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@ クソゲヱリミックス! @ [√6連載中]  作者: キラワケ
第二十章 この中にもう一人、幼馴染がいる! ーなかおさー
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第673話 √7-6 『ユキ視点』『四月二十・二十一日』

未来のとある場所にて


アイシア「そういえばさらっと流されたけど、私のルート無いのは実際のところ続編前提なの? それとも……存在しない?」

マナカ「や、やだなあちゃんと書いてありますよ! アイシアさんヒロインな小説!」

アイシア「それでもルリキャベでも、はーとふるでいずでも見送られてるんだけどね……」

マナカ「真のヒロイン枠ですよきっと、わー羨ましいなー」

アイシア「自分はルートがあるからって余裕あるなあ……好きな男の子を俺TUEEEEさせる為に書いた妄想小説作家のくせに」

マナカ「も、妄想じゃないですから! そ、そりゃ一部脚色は――」

四月二十日



 最近私の幼馴染が明らかにモテてている。

 

 そりゃ確かに幼馴染贔屓でも彼はイケメン……とまでは行かなくても。

 どことなく優しそうな顔立ちと、実際に優しい彼の性格だからモテるのも……分からないでもない、けど!


 それでもここまで一気にモテるものなのかと疑問に思う!

 高校デビュー……したようにはまるで見えないのに、何故か女の子が周りに増えてる気がするし。

 姫城さんと出かけたと思えば、可愛いイトコのホニちゃん? と仲もいいみたいだし。

 留学生かつ彼の家にホームステイしているクランナさんも彼を悪く思っていなさそうだし。

 接点がまるで無さそうな別のクラスの井口さんとか雨澄さんとも話してるの見たし……本当に良く分かんない!

 というか女たらし? 私の幼馴染はいつの間にかチャラくなってた!? まったくまったく!


 いやはやまったくけしからんよね、異性関係にだらしないのはいかんよね、別に幼馴染の私がどうこう言う事ではないけどね。

 それでもなんでまたモテるようになったのか気になるものは気になる! 

 だからその辺の幼馴染の親交具合とかを聞いておきたくて、高校になってからは自然消滅してた一緒に登校できる二人の時間を設けたかったわけで。


「よし、メール送信っと」


 明日一緒に登校しようという旨のメールを送る、少しどきどきとする。

 唐突なメールだったんじゃないかと、もうちょっと文章考えるべきだったかなとか、もし万が一にでも断られたらどうしようとか。

 そんな勝手にドギマギとしていると返信を待っているとあっさりと同意のメールが。


「……よかった」

 

 …………何がよかったのかと、なんで安堵してるんだ私は。

 別に私が彼に忘れ去られたとか、飽きられたとかそういうこと考えたわけじゃないよ、ほんとだよ。


「あれ?」

 

 うーん、ちょっと待って。

 ここまで色々考えてメール送る算段付けてメール送ったけど、そもそもの――



「ユウジが入学してからこんなに女の子と会ってたり、新しい交友関係を広めてるって……おかしくない?」



 でも、私の記憶の中には彼が色々な女の子と話したり、過ごしているところを見たのがあって。

 

「…………うーん?」


 私は普通の人と比べて記憶力がいい(・・・・・)から、覚えていることは間違いないはずで。

 それにしては時系列がおかしくて、思い出すシーンが平行して存在していなければ説明できないもので。

 だから私は首を傾げてしまう、この言い知れない違和感にモヤモヤとしてしまう。


 いくら考えても答えは出ずに、その疑問は他の些細な関心ごとにあっさりと塗り替えられていく――



四月二十一日



 鏡の前で格闘する私……別に朝からシャドーボクシングをやっているわけではなくて。

 いつもよりも皺が付いていないか気にした制服と、ほつれていないか注意する白いニーソックス、流石に慣れているポニーテールにお気に入りのヘアゴムで束ねた髪……でも何故か前髪の一部が妙にハネているのが無性に気になって。

 起床して朝自宅を終えて、もうすぐでユウジとの登校時間がやってくるというのに、私は未だ洗面台の鏡とにらめっこ、ずっと前髪を弄っていた。

 

「変……じゃないよね? そこまで……」


 横顔を鏡越しに見て、更に手鏡で後ろの束ね具合も見て、そうしながら言葉にしていてはっと気づいてしまった。

 たかだが幼馴染との朝の登校で、どうしてここまで緊張しないといけないのかと。

 そう! 中学校まではそこそこ普通だった幼馴染との登校を、なんとなくまたやってみたかったわけで。

 別にそこに下心とか、変な気持ちとか、不純なものは一切なくて!

  

 ……いや、昨日自分で考えてたけど私の幼馴染であるユウジに問いただしたいことはあるわけで。

 そう! だから一緒の登校というのも、その質問したいが故の副産物なんだ!


 ……自分で言っててよくわかんなくなってきた。

 とりあえず――このハネたくせっ毛どうにかなんないかな!?




 

 私には幼馴染がいる。

 幼稚園頃から付き合いがある男の子で、同い年で、高校では久しぶりに同じクラスになれた。

 下之ユウジ、姉と妹がいて、最近なんかモテ気味な私の幼馴染。

 昔は家が隣同士だったのに、私が町の中で引っ越してからはそれまでほどの家族ぐるみの付き合いは薄くなって、学校のクラスも離れるようになってからは今に至ってる。

 とはいっても学校では話すし、時々一緒に出掛けるしで、別に仲が悪いということはなくて。

 それでもやっぱり昔ほど距離が近い気はしなくて、同い年で同じ学校で同じクラスなのに、たぶん昔の私たちを知らない周りには友人の関係ぐらいにしか思われてないかもしれない。 

 だけど実際のところは幼馴染、本質的には幼馴染で、本当に幼馴染だからしょうがない、そう幼馴染ゆえに!

 だからこうして朝メールで呼び出すようにして一緒に登校するというのも、まったくもって不自然じゃなくて、行動的にも不思議じゃない!


 

 はずなのに、私はどうしてこんなにユウジが来るのを待っているだけで緊張しているのだろう。



 ドキドキしている、汗かいてないかな、変じゃないかな。

 

 ……っていやいや、本当に私とユウジは幼馴染なだけだし!

 確かに幼馴染贔屓でもユウジは決して悪くない顔立ちだし、性格だって細かいところに気付いてもくれる優しさがあって、そういうとこ好きだけど!

 私は! 幼馴染の! ユウジのことなんて! 男の子としては! なんとも、これっぽっちも、まったく何も思っていないし! あくまで私にとって幼馴染なだけだし!

 

 ……というのを私は誰に対して言い訳しているのだろう、何もやましいことはないのに。

 これじゃ私が単なる幼馴染のはずのユウジに気があるように思われてしまう、それは違うのに。

 私は昔から付き合いのある、付き合いがいい男の子の幼馴染、でも付き合ってはいない幼馴染!

 そんな腐れ縁のような、それでいて健全な関係の幼馴染の彼を、今更私が異性として意識するなんてあり得――


「よ、ユキ」

「ひゃっ!?」


 後ろからかけられた聞き慣れて、そしてすぐ近くな声に思わず飛び跳ねて、心臓も飛び跳ねた。


「……お、おう。どうした」

「いきなり現れるからビックリした!」


 振り返ると微妙に驚いた表情のユウジがいた、驚いたのはこっちだよ!

 後ろから来るなんて思わないじゃん、普通は前から来ると思うじゃん、じゃなくても遠くから声かけてくれてもいいじゃん!

 こんな、こんな至近距離で後ろから……!


「え? 別にそんな意図はなかったんだが、驚かせたならすまん」

「え、いや、ううん……大丈夫、なんかごめん」

「それは別にいいんだが」


 ……落ち着け私、確かにユウジも私を驚かせる意図はなかったことは今になって分かってきたのだから。

 勝手に意識している私が、大げさにリアクションをしただけでユウジに非はないわけで。

 というか本当になんで意識してるんだろうね!?


 本当に……ここ昨日今日の私はどうかしてる。


 彼は、ユウジは私にとっては何のことはない幼馴染(・・・)なのだから。 


「じゃあそろそろ行くか、ユキ」

「う、うん」


 そうして私はどうにか平静を装いながらユウジの隣を歩き出す――


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