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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第二十章 この中にもう一人、幼馴染がいる! ーなかおさー
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第685話 √7-18 『ユウジ視点』『五月十三日』

 そんなユキのぶっとんだリアクションによる挨拶事件(仮)のあとは特に変わったこともなく――と言いたいところだが、そうでもない。

 ユキはいつもの態度に戻っているのだが、明らかに俺と目を合わせたがらず、微妙に俺を避けているきらいすらある。


 ……あまり言いたくはないものの、そもそも告白されOKしている時点で桐の言っていた女の子の攻略云々は達成している気がするのだが。

 それがどうして今の状況になってしまっているのかと、むしろ以前のユキとの関係よりも遠ざかっているんじゃないか。

 そしてこんな場合では聞くに聞けないユキのことが俺の中では燻っているのだ――


『そういえばそうだったんだよね、クランナさんのを……したあとに姫城さんの時だけは姫城さんのも……するって』

『例えこれが私の番だったと分かっていたとしても、私が本当なら告白するタイミングまで待ってたら――きっとユウジは姫城さんも好きになっちゃうから』

『だから私も対等になってから、先手を打つよ。もう全部思い出した私は――幼馴染なだけじゃ満足できないんだよ』


 その言葉が本当ならば、ユキは俺と姫城さんが付き合っていたことを覚えている。

 その姫城さんと俺が付き合ったのはいつだったかと言えば……最初なのだ、今までの女の子で一番最初に付き合ったのが姫城さんだった。

 ということは”全部思い出した”というのが文字通りだとするなら――


 ユキはこれまでのすべてを覚えている。


 ユキとの”あのイベント”時、シナリオには無いはずのセリフで『というか最近ユウジ、なんかモテてない?』というのは、もしかしたら俺が他の女の子と付き合っていたのをユキが当時は抽象的にも覚えているが故の言葉だったのかもしれない。

 そんな抽象的な記憶が、何かの段階で確定に変わったのは……おそらく、ユキの”あのイベント”時のユキの表情の尋常でない変化、もしその時にこれまでの事故の記憶と共にこれまでのことを完全に思い出していたのだとしたら。

 俺がこれまでのことを覚えていて、桐が二十もの能力が使えない、クランナへの事故的セクハラもどうしてかクランナがそこまで怒っていなかった……そんなどこかおかしいこの世界では十分ありうるのかもしれない、俺が覚えているのだからユキが覚えていてもおかしくないのだ。


 ユキ目線では多分俺は節操無しに映ってしまうかもしれない、誠実さが欠けているように見えるかもしれない。

 実際俺はそれぞれ女の子と付き合う際には”このゲームをクリアするために”という打算があった。

 それでも最終的には結局本気になっていた、それがゲームの流れであり俺の意思が操られていたのだとしても――今でも彼女たちを好きな気持ちは変わらない。

 それが自分以外に許されるとは到底思っていないし、言い訳としても成立しているかも怪しい。

 それでもこれまでの行動を後悔はしていない、だから今の俺に出来ることをするしかない。

 

 だから話したいと思う、自分の気持ちやこれまでのことを、すべてを知っているであろうユキに話したいと思う――

 ……のだが、付き合ってそうそうこの距離感では話せる機会は遠くなりけり。


 終始距離感のあった告白翌日の交際一日目はあっという間に過ぎ、下校もユキが足早に帰ってしまうという徹底ぶりに成す術も無かった。



五月十三日



 実は生徒会もなくバトルもないことで持て余した時間を用いてスケジュール表を作っている。

 それは俺の記憶の中にあるこれまでの経験、細やかな一日の内容こそ”大体”しか覚えてこそいないものの、そのイベントな日付は大体覚えているのだ。

 

 そんな思い出した中には姫城さんの世界の際にあったイベントもあり、そう――


「勉強会しようぜ」


 勉強会である。

 ことの発端は前日、ホームルームで教壇に立った担任教師が何気なく言い放った言葉だ。

 しかしその言葉は生徒の多くを絶望の淵に叩き落とす――中間試験二週間前。

 新入生だからと大目に、かつ面子こそ代わり映えしないが気分的には上々な高校一年生を謳歌していた矢先のことだった。

 学校という場所は単なる同世代が集まってコミュニケーションを取ったり、遊んだりする場ではなく、勉強する場所だ。

 至極全うであり、かつ浮かれていた気分も消沈し、一気に現実に引き戻される機会だった。


 阿鼻叫喚とは言わなくとも、そんな担任教師の宣告は多くの生徒のブーイングによって迎えられた。

 別に実力至上主義な教室ではないので赤点を取ろうが即退学なんてことにはならないにしても、絶対評価にして三学期の平均を以て成績が出る為たかが一回の中間試験だからと気を抜けることはない。

 実際に目にしたこそないが、よっぽどの成績不良・素行不良の生徒は留年も辞さないという風の噂だ。

 

 もちろん普段勉強している生徒からすれば、日ごろの勉強の成果を確かめられる好機なのだから涼しい顔かバッチコイな表情をしているわけだが――


「あー、やべー」


 俺は焦る側――というのが原作からである。

 元々の俺は勉強そこそこ運動そこそこで、クラスの中では成績は中の僅かに上ぐらいの立ち位置だけに、そこそこ勉強しなければ爆死は免れない。 

 だからこそ原作の俺は、嵩鳥マナカが表現した俺と言う人物はユイやマサヒロに勉強会を誘うぐらいにはテスト勉強に躍起にならなければならないポジションだったのだ。

 そうしてユイやマサヒロだけでなく、姫城さんやユキも参加してのお決まり勉強会イベントと成るのだ――


 が。


 今の俺はというとそこそこでなく、かなり勉強が出来てしまう。

 それもそのはずだ、何回も世界をやり直して、同じ授業を受けて同じテストに挑んでいればおおよそは覚えてしまうもの。

 入学から今に至るまでの授業は単なる復習でしかなかった「ああそうそう」「記憶の通りだわ」という具合に。

 だからぶっちゃけ勉強の必要性なんてない、しかしだからといってイベントを無視するのかと言えばそうではない。

 ユキとの昨日の今日であり、どうにか話せるタイミングを自分から設けにいかなければならない今では絶好の機会だ。

 ユキが覚えているのなら……まぁ俺が言うのは難だが――



「ユウジ様っ」



 そうして放課後がやってきて、担任教師の許可のもと教室を貸し切っての勉強会が行われているそんな最中。

 俺は姫城さんに腕を抱かれている、でかい。


 このイベントでは姫城さんとユキに挟まれる様にして俺が座るようになり、姫城さんはここぞとばかりにスキンシップをかけてくる。

 それを覚えていたからこそこのイベントは億劫ではあったが、回避することは出来なかった。

 そんなスキンシップを覚えていて、一応は交際しているである彼氏である俺を姫城さんの好き勝手にさせるだろうか――ユキは。

 ということもあってなかなかに姑息な手を使ってユキを誘い出していたのだった、申し訳ないがユキのはっきりしない態度が悪いのだ。

 俺も悪いがユキもちょっと落ち度があるぞ、だから仕方ないのだと自分に言い聞かせる。


 ちなみにそもそもの勉強会の必要性はやっぱり無いんじゃないかと思う。

 実のところこのマサヒロはゲームばっかりやっているし、現に勉強会をすると言ってもゲームを一人でしている為に、何しに参加しているんだと思わなくもないがコイツ成績はいいのだ。

 旧マサヒロの成績が俺と同じぐらいにぱっとしなかったのに対して、新マサヒロは卒なくこなすので成績も良いようだった。

 そしてユイも根は真面目で元は勉強少女だったこともあって地頭が良く、テスト勉強も一夜漬け程度で終えてテストを好成績で乗り切ってしまう。

 姫城さんは学業優秀、ユキに関しても全体的に平均値の高い成績であり、そこそこ組だった俺が今では出来てしまうこともあって実はこの勉強会何のためにやっているか本当に分からない。

 しかしギャルゲー的なお約束イベントにして、それにカコつけたスキンシップがあるのだからしょうがない、必要性とか考えてはいけないのだ。

 ということで俺は姫城さんに苦手だったはずの数学を教えてもらっているフリ、そしてユキはそれを伺いながらもテスト勉強の予習の体、他は好き勝手。


 そしてこの勉強会数日に渡って開くはずで、姫城さんのスキンシップも勉強会二日目のはず――だったが、やっぱりシナリオが全体的にズレている。

 現に俺の腕は姫城さんの豊満な胸にうずまっているのだから、いやあうんなんというかだね、ありがとうございます。


 話の流れは姫城さんに数学を教えてもらっている間、ほんの一瞬でもユキに視線を向けて考えてしまった”気逸らし罪”。

 そこで姫城さんが「今……他の女のことを考えてはいませんでしたか?」と聞いてきたので「すまん」と素直に答えると――


「…………」


 ……「……もしかして、ユウジ。私の事考えてた?」というセリフは来なかった

 代わりにじっと俺を見つめるユキ、そしてユキの反応を見る為に視線を向けると結果見つめ合う格好に。

 それにムッときた姫城さんによる攻勢の結果が、俺の腕を抱き枕にした現在である。

 

「勉強を教えている間は……離しませんよ?」

「そうしたら勉強できないんだが……」


 つい原作にないツッコミを入れてしまったがしょうがないと思う、というか姫城さんの時は気が動転していたせいで言葉が出なかったが。

 俺の左腕はいいとしても、それを姫城さんが抱えていては勉強にならないんじゃないか。

 ……ちなみに姫城さんは抱きしめながらも口頭で教えてくれるので実は問題なかったが、この方が自然な気がしたのだからしょうがない。


「わ、私も……」


 ここまで原作を無視していたユキが、微妙に原作台詞を口走る。

 そうだこのまま行くんだ! ……と言うとまるで俺が両腕を美少女二人に抱かれたいという邪な気持ちが際立ってしまうのだが、そうではないんだよ、あくまでこれは原作にあるんだから仕方ないんだよ、いいね?


「や、やっぱ無理!」

「えぇ!?」

「それでは私に独占させてもらいましょう、なにせ”友達”ですから!」


 男女の友達はそんなことしねーよというのは心の中のツッコミに留めておく、我慢したんだよこれでも。




  

 そうこうしてユキ絡みのイベントはまさかの不発に終わるのだった。

 

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