにアイシアが増えている、この展開を見透かしたかのような家の大きさと部屋の数で居住空間に関しては問題なかったものの、衣食住の衣食に関しては家事を姉貴一人で負うにはキャパオーバーすぎた。

 そんなこともあって朝食は俺とホニさんと姉貴の交代制、昼間の家事はホニさんとどうやらミユも最近はやっているようで感心、そして学校から帰って来て手伝えることがあるならば俺やクランナなども手伝う傾向にあった。

 そうこうして大人数になった下之家はそんな体制で回っている、そして俺の良心の呵責的に俺がスヤスヤ惰眠を貪りながらホニさんや姉貴だけを朝早起きさせて働かせるなんてこと出来なかったのだった。

 そんな中ユイは登校ギリギリまで寝ようとするし、アイシアは部屋にこもってるし、クランナとミユは朝に弱いからかあんまり積極的でないし、最初から桐は戦力外、とサボっているヤツがこの下之家にそこそこいるのを俺はなんとも思ってないよ、マジだよ。



 そんな愚痴もそこそこに、生徒会組のクランナと姉貴が先行した後、追うように俺とユイとアイシアも家を出る。 

 ユイに関してはギリギリまで寝ていたせいでグルグル眼鏡にトーストを加えてぼんやりと歩く姿はどこの昭和のギャグ漫画の登場人物かと。

 ……ん、しれっと流したが……アイシア?


「お、アイシアが一緒の時間に出るなんて珍しいな」

「まあね」


 アイシアという人間はある程度の記憶を維持している俺でも良く分かっていない謎多き女子である。

 クセっ毛のある銀髪ストレートに真っ白な肌に灼眼でスタイルも起伏に富んだクランナに比べるとスレンダー気味だが決して悪いわけではない。

 というか隣に並ぶとそれはもう美少女である、これで今まで俺の中でいまいち影が薄いのが疑問に思えてくるほどのオーラで、さながら物語から飛び出した妖精のよう。


「よく重役出勤してたから」

「……それは遅刻ってことか」

「そうとも言うかも」


 今まで妙にアイシアの登校風景に印象がなかったのは、割とこの子がサボリ魔というか不良生徒だったからなのかもしれない。

 しかし留学生設定で不良なのはどうなのか、問題が発生するんじゃないのか。


「こう見えて私第四真祖だから朝の陽ざしに弱くて……」

「白いフード被ってくればいいのに」


 ついでに半分背負ってくれそうだったり、止まるんじゃねぇぞ的なことを言う中の人の声だったら完全再現だ。


「そんな第四真祖様がどういう心境の変化なんだ?」

「別に大した意味はないけど、強いて言うなら――ユーさんと一緒に登校してみたかったからかな?」

「え?」

「じゃ、ちょっとアイシアの生徒会役員風景見て興奮しにいってくるから」


 そう言うとアイシアは足早……ってレベルじゃないワープでもしたんではないかという速度で学校に去って言ってしまった。

 しかしアイシアが俺と登校してみたかった……? やっぱりアイシアという子はよく分からない。

 一緒にとかいいつつも実際の登校時間数分以下でクランナ追いに行っているし、行動原理とかがまるで意味がわからんぞ!





 そうこうして俺とユイが教室に着くと――


「おはよー! ユウジ、ユイ!」


 ポニーテ―ルを翻しながら手を振るユキに俺は手をあげて返す。

 そして俺が自分の席に着席すると、マサヒロ含めていつもの四人が集まったのだった。


「そういえば昨日のツイットーのトレンドでさ――」


 という全く他愛のない世間話を俺とユイとユキ……マサヒロは一人ゲームに没頭しておりなんで来るのか分からないが、していた。


 思えば俺と姉貴ぐらいしかいなかった下之家の頃は無茶していたものだ、アニメ系オタクになりたてだからと深夜アニメもリアルタイムで夜更かしして見ていたし、ネットサーフィンもそりゃあもうプロサーファーレベルよ。

 それが今では最低限の会話レベルのアニメ視聴とか人気アニメ原作に目を通すぐらいで、割と家事に勉強に恋にバトルに大忙し! ……言っててなんかすまん。

 しかし別にそこに不満はないのだ、むしろ悪くない日々だと思っている自分もいて、そう考えれば今の俺は充実しているのかもしれない。

 少なくとも俺にとって辛くて仕方なかった中学三年生のはじめ、サクラもミユもいなければ、いくらか記憶もなくしていた暗黒時代と比べれば今の俺は救われているのだ。

 なんだかんだでいい思い出だけではないにしても、悪くない日々だった。


 ……とか考えてると死亡フラグとか、まだ解決もしてねえのに皮算用してんじゃねえとか言われそうなのでここまでにしておこう。


 思えば話題がツイッターのトレンドとかになってるのが気になる、前はテレビ番組とかだった気がするんだが。

 何回も一年生をやり直しているせいで今の流行とかがよく分からなくなってきた。

 アニメの話題とかも微妙に世界ごとに変わってる気がするけど、多分特に意味はないんだろう。


 ……ないよな?



「おはようございます、ユウジ様」



 聞き慣れつつも、この世界ではこのグループに接触するのは初めてと思われる彼女こと姫城が声をかけてきた。


「ああ、おはよ」 


 そうして普通に挨拶を交わすと、ユイとユキが俺と姫城を交互に見て、最終的に俺へと二人は訝し気な目線を送り始めた。


「……ユウジと姫城さんって仲良かったかね?」

「なんか意外な組み合わせだよね」

 

 ユイが言いユキが同調する。


「ああ、昨日ちょっと仲良くなってな」


 嘘はついていない、そうして仲良くなるというよりも”友達からはじめる”まで色々あったが話す必要のはよそう。


「はい、ユウジ様と私お友達になりまして」


 そうして邪気も屈託もない笑顔で返す姫城、こんな笑顔を向けられるものなら普通の男子はイチコロである。

 俺も致命傷で済んだ、ほんと姫城って美人だわ……。


「……お友達ねえ」

「学園のアイドル双璧の姫城サンがユウジのご友人とはパワーバランスが崩れますぞ!!」

 

 ユキもユイも微妙に警戒心を解いていない様子。

 まあ姫城は設定的に誰とも話さないというか、誰も寄せ付けないというか、姫城が他人に話しかけること自体稀なのだった。

 

「……いえ訂正しますと、今は(・・)お友達です」

「「今、は?」」


 そうして行われたのは鈍感気味な俺でも分かる姫城からの宣戦布告であった。

 あ、ちょっと姫城に邪気が見える。


「ではこれからよろしくお願いしますね、ユウジ様と皆さん」


 そうして俺たちのインドア系オタグループに、何故か学園のアイドル的存在の双璧二人が加わったのだった。

 ……たしかにそう考えるとこれは自称ファンクラブとか信者たちが荒れるのもしょうがないかもしれんな。


 それからは四人で話すようになった、というかユキに関しては広く交友関係を持っていて俺たちオタクグループに顔を突っ込んだり突っ込まなかったりだったのが、姫城がほぼ毎回輪に加わるようになってからは基本顔を出すようになったのだ。

 まるでそれは姫城に対抗心を燃やしているようにも見えるのだが……気のせいだろう、多分。



五月六日


 

 生徒会に入らなくとも、入らないと決まっていたとしても不可避のイベントというのは存在するようだった。

 まさに抗えない運命というか、これをギャルゲーで言うところの共通ルートに組み込む自体良く分からんというか、つまりなんだ――


「ちょっ」

「きゃあっ!?」


 その時俺はあろうことか目の前に居た転校生にしてホームステイ住人のクランナを押し倒してしまった。

 人の往来も少なくなく、実際衆人環視の中で行われてしまったのは俺によるクランナへの言い逃れできないアンラッキースケベだった。

 いやね、正直この手に収まる柔らかで豊かな膨らみを触れるということ自体はラッキーだと思うんだわ本当に。

 それが相互の同意あってのものと、この衆目に晒される場所でないことを除けば……だがな!


 危険を察知し自身の防御行動として両手を使って地面につくというのは一般的な”転んだ”際に何も間違ってはいないはずだ。

 しかし俺の両手は地面に触れることなく女性の乳房に触れているということだから、一体どういうことなのか。

 男性向けライトノベルやコミックではしょっちゅう目にするが「いやいやねーだろ!」と笑いながら突っ込んでいた俺がまさか当事者になろうとは思いもしなかった。

 

 落ち着け落ち着け……俺。

 正直このやらかし方は致命的でも、何かリカバリー出来る手段はあるはずだ……とクランナの胸元に向かっていた視線をズラして顔を上げてみると――

 

「……は、早く退いてくれませんこと?」

「あ、ああ! すまん!」


 見上げた先にあったクランナは恥辱と嫌悪感に顔を真っ赤に、目元には涙を溜め――ていなかった。

 頬を赤くして目を逸らして気まずそうにしてはいるが……なんだろうか、俺が言うことじゃないんだがこの満更でない感というか。


「まったく……気を付けてください、ユウジ」

「あ、ああ……悪かった」

「分かればいいですわ。それではまた」


 と言って普通に去って行ってしまった。

 …………いや正直俺は色々内心呟いてはいたけども、確かにこのシーンはまるまるデジャブというか記憶にはあってある程度は身構えていたんだよ。

 実際どうにかクランナを押し倒さないように転ぶ方向をズラしたりもしたけども、何故かクランナも釣られて移動してくるし回避不能イベントだったんだけども。

 確か俺がクランナを押し倒すとクランナは大激怒して大層嫌われたのちに生徒会で再会を果たす、というものだったはずなんだが。

 ……これはどういうことか、まるで多少なりとも好感度があるかのようなリアクションは。


 記憶にあるクランナとのこのイベントはホームステイが始まった世界からは無かったけども、まさかホームステイ数日間でこうも変わるものかと。


「……クランナも記憶があるとか?」


 ……いやあ、流石にないよな。

 そうしてクランナが去っていった方向を一瞥すると、俺もまた歩き出すのだった。


 いやまあ周囲ざわざわしてたけどね「転校生ちゃんと下之弟ってどういう関係!?」とか「ラッキースケベなのに殴られない不条理」とか聞こえてたけども。

 更にはシャッター音が鳴らない(注:違法改造ではなく演出の一環です)カメラが俺とクランナの情事……じゃなかった事情を捉えたことをこの時は知る由も……いや、知ってるけど回避できないのだからしょうがない、受け入れるほかない。


 ということから言ってしまうと俺とクランナのスキャンダラス的な記事が、数日後非公式新聞部発行の週刊アイパマ新聞の一面を飾ることなったのだった。

 今思ったけど週刊かよ、そして微妙に速報性低かったのなとかはどうでもいいことである。


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